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「しかし、属性竜なぁ。」
「やっぱり、ダンジョンすかね?」
「それぐらいしか考えられないけど、でもなぁ。」
「また協力してもらうってのは……」
「無理だろうなぁ。少なくとも一昼夜で攻略できる、ボスがドラゴンのダンジョンの組み合わせを知らんし。」
「……すよねぇ。」
キヤラが傭兵ギルドでもって来たランクアップ試験の合格条件について、大通りに面した喫茶店の様な場所で話し合っていた。属性竜の厄介な所はやはり見つけ辛さである。ただでさえ見つからないのに、ランクアップ試験の内容にされているため、数を減らし更に見つけ辛くなっている。
確実なのは傭兵ギルドに設置されている魔法陣からダンジョンへと潜る事。ただ属性竜をティム出来るテイマーが鬼の傭兵団には居らず、属性竜がボスであるダンジョンのブロックワードも知らない。
俺も農耕とは関係ない所は知らない為、運良くランダムで組んで見つけるしかない。となればほぼ日通いになるうえ、ダンジョンの深さによっては数日ダンジョン内で過ごす必要も出てくる。
コッケイオウの時の様な夜のうちに無断で侵入してといった手が使えないのだ。ミシュリーさんに手伝ってもらえたとして、もしも見つかってしまえば迷惑を掛けてしまう。前の時はそれしか手が無かったので仕方がないと納得しきれないが納得しておく。
「地道に探すしかないっすか。」
「すまん、力になれなくて。」
「いえいえ、こんだけ良くして貰ってんすから、気にせんでください。それに幸い村が巣だって言われている場所に近いすっから。」
俺は経験は無いが、それでもゲームの時の戦い方や知識、それに村人のステータス上昇効果も含めれば十分戦力になるとは自負している。だが極端に目立つような事は控えたいのだ。スキルを使用すれば派手なものもあるし、何より村のある中層域では明らかに浮くほどの高レベルでもある。
夢の様な農耕生活が出来ている現状、わざわざ命の危険がある傭兵等なりたくないという思いもある。傭兵ではないのに能力が高い等と知られれば、慢性的に前線で兵が足りない魔王軍が何をするか判らないと言うのもある。
それを知っているキヤラ達からすれば、俺が謝る事ではないという事だろうが、それでも準村民のような扱いになっている鬼の傭兵団の力になれない事に俺は罪悪感を感じていた。
ただ良かった事もある。それは王都やウッディタウンなんかと比べれば、俺達の村が属性竜の巣だという噂のある場所に近い所にあるという事だ。属性竜の生息域を調べている時に、酒場で他の傭兵団員から聞き出した情報だ。
鬼の傭兵団は今、俺達の村を拠点として活動域を形成している。だからこそ属性竜の巣だと言われている場所へと行くのにも他者の様な苦労はしなくてもいいが……
それでも属性竜を探しに来た他の傭兵団が俺達の村を見つけられないように、その巣までは結構距離があったりもする。
「団長の足が治ってりゃ、団長の知り合いのテイマーに頼めるんすけどね。」
「そういえば、そんな事言ってたな。」
ウッディタウンで初めて会った時もアニーキはそのテイマーに力を借りに行っていたのだが、そのテイマーが留守で会えなかったそうだし。
「どけっ、どけぇ!!」
「おわっ!?」
「なっ!?早馬!?」
そんな事を考えていると、俺の後ろ側、大通りに面している場所すぐ傍を大声を上げながらビッグホースという見た目は巨大な馬の魔獣に乗った兵士が駈けて行った。ただ驚く俺とは違い、何かに気付いたかのような顔をしているキヤラは慌てて立ち上がった。
「如何した?」
「シヤさんは、シヤさんは今どこっすか!?」
「何処って、村の連中に頼まれた買い出しの一部を買いに行ってもらったんじゃないか。つーか、何をそんなに慌ててんだよ?」
「……早く王都を出なけりゃ、数週間王都から出れ無くなるっすよ!!」
「はぁ!?」
キヤラ曰く、さっきの早馬の掲げていた旗は青。これは前線で何か好転があった時に掲げられる旗で、それが早馬をとばしてきたという事は、一時的にしろ勇者パーティを退けるなりしたという事で、王都で祝賀祭を行うという合図でもあった。
そしてその祭りの間、王都へと入る事も出る事も出来なくなるとの事。
「……っはぁ!?」
その説明を受けて俺は再び素っ頓狂な声を上げた。




