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終章
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「どうだった?」
家に帰った妙子に、母親は麦茶をそっと差し出した。
「うん、一応判決はでたけど」
妙子は、麦茶で喉を潤した後、ニチドーとセーフティには、明確な証拠がないという理由で請求は棄却されたが、加藤には請求が認定されたことを伝えた。
「もう許してあげたら?」
「どうして?」
「もういいじゃないか。相手は信用を失ったでしょうよ」
母は、もうこれ以上裁判を続ける必要はないと言ったが、妙子はすべてを許す気にはなれなかった。
相手が闘う姿勢を見せれば、こっちも闘うしかない、シーソーゲームのような世界に、今ひとつ終止符を打つ余韻には浸れなかったのだ。
人を許せない毎日なんて、何て空しいのだろう。
寛容にならなければ、なんて人は単純で、つまらない人間になってしまうのだろう。
母なら、すべてを許すんだろうか。




