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黄泉がえりの東條英機  作者: 広田昭和
19/81

第19夜 昭和天皇の親書 

「今晩は、東條閣下、ご機嫌はいかがでしょうか。」


「頗る良い。」


「そうですか、今日も気分上々ですか?夕飯も全部食べましたね。それでは、お話を聞かせてください。」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 私は、天皇陛下の親書の親書を米国大使館に発信するとともに、各国の新聞社に通知した。

 

 黄泉がえり前の世界で、ルーズベルト大統領が日米開戦間際12月7日に親書を送ったことは、ご存知かな。12月8日の開戦の前日、ぎりぎりに出してきたのだ。なにか、私は、戦争を避けるため最後まで努力したということをアピールすのかのように。

 だが、黄泉がえり後の世界では、逆のことをしてやった。

 

「約一世紀前、太平洋を挟んで西端にある米国大統領は東端にある日本の天皇に親書を送り、日本の開港と友好関係を呼びかけました。日本の開港以来、両国の平和と友好関係は長年続きました。それぞれの国民の徳と賢明な両政府のおかげで、両国は繁栄し続け人類平和にも大きく貢献しました。

しかし、両国は今、非常事態に直面しています。

私は、平和を重んじ、万邦国民の生活を重視する眼差しで、この数カ月間の日米政府のやり取りを強い関心を持って見守ってきました。私は、日中間の戦闘が終結することを望んでおりましたが、コミンテルン及び中国共産党の謀略により、偶発的な戦闘が、戦乱となり、中国全土に及んでいます。 

また、世界のどの地域においても、他国の侵攻を憂慮することなく隣国同士共存でき、そして差別措置や優遇措置などの存在しない通商関係が維持される中で平和がもたらされることを望んでいました。

私にとって明快であるように、大統領閣下にとっても明快だと確信していますが、これらの命題を成就させるために、日米両国はいかなる軍事的挑発行為を始めとする経済的圧迫を互いに行わないことに同意すべきです。これが命題解決には必須だと感じます。

今、アジア諸国において必要なことは、各民族の意志を反映した自主的な政府間において、平等で無差別な外交並びに通商関係を構築することであると信じています。

この非常事態を勘案し、日本政府が提案した対米交渉案並びに大東亜諸国経済連合構想がこの「暗雲を払拭する方法」であると信じ、この場を借りて力説いたします。大統領閣下もフィリピンの独立を早期に実施し、この連合にアメリカ合衆国も参加していただきたいと切に希望します。

大国である両国の国民のためだけでなく、アジア諸国の平和のためにも、大統領閣下と私は、これまで培ってきた両国の友好関係を復元し、これ以上の惨事や破壊を地球上から阻止する神聖な責務を負っております。

昭和16年11月6日

大日本帝国天皇 裕仁 御璽

内閣総理大臣 東條英機 副署」


 『先生』:(さて、アメリカ側の反応はどうか。楽しみだな。)

 『私』:(ハルノートを出してくるよ。)

 『先生』:(画期的な提案を受けないのであれば、次の計画があるさ。)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 もうじき就寝の時間ですから今日はここまでとしましょう。

 続きはまた、明日、お話します。おやすみなさい。


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