アルベールvs黒白の審判 インターミッション
アルベールは部屋に戻されました。
まだクロヴィスの、世界を見据えた王威に気圧された感覚が抜けておりません。
座ったまま腕を組み、目の前に見える幻のクロヴィスを見上げていました。
幻のクロヴィスが、アルベールを燃える野心をたたえた冷然たる眼差しで見下ろしてきます。
安寧を壊し、今を生きている者たちをないがしろにする暴虐。
混沌たる可能性を解き放つ無秩序の果ての滅び。
反論する材料自体は、いくつか思い浮びました。
しかしアルベールでは、クロヴィスに対抗することはできません。
勝ち敗けの問題ではありませんでした。
そもそもステージが違うのです。
例えば二次元の住人が、三次元の住人に触れることがかなわないように。
クロヴィスと相対せるのは、王だけでした。
しかしアルベールは騎士です。
アルベールは唸りました。
「おう、騎士アルベールよ。加減はどうじゃ?」
そんな折、ふらりとゼヌがやってきました。
「竜騎士ゼヌか。もう随分と良くなった」
「左様か」
ゼヌがアルベールの前に、どっかりと座りました。
幻のクロヴィスが霧散して、少しだけアルベールがほっとしました。
ゼヌが真剣なまなざしでじぃと見つめてきます。
「騎士アルベールよ。最後に一度だけ聞いておく。我ら新たなるゴモラに降らぬか?」
「それはできぬ」
ゼヌが頭を垂れて、大きく大きく溜息を吐きました。
次に顔を上げた時は、未練たらたらのそれはそれは情けない顔です。
「相分った! では次にどこかで会うた時には、わしは全力で貴様を焼き尽くす! だがこれだけは言っておくぞ、いつでも降ってよいからな! なんどきでもわしが陛下に取りなしてやる故な!」
「竜騎士ゼヌよ、私はこの都を認めるわけにはいかぬが、貴公と男の友誼を結べたことは大いなる財産だと思っている。共に自ら信じる王のために、悔いを残さず剣を交えん」
「応!」
ゼヌがばしこーん!と自らの膝を叩いて立ち上がりました。
「酒じゃ! 共に飲もうぞ、騎士アルベール! 街に繰り出すぞ」
「なんと」
「貴様、快癒し次第すぐに発つつもりであろう? 飲み交わすならば今のうちじゃ」
こうしてゼヌは強引にアルベールを神殿から連れ出しました。
「あら、なぁに。もう都から脱出しちゃうわけ?」
途中でアルキダモスと鉢合わせました。
「ちょうどよい、貴様も付き合え。酒だ」
「あららん?」
こうしてフランクの騎士、赤い竜騎士、天蝎の騎士が繁華街へと足を運びました。




