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またまた金曜日にも更新しようと思います。
ズーンという擬音が聞こえてきそうな程落ち込んでいる。雰囲気は正しく真っ暗で、どこかフヨフヨと見えない筈の真っ黒なそれが漂っているかのよう。そんな空気を出しているのは……
「元気出してくださいっス。誰にでもあるっすよ、欲しかった物貰って燥ぐのは。」
何を隠そう、俺である。キヤラの励ましを背に受けても、どうしても恥ずかしい。何だよ、最高にハイテンションってと内心愚痴っていた。
「……しかし、もう少しですね。」
「ああ、そうだな。徐々にだが王様飛蝗の中に脱皮直後の個体が多くなってきている。もう少しすれば、あの団子で防衛は十分だろう。」
俺の様子を苦笑しながら見ていた宰相とシヤさんが今後について話していた。王様飛蝗の飛来する数も徐々にだが減少傾向になっており、だが決して他の方面へと移動していったと言う訳ではない事は、飛来する王様飛蝗の中に混じる脱皮直後の白い個体が増えてきたことが証明している。
「キッシュさん、あの団子はどれぐらい量産出来そうですか?」
「……まぁ、鬼の農具もあるし、一日500個ぐらいかな?流石に種の数にも限りがあるし。」
「十分ですね。」
いつまでも落ち込んではいられないと宰相の問に答える。キングオニオンの種はそれなりに増やすのが簡単だったうえに、ゲームの時には一袋で一つ扱いであり、異世界に来てからは袋の中身一つ一つが種扱いとなった為にかなりの数がある。
ましてや最上の農耕アイテムとも言われる鬼の農具を使用すれば、一瞬で育てられ、時間の短縮にもなり、キングオニオンの種がかなりの数があってもすぐになくなりそう。
「本格的に巣の攻略は準備が整ってから。二三日後ぐらいでしょうか。」
「今のペースならば飛来する王様飛蝗の数も減らせられるはず。」
「巣の特定もそれぐらいに終わりそうっす。」
キヤラの言葉に一斉にキヤラの方へと向く。やはり王様飛蝗の巣がどこにあるのかは誰もが知りたい情報という事だろう。
「王様飛蝗の飛行ルートから、この場所から北東に位置する森のどっからしいっす。」
追い返すたびに数人で尾行し、何とか突き止めたのだ。
「以外に近いですね。」
「そうなのか?」
「ええ、ここから北東部だと、歩いて半日程度の所になりますから。その向こうは海に面しており切り立った崖ですね。」
王様飛蝗の飛距離は長い。数日掛かりは覚悟していたが、宰相の言葉で以外に近い事が判った。
「ようし、後数日、頑張るぞ!!」
オーと声が上がった。
ユウキは焦燥していた。攫われたリリィを心配し助けに生きたのだが、魔族領とをつなぐ唯一の入口は完全に魔族側に奪われ、日々日々硬くなっていく。何度か取り戻そうと攻めるも、逆にユウキの命が危なくなる場面もあった。
「リリィ……」
「だ、だんなっ!?」
休むために仮設されたテントの中で攫われたリリィの名を呼んだ瞬間、ヘイサンが慌てた様子で跳び込んできた。
「……どうした。」
すこしばかりムッとするユウキだったが、何かあったのかもしれないと問いかける。
「魔族領側へ、魔族領側へ渡る方法が判りましたっ!!」
「本当かっ!?」
ヘイサンの口から飛び出してきた言葉に一も二もなく飛びつく。
「ええ、海沿いに越えられるというか、回り込める所があるそうで。」
「よし、よし、よしっ!!」
例えリリィを助けたくとも、前へと中々進めなかった。だが一度魔族領側へと入り込むことが出来たのなら、隠密行動でもして助け出せばいいだけだ。ユウキは久々に元気を取り戻した




