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風邪気味、ちょっと短いか。日曜日にも更新します。
「これでよしっ。……でもさ、何でこんなめんどくさい事すんの?」
「そりゃ、しょーがないっすよ。ここは王都っすよ?当然入都検査は辺境の村とは断然違うっす。アイテムボックス持ってるって知られたら勧誘が酷くなるっすよ?」
「確かに。私達は魔王軍の強制徴収を免れる為にここまでやってきたのに、疑われる様な事をするわけにもいくまい。」
売り物の食料を満載に積んだ籠を背負った俺は、全部俺のイベントリに入れて置けばいいのに。ごく一部といえ、わざわざ籠に移し替える意味が分からず、傭兵団員に質問していた。
その答えは事前に聞いていたものの、目の前の状態を見るまでは警戒し過ぎではないかと考えていたほどだったが、それでも王都の周りをぐるりと囲む城壁の一部、大扉に近付くほどに理解出来た。
ウッディタウンとは違い、カラーフルメイルと呼ばれる顔の部分以外が隠れる全身鎧、それも見た目で分かった。あれレアアイテムに分類されるカラードと呼ばれる宝石で作られる特殊金属で出来た魔法鎧だ。農耕プレイ中心だったけど、この鎧というか、カラードの方。色で込められる属性が変わるんだけど、その染色に農耕アイテムである食料アイテムの内、カラーフルーツと呼ばれる果物を使って染色するのだ。
こっちの世界に来てすぐに口にした情熱のリンゴもそう。色は赤で主に火に関する属性を付与するものだ。
閑話休題、そんな高価で高能力な鎧に身を包んだ騎士が二人、門の所で身分確認をしている。俺達の前にもずらっと並ぶ人達が居るのに、騎士の事を怖がってか、早く中に入りたいだろうに大人しく待っているのだ。
「よし、次。」
「はい、宜しくお願いしますっす。」
数時間待たされたが、騒ぎを起こす訳にもいかず大人しく待っていた俺達の番になり、騎士の一人が俺とシヤさんのボディチェックを行いつつ、もう一人が傭兵団員に質問している。
「ほう、家族でなぁ。」
「ハイっす。うちで取れた野菜中心っすけど、食料の売買目的っす。」
「それは実に良い事だ。それにお前さんも傭兵なのか。」
「やっぱり家族ぐらい、自分で守りたいっすからねぇ。それに前線がキナ臭くなってきてるって聞いたので。」
「うむ。将軍閣下も手を焼いていると聞いている。」
俺達の見た目的に王都近隣に住む家族という設定にしておこうと事前に話し合っていた。シヤさんは男だが、その見た目は女性にしか見えない事から、また俺の見た目は少年といったぐらい。騎士達も全く疑ってはいなかった。
ボディチェックの際、俺達から武器の一つでも見つかれば疑われていたかもしれないが、それは俺のイベントリの中。唯一あるのは傭兵団員の物だけ。それも傭兵ならば別に不思議でなく、また傭兵ギルドの証を見せて納得済みであった。
「よし、通っていいぞ。」
「坊主もいつか俺達と働けたらいいな。」
俺達用の入都金を払い中へと足を踏み入れる。二人の騎士の間を抜ける時、俺とシヤさんのボディチェックを行っていた方の騎士がそう声を掛けて来たので、子供のふりをしながら手を振って置いた。
「はぁ、緊張したっす。」
騎士達に見えないように少し行った場所で息を吐き出す傭兵団員。モブー・キヤラという名前の彼は疲れたように肩を落とす。
「あー、お疲れの所悪いんだが、先にこれどうにかしないか?」
「……そうっすね。ギルドはその後でもいいか。一応馴染みの店があるっすから案内するっす、こっちすよ。」
俺が背中の籠を見せながら言うと同意され、昔馴染みがやっている店があるのでそこで買い取ってくれないか聞いてみようという話になった。
「こっち、詳しいのか?」
やけにすいすいと王都の入り組んだ中を進んでいく事に疑問を持ったので聞いてみた。
「自分、元々王都に住む貴族の出なんすよ。と言っても爵位は一番低いし、自分は14番目の子なんで居ても居なくても一緒で。だから自分の食い扶持稼ぐ為に外に出たんすよ。将軍に憧れたってのもあって、流石に前線は無理だから、効率よく鍛えられるように、真ん中ぐらいにあるウッディタウンで傭兵になったんす。」
まぁ無茶でしたけどとキヤラは続けた。当然であろう、この辺りの魔獣は弱い。ましてや居ても居なくても一緒の扱いを受けていようと貴族が日常的にそんな危ない事はしない。それなのにいきなり中級者向けの場所まで出てくればそうなる。
「そんで死にかけた所をアニーキ団長に救われて。俺は団長の団に入ったんす。あっ、此処っすよ。」
そんなキヤラの過去の話を聞きながらも足を動かし、何度か曲がった先にあった周りを見渡せば同じような建物、二階建てのそれなりに大きな一軒家に案内された。




