30話 微妙な暴走
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新人教師でいきなり黒板消しに引っ掛かった人。
天気予報と毎回逆な結果になる人。
<タクト視点>
「お邪魔しまーす。」
ビクビクしながら中に入った俺。
中には大きな椅子に座っている大きな男と両脇に刀を持った男が2人。
その後ろには、レアアイテムと思われる剣、回復アイテムと思われるビンとか置いてあった。
「お前はだれだ?何をしに来た?!」
右脇にいた男が剣を構える。
本当に無理なんですけど?!武力より話し合いを優先させるか!
「別に怪しいものではないです。冒険者をやらしてもらってます。ランク1のタクトです。すみませんが町から盗った物を返していただけませんか?」
超丁寧な俺。まずは下からいくのが話し合いのうまくいく秘訣だな。
俺は土下座しながらお願いをした。
盗賊たちは初めは驚いていたが、状況がわかると大声で笑い始めた。
「親分!聞きました?ランク1の冒険者がランク8の強さの親分に喧嘩を売りに来ましたよ。」
「面白い!おい、雑魚冒険者。返したら何か貰えるのか?」
「いや、なにもありませんけど...。」
「返しても損するだけなら、返さない方がいいではないか。そんなこともわからんで冒険者をやっているのか?あん?」
盗賊たちが再び笑いだす。
バカにしやがって、後でヨシオたちにボッコボコにしてもらうんだから!
「親分、俺が追い出してやりますよ。」
「あぁ、任せた。こんなバカは相手にしたくないからな。」
左側にいたやつが剣を、俺を目掛けて振ってくる。
あぶね!すんでのところで避ける俺。
「避けるなよ!下手に避けたら怪我しちまうぞ!」
避けなくても怪我するだろ。
でも正直トラトラ団って人を殺さないしいいやつら多いよな。
そんなこと思ってる場合じゃねえ!
「ちょっとお待ちください。トラトラ団って名前かっこいいですよね!」
食らえ。おだて作戦!
効果は抜群のようで、攻撃はピタッと止まる。
「ほーう。お前、俺たちのセンスについていけるようだな。」
「教えてやろう。トラトラ団の誇りを!」
「1,むやみに人を殺さない!俺たちは、只の人殺しではない!
2,人は誘拐しない!俺たちは、只の誘拐犯ではない!
3,金目のものは俺たちの物!その事のみが俺たちの生き甲斐だ!」
その下らない生き甲斐のせいで、どれだけの人が困ってるのかこいつらは知らない。
そう思っただけで、イライラしてきた。
「やっぱり、盗賊ってひどいな。」
「あぁ?!てめぇ、やっぱりボッコボコにしてやる!」
しまった。ポロって本音が出ちゃった。
俺はテントの中をあちこちに逃げ回る。
「おい!あんまり動くと何か壊れちまうだろうが!」
すると、隣からすごく大きな音と共に揺れも感じた。
「おっと!」 ガチャン!
何か落としたみたいだ。何か入っていたビンだ。
おもいっきり中の液体を被っちまったぜ。
「おい!それは相手の本性を出す、本性薬じゃねのか?高いやつをこわしやがって。」
すると、周りが揺れ出す。どうやら俺を中心に揺れているみたいだ。
ふと盗賊たちを見ると顔が恐怖で染まっており、何かに怯えているようだった。
「おい!お、お前、本当にランク1か?この魔力の量はランク10オーバーだぞ!」
え?俺まさか暴走してる?
でも意識はあるし、自分の体の動きを完全に把握してるな。
確かに何か黒いオーラ的なものが体から出ている。
「俺はランク1だよ。どうなっているんだ?」
すると、テントにヨシオとミサキが入ってきた。
「タクト?大丈夫か?!」「暴走してない?意識ある?!」
すごく心配してる。あぁ。手を振り、安全なことを伝える。
「よかったぜ、いったいなにがあったんだ?」
「ヨシオ、これ本性薬よ。これを浴びてタクトの隠された本性が出てきたみたいね。」
俺、暴走してる間こんな感じになってるんだ。
魔力をもつ感覚に新鮮だった。でもこれどうやって元に戻すんだろう。
「なぁ、ヨシオこれ直んないんだけど?」
「え?」
「私たちルーベンスにつくまでこんな魔力に、当てられなきゃいけないのかな?」
俺はそんなに困らないけど、盗賊の親分すら部屋の隅でしたっぱと固まって小便漏らしながらガクブルしてるよ。
町に帰れば大変だな。
「んー。子供たちにちょっと話してくるよ。ヨシオは盗賊たちと盗品をよろしくね。それと、タクトは絶対動かないように!」
「わかったぜ。」
ミサキはそういい残して出ていった。
ヨシオは盗賊の親分たちを縄でしばって、盗品をテントの外に持ち出す。
俺は盗賊と一緒に座っていた。
「ひ!ひーー!!」
盗賊からしてみればとてつもない化け物が隣に座っている。
親分あわせて3人は、気絶してしまった。
今さらに魔力が大きくなったのを感じた。
ミサキが戻ってきた。
「子供たちには今の状況を村に話にいって、アイテムボックスをとりに行ってもらったわ。化け物が町に入るっていうのと言うのと、アルファからキーをもらいに行ってくれたの。」
化け物ってそんなにすごいのか?
「なぁ、そんなに化け物っぽいか?」
「お願いタクト!喋らないで!全部覇気になっちゃうから。」
ヨシオとミサキが耳をふさぐ。
マジか?!俺喋ることさえ迷惑かけるのか?
本当にダメダメだな。
「タクト。ちょっと魔力を人差し指に込めてみろよ。」
ヨシオが俺に目をキラキラさせながら言う。
えーと、こうかな?
「ゴゴゴウ!!ゴワ!」
指の2メートルぐらい上空にとてつもないくらい大きな塊が出来た。
禍々しい魔力を込めている俺は自分が怖いな。
「お、おい!タクト?そのでかいやつ消せないのか?」
今度は慌てた様子でヨシオが聞いてくる。
どうやって消すんだよ?放てば消えると思うけど。
「いいか。絶対に放っちゃダメだぞ。他のことを考えるんだ。」
俺はアルファのネーミングセンスを思い出す。
キャサリーヌは酷かったな。
すると、だんだん消えていった。怖かったな。
ヨシオと2人で安心の息をつく。
「さてと、タクトはずっとここに座っていてくれ。俺は帰る準備をしておくから。」
そういうとヨシオはテントから出ていった。
周りからゆらゆらと黒いオーラをまとう俺は中2心を少し思い出した。
しばらくするとユウキがアイテムボックスのキーを持って歩いてくる。
「俺様は怖くないもん。俺様は...グズン。」
あれだけ強気なユウキが泣いちゃったよ。
「これから言っておくと、タクトは町に入るの禁止ね。町が復興出来たら急いでルーベンスを目指しましょう?」
ミサキが当たり前でしょ?と、訴えてきた。
俺もみんなを怖がらせたくないし、しょうがないな。
アイテムボックスに盗まれたものをしまい、屋根にテントに残っていた盗賊たちを山積みにしてから町に向かった。
俺は町から離れたところで野宿の準備をする。
「しょうがねぇから、俺も後で来てやるよ。」
「ヨシオ!ありがとう!」
「うわ、喋んなって!体がすくんじまうよ。」
「それじゃあ私は町の人と連絡とってくるね。」
ヨシオとミサキは俺と少々の荷物を町の外に残して、町に入って行ってしまった。
記念すべき30話です。皆様ありがとうございます。
これからも書いていきますのでお付き合いお願いします。




