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黄泉がえりの東條英機  作者: 広田昭和
32/81

第32夜 北朝鮮 咸鏡北道茂山鉄鉱山

「今晩は、東條さん、ご機嫌はいかがでしょうか。」


「頗る良い。」


「昨日の正義の話ですが、結局、正義かどうかは、後世の歴史が決めると言っても良いと思います。いまや、軍国主義、天皇制絶対主義は、悪ではありませんか。」


「君はなにを言っているか。」


「当然のことを言っているのです。天皇だって人間だし、軍部が大事なのは、国民の生命・財産を守るためです。軍部が政治を置いて暴走したら本末顚倒です。」


「軍人は、命を懸けて国を守っているのだ。君の考えは共産主義だ。」


「どうも、言い過ぎでした。閣下を批判したわけではありません。では、お話をお聞かせください。」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 11月10日、私は、鯉川義介と会った。


「お久しぶりです。東條総理。」


「うむ。新京の関東軍司令部以来ですな。」


「その節はお世話になりました。」


「お世話ということもない。事業の方は順調そうじゃないか。」


「本当に満州に進出させて頂き助かりました。また、この度は息子のことでお手数をかけました。」

 私は、その時、眉を顰め、口角を上げた。


「鯉川さん、私は裏から手を回すようなやり方は好きじゃない。」

 鯉川の額に冷汗が浮かぶのを見た。


「はい。ごもっともでございます。」


「ところで、我が国も去年米国から屑鉄の輸入を止められて苦しくなっている。今や、鉄鉱山を開発し、粗鋼生産量の増加は、喫緊の課題となっている。」


「はい。そのとおりで。鉄は国家なりです。」


「そこで、鯉川さんに頼みたいのだが、北朝鮮の咸鏡北道に茂山鉄鉱山という鉱山がある。」


「はい、存じております。三菱が開発しているようで。」


「それだ。鉄鉱石可採埋蔵量13億トンが眠っていることが分かった。」


「えっ13億ですか。満州の鞍山でさえ確か~・・・」


「3億トンだ。鞍山鉱山は。」


「ものすごい量ですな。信じられません。」


「露天掘りができるそうだ。」


「三菱が大喜びでしょう。」


「そうだといいんだが、何しろ山奥にあり、その上、抗日パルチザンが暗躍している。三菱だけという規模ではない。」


「抗日パルチザンですか。」


「そうだ。そこで鯉川さんにこの茂山鉱山の半分を開発して欲しい。もちろん、三菱と海軍にも話はつけておく。兎に角急ぐ話だ。」


「急ぐと言っても果たして米英戦争に間に合いますか。」


「鉱山鉄道や道路の敷設も必要だし、清津に製鉄所も作らねばならない。関東軍に言って資金を提供するからやってくれないか。」

 資金の話まで言われては鯉川が断れるはずもない。


「是非、やらせてください。」


「そうか。やってくれるか。国家のために大いに助かるというもんだ。」


 満州の企業がようやく軌道に乗り始めたところだった。インフレ気味なので、ここで経営を拡大するのはリスクを取ることになる。しかし、引き受けざるをえなかった。


『先生』:北朝鮮の鉄鉱石、石炭、タングステン、○○ンが開発できれば鬼に金棒だ。歴史を変えるならそこまでやるさ。

『私』:果たして、いつになったら成果が出てくるか。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

もうじき就寝の時間ですから今日はここまでとしましょう。

続きはまた、明日、お話します。おやすみなさい。


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