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「もうすぐ着くっすよ。」
そう前でコッケイオウに指示を出していた団員が声を掛けて来た。ビョウビョウと風が鳴く様な音をたてて後ろへと景色が流れていく。俺は今王都へと向けて、空の旅の真っ最中であった。
事の経緯はこうだ。村の住人となった忍鬼の人達の食料を得る為に田畑を増やしたのは良いのだが、流石に俺一人では管理しきれなかったし、忍鬼の人達も何もせずに居るのはつらいとのことで、増やした田畑のいくつかの管理を任せる事にしたのだ。
出来た物はその管理していた人たちの物と言う形で。
そもそも忍鬼の人達は隠密行動が得意な種族であり、この村の存在を知られたくないという俺達の思惑を、自身等の村が魔王軍に滅ばされた直後だったこともあって理解してくれていた彼らは、その中でも能力が高い者を選別し、ウッディタウンへと余剰分の食料等を売りに行ってくれることとなったのだ。
ミシュリーさん達のような昔っからハーゲテーナイ達を知っていてくれる人達の協力の下、更には傭兵団の依頼という形にする事であくまで森の中で採取出来た物を売りに来ているという二重での安全策を取ったうえで、試しに売ってみようと結論になり、実際に売ってみればそれなりの値段へとなった。
元々前線が活発になってきており、士気高揚の為に無理やり食料を持っていく魔王軍の所為でどこもかしこも食料不足に陥っていた為でもあったが、だからこそ何度も同じ場所で食料を売る訳にはいかなかった。
一回や二回ならばこの豊かな森である以上、少々の幸運程度に考えられるも、それが何度も続けば疑われる事となる。
売ったお金で娯楽品も含む必需品を買ってくるためにも、外貨の獲得は必須であり、だが何度も同じ手は使えないという事でいまだ療養中のアニーキに相談を持ち掛けたのだ。
「なら王都にいきゃいいじゃねぇか。」
そしてそう言われたのだ。
「王都近郊なら普通に食料作って売っている村もあるし、俺達と一緒なら多少売買したって気付きゃしねぇよ。」
魔王軍が狙うのは王都から離れた村々。近郊の村々を狙ってしまえば自身が食べる物がなくなってしまうと考える頭ぐらいはあるとの事。
「なら何で王都近郊の村に引っ越さないんだって顔だな。」
どうやら顔に出ていたらしい。
「王都での税の取り方知ってるか?」
「えっと、住民税があるってのは聞いたけど……」
「まぁな。だからこそ人口の増加減少には敏感でな。勝手に村なんか作れねぇし、引っ越すにもこの村の連中が住民税を払えるとは思えねぇし。」
それは確かに。現代日本と違ってこっちの住民税は金持ちぐらいしか払えないらしいし。到底この村の無いに等しい収入では無理だ。
「なら売りに行くのも厳しんじゃ?」
「だからこその俺らだって。ちょっと離れた村の連中が傭兵雇って売りに来るのはそう珍しい事じゃねぇんだよ。魔王軍に見つかる可能性が上がるけど、王都に近けりゃ、王都に住んでる奴らが騒動嫌って止めるし、俺達にはコッケイオウっていう長距離を運ぶ手段があんだぜ。どっちかというと自分自身の心配しなきゃならんけどよ。」
ちなみに傭兵団もそろそろステップアップしてもう少し高レベルの依頼を受けれるように王都に手続きしに行くつもりだったらしい。
「シヤでも連れてきゃ、護衛兼魔王軍の情報収集とかも出来んじゃね?」
「そう……だな。」
「ついでにお前の見た目ならお使い程度に考えて貰えるだろうよ。」
「判った。王都に行ってくるよ。」
と言った会話を経て今コッケイオウの背中に居る。
「門で入都手続きしなきゃならんすから、少し離れた場所に降りるっすよ?」
一昼夜飛んで二日目の朝に王都が見えて来た。セキノモリノヒメが居た地下の町を覆うっていた壁と同等以上に見える壁に覆われたカラフルな街に囲まれている巨大な白亜の城が見える。
コッケイオウは一度羽ばたいたかと思えばぐんぐん高度を落とし、小さな林の中心に降り立った。




