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IN THE GAME ~勇者と魔王が戦争している異世界で俺は農耕する~  作者: yosshy3304
第四章 俺は今日も畑を『耕す』。
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5-5

「ならばお主がこの女子を打倒して見せよ!!」

「いや、無茶だろ、それ。」

「あら、私は誰が相手でも受けて立つけれど?」


 九尾の幼女が、俺達の後ろであわあわと慌てていたパッセを見ては無茶な事を言う。直接戦闘ではなく、あくまで口先だけの勝負であり、少なくとも先までやりこめられていた世間知らずの九尾の幼女よりは、少なくともこの埋もれた町を周回していたパッセの方がまだマシなのかもしれないが、それでもまだマシと言える程度だ。


 だからこそ俺は無茶だと言ったのだが、イクスは挑発的に嗤いながら言葉を投げかける。そのイクスの態度に九尾の幼女はぐぬぬぬぬと悔しそうに唸りながら拳を握りしめていた。


「あ、あの!?」


 そんな中、勇気を振り絞りパッセが声を上げた。


「い、イクスさん?」

「あら?私なのね。そうよ、サキュバスのイクスよ。」


 恐る恐るといった感じに、確かめるようにイクスの名前を呼ぶパッセ。そこでイクスはまだ名前を告げていなかった事に気付き、種族と名前を告げる。


「私は、ノームのパッセです。」

「わらわは九尾のセキノモリノヒメと言うのじゃ。」

「今は関係ないから、お子ちゃまは邪魔しないでね?」

「だ、誰がお子ちゃまじゃっ!!それに人の名前を関係ないじゃとっ!!」

「キッシュ、お願い。」

「あ~……、ほらセキノモ、何だっけ?」

「お、お主もか!?いいか、もう一度、もう一度しか言わぬぞっ!!」


 パッセもイクスに続いて自身の名前を告げるも、そこで九尾の幼女が放って置かれた事に腹を立てたのか、二人の間にニュッと生えてきて名前を告げるも、イクスにあしらわれ両手を上げて怒りながら抗議し始めた。


 そんなセキノモリノヒメの様子に邪魔だと感じたのか俺の名前を呼ぶイクス。俺は抗議しているセキノモリノヒメを抱きかかえ、尻尾が邪魔で抱きかかえ辛いが何とか……とりあえず二人から引き放した。


「それで何かしら?」

「あ、あのっ!!……どうしてイクスさんはリリムなのに、こんな僻地に居るんですかっ!!」


 隣でセキノモリノヒメの何じゃとと小さく驚く声が聞こえた。俺も響き渡ったパッセの言葉に驚き、イクスの方を見てしまう。


「……驚いたわね。何故気付いたのかしら?」

「魔力の質がキッシュさんにも負けないくらい上等の物ですから……」

「ノームね。土の精霊の子孫と言うだけはあるわけね。」


 リリム。この種族はサキュバスの上位種族であり、具体的に言えばサキュバスやインキュバス達淫魔族の王族の事だ。種族特性はサキュバスから受け継ぐが、そのレベルは威力、範囲共に遥かに上がっている。


 九尾の狐以上に魅了というスキルに長けている種族でもあり、だからこそ俺が目の前の幼女の尻尾に捕まっている時にもあっさりと助ける事が出来たのだ。


 イクスは驚きつつ、なぜ気付いたのかとパッセに問いかける。


 パッセはイクスから放たれる魔力が俺の、最高レベルのステータスにステータス向上値を含めばこの世界最高値をたたき出す、そんな魔力と同等の質があると告げたのだ。


「ふははは、お主も地に落ちたものよのぉ!!」

「いきなり、何かしら?」

「これ、とぼけるで無いわ。淫魔の王族ともあろうものが、そんな貧相な見た目な訳がなかろう?」


 いつの間にか抜け出したセキノモリノヒメの笑い声にイクスがいぶかしげにセキノモリノヒメの奇行に問いかける。だがセキノモリノヒメはそんなイクスの態度を気にせず、ただただイクスを嘲笑う。


 そのセリフは自分にも当てはまると思うぞと思っている俺とパッセ。なんとなく視線で何を言いたいのか悟り、二人してうんうんと頷いた。


「あら、あなた達もなの?」

「へっ!?いや、違う違う!!」

「別にいいわよ?後で確り搾り取るから。」

「うぐっ……」


 俺とパッセの頷きを勘違いしたイクスの矛先が俺へと向き、慌てて否定するもいい笑顔でお仕置きを宣言された。


「ほれほれ。男を手玉に取るのなんか朝飯前じゃろ?それにとっかえひっかえ男と寝る尻軽女じゃないかの?」

「私はっ…尻軽女なんかじゃないっ!!」

「むおっ!?」


 鬼の首を取ったとばかりにセキノモリノヒメがイクスを嘲る。そんな時だ。先程までどんな言葉でも受け流し、余裕綽々だったイクスが突如言葉を荒げ、叫んだ。


 スキルの魅了まで使い、空中にセキノモリノヒメを縫い付ける。


 魅了は対象の行動を阻害する。それは空中から落下するという行動もだ。だからこそ上手く使えばこうして空中に対象物を置き留める事も出来る。だがそれが出来るのは魅了のスキルレベルがかなり高くないといけない。


 じたばたもがくセキノモリノヒメにイクスは冷たい目を向けつつ言い放った。


「だったらあなたは、穴倉に引きこもっているだけの終わった女ね。」

「だっ!?誰が終わった女じゃ!!もう、許せん!!お主は食ろうてやろうぞっ!!」


 そのイクスの言葉に激怒したセキノモリノヒメはその姿を変貌させる。


「だ、駄目ですっ!!きゃっ!?」

「パッセ!?……イクスっ!!」


 体が膨れ上がり、巨大化。長い白い毛に覆われ、九本のユラユラ揺れていた尻尾もまた巨大化する。そんなセキノモリノヒメの変貌を止めようとパッセが駆け寄るも、蠢く尻尾の一本に払われ、更には俺達とは反対側へと押しやられてしまう。


 俺はパッセの心配をしつつも咄嗟にイクスを抱き寄せ、空中へと身を躍らせた。


「あれが、九尾の狐の本体か。」

「正式には本性ね。」


 改めてその姿を目にする。白い巨大な狐が見下したかのような目で俺達を見ている。その背後には九本の尻尾。見える範囲では尾の一本が無数の槍を生やしたかの様な刺々しい物になり、別の一本では竜巻を起こしたかのような渦を巻き、またまた別の一本は毛が逆立ちイナズマが表面を走っていた。


 他の尾もまたそれぞれ別の属性を持っていると考えられるが、その巨体が俺達の視界から残りの尾を隠している。


「口では勝てないと判ったから、今度は力尽くと言う訳かしら。」

「ぬかせ。お主等はわらわの食事となってもらうぞ!」


 空洞に響く重低音で唸り、九尾の狐が俺達へと飛び掛かった。

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