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少しばかりいつもより短いような気もするので、出来たら日曜日にもう一話更新します。
部屋いっぱいに並べられた植木鉢に霧吹きを使って水をやる。如雨露等を使って大量の水をやると、育てている場所が部屋の中である事も関係し、余分な水が零れる事を防ぐためだ。
キングオニオンもその名の通り玉ねぎの一種である以上、発芽までに気をつけなければいけない事と言えば、やはり土が乾燥する事である。だからこそ王様飛蝗の討伐で疲れた体に鞭を打って、こうして一つ一つに水をあげているのだ。
「ふぅ…」
せめて植木鉢じゃなくプランターなら。部屋の中ではなく、外だったなら。ついつい愚痴を言いそうになるも、外で育成しようものなら王様飛蝗の腹の中に消えるだけだ。プランターも、主に異世界のプランターというのはマジックアイテムに分類されるだけあり、バカ高い。
僻地の一般農家が持っているようなものでもない。王様飛蝗の巨体で飛び回り暴れ回っている現状、所々欠けただけのまだまだ使える植木鉢が見つかっただけでも幸運と思わなければならない。
溜息を一つ、シーンとした部屋の中に消えていく。
「見た目は青ネギなんだけどなぁ。」
見た目こそ精が付きそうな見た目だが、食べる事が出来ないどころか、食べたら吐く。この茎の部分をすり潰し、乾燥させて作った粉末と混ぜ合わせる事でお坊さん団子は完成する。
「この近辺に居ないのは判ってたけども……」
また溜息を一つ。王様飛蝗の飛行距離はそこそこ広い。竜種どころか鳥類種とは比べ物にもならない程度しか飛ばないとはいえ、それでも普通に歩いて行ける距離じゃない。
巣を中心にしたとしても、最外周部に餌場としてこの村が存在したとすれば、相当な距離を王様飛蝗を打倒しながら進まなければならず、憂鬱な気分となる。
「でも、そろそろ補充も限界か?」
今日の戦いで王様飛蝗の数は減ってはいないものの、それでも増える事は無く、また脱皮直後だと思われる白い個体も現れだした。流石に連鎖させるように打倒され続けられれば、流石の王様飛蝗と言えど数を維持するのは無理だという事だろう。
それ以上に魔人族の兵隊に打撃を与えられたのだが。
「それでも駆逐するのは無理だろうなぁ。」
近隣に巣があるのは間違いなく、ある程度の数、所謂本体は巣に残っている筈なのだ。
「キッシュ殿?」
「うん?ああ、宰相さん……」
「首尾は……とは聞かなくても大丈夫そうですね。」
育成部屋に入ってきたのは宰相だった。疲れてきてた俺は気付かずに項垂れていて宰相に心配された。だが俺の前にある青々と成ったキングオニオンの埋まった植木鉢軍を見て苦笑に変える。
「どうかしましたか?」
「いえ、追加の兵士と一緒に武具類も届きましたので。キッシュ殿も何かしら装備できればと……」
俺は自身の拳を見る。土にまみれた農業を営む者の手だ。さっきまで追肥も兼ねて土を弄っていたのだから当たり前であるが。
「武器は、あんまり好きじゃないっすね……」
「ええ、判っております。しかし、無いよりはマシだと思って何か一つでも手にしてみては如何ですか?」
農家の手、未熟も未熟な俺の、ゲーム時代の補正が無ければ何も出来ないだろうと考えられるも、それでもこの手で武器を振るうのは躊躇われた。
だからこそ俺は足技や投げる行為が多かったのだが、それでも王様飛蝗の数はそういった事が言えない程に多くなってきている。何かしら武器にエンチャントを施さなければいけないとは言っても、キッシュ程の戦力を遊ばせておくほどの余裕もなくなってきているのだろう。
宰相がせめて見るだけでも、一度見てみればいいという。
「見るだけっすよ?」
「ええ。」
俺は気分転換に見るだけと言いつつ立ち上がった。




