表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/65

61 城星寮のルームメイト

 朋美には華たちと、先に裏庭へ行ってもらい、虹子は寺沢紫乃てらさわしのに付いて、城星寮の二階に上がった。廊下に出ると、通路の両側に部屋がある。紫乃が「トイレはここ、それから隣がシャワールームです」と教えてくれる。


「1階の大浴場にあるシャワーも使えますけど、二階組は朝とか練習帰りにこっち利用してます。夕方にはお風呂にお湯を張るので、ゆっくり入れますよ」


 そう説明してから、紫乃は廊下を進む。一番奥まで行くと「ここが虹子さんのお部屋です」と右側の16と表示されたドアを指差して言った。


 トントン!


 紫乃がドアをノックして「美麗さ〜ん!」と呼ぶと「あ、ヴァイオレット?ど〜ぞ」と返ってきた。


「ヴァイオレットって・・・」


 虹子の声を気に留めることもなく、紫乃がドアが開ける。そこには金髪を1つに束ねたスレンダーな少女が立っていた。金美麗きんみれいだ。


 美麗「おっす!レインボー」

 虹子「ルームメイトって金ちゃんか」

 美麗「何よ、文句ある?」

 虹子「無いけど〜、なんか賑やかになりそうだなって」


 美麗は白いTシャツにストレッチ系のジーンズというラフな格好だったが、スタイルが良いので引き立つ。


 頭の上に縛り上げて下ろしたロングヘアと小顔で、立ち姿だけ見るとかなり高身長に見えるが、実際は虹子よりわずかに高いぐらい。そのルックスに反して喋り口はコメディアンのようだ。


 美麗「う・る・さ・そ・う。そう顔に書いてあるぞ」

 虹子「バレたか」

 美麗「届いた段ボール、部屋に運んであげたんだぞ」

 虹子「あ、ありがとう」

 美麗「まさか、あんな秘密が・・・」

 虹子「開けたんかい!」

 美麗「ジョークだよ。ほら、そこにある」


 二段ベッドの奥に横長の机と二脚の椅子があり、その脇の角スペースに見覚えるある段ボールが積まれていた。


「では、虹子さんの鍵は机に置いてあります。私は庭キャンプの手伝いがあるので、お先に失礼します」


 紫乃はそう説明すると、お辞儀をして行ってしまった。


 美麗「まあ座りなよ、モーニングヒル」

 虹子「はいはい」

 美麗「長旅お疲れさん」

 虹子「紫乃ちゃんって、普段からあんな感じ?」

 美麗「うん。ヴァイオレットは小さい頃に両親を亡くして、ある施設にいんだって」

 虹子「そうなんだ」

 美麗「たまたま施設の人と恵子さんが知り合いで、ヴァイオレットのことを気に入って、城星寮で雇ったとか」


 会話をしているうちに、美麗が備え付けの冷蔵庫から二本の缶ジュースを取り出して、一本を虹子に渡した。


「一段目のベッド使ってるから、サンちゃんはアッパーでいい?」と美麗が聞いてくるので「オッケー」と虹子は返す。


 虹子「ところで、呼び方固定してくれないかな」

 美麗「じゃあ朝丘虹太郎で」

 虹子「なんで太郎つけるのよ」


 美麗はベーっと舌を出すと「ベッドの下が収納で、半分は開けてあるから」と説明した。


「机の横の収納ボックスも、上の方はサンちゃんが使っていいから」


 段ボールの中身の収納は後からやるとして、とりあえずリュックで持ってきて、最低限の着替えだけ収納ボックスの上段に入れた。


 部屋にはエアコンもしっかり備わっていて、美麗がいたおかげで涼しくなっていたが、さすがに7月の日中に荷物を抱えて歩いたり走ったりで、かなり汗をかいた。


「ちょっとシャワーを浴びてくるね」


 ジュースを飲み終えると、虹子はそう言って自前のタオルを取り出そうとしたが、美麗が「バスタオルは上のベッドに一枚置いてあるから持っていて」と梯子に足をかけて、取って渡してくれた。


 シャワールームのことを朋美にも教えないと・・・


 虹子はそう思ったが、16番の部屋を出て階段から見下ろすと、タオルを首にかけて、いかにもシャワーを浴びた手の丸顔の女子が目に入った。沙羅か誰かに聞いて、1階の風呂場のシャワーを借りたのだろう。


「抜け目ない奴め」


 虹子も急いでシャワーを浴びに行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ