22話 淺黄 美咲との出会い
うわ!これありきたりじゃね?って思う方。おそらくいらっしゃいます。僕も読み返してそう思いました。でも、僕はこの展開が一番好きですね。
美咲に初めて会ったと言うよりも、初めて話した。という方が良いだろう。中学3年に進級した俺は進路もしっかりなかったのでとりあえず、冬に路地裏であったヤンキーの言う通りA高校に向けて勉強していた。放課後。3年生の教室は自由に使っていいことになっている。ダメな俺でも勉強くらいはするさ。しないと、とことんダメダメになっちゃうからな。
「お?シラガが勉強してるよ。台風が来るぞ。」
「いやいや、槍が降ってくるぜ。これは大変だな。」
「どうせ勉強しても平均点以下だぜ。」
同じクラスのどこにでもいるいじめっこA,B,Cが俺のことをからかう。集中できん。自販機に行ってジュースでも買って気持ちを入れ換えよう。無言で荷物を整理して自販機へ向かう。
「本当につまんねぇやつだな。毎回俺らが構ってやってんのに返事くらいしろよな。」
するかっつうの。くそ、イライラさせるのが得意なやつらだな。
自販機の近くに行くと誰かが先に買いに来ていた。黄色の髪の毛でツインテールの女の子がいた。黄色のツインテールっていったら隣の淺黄財閥のお嬢様しかいない。だが、お嬢様にしては自販機で飲み物買ってるなんて面白いな。紅茶とかのイメージが強いぜ。
「えーと、お金はどこに入れればいいの?本当にわかんないなぁ。」
様子がおかしい。見てると自販機の使い方がわからないらしいな 。俺も早く飲みたいし、話しかけてみよっと。
「すみません、大丈夫ですか?」
「あら。ごきげんよう。申し訳ありません。少しお待ちくださいね。」
さっきと全然口調が違う。正直、恐いね。その後も自販機相手に、小銭を持って格闘している。よく見たら100円玉をお札入れのところに無理に突っ込んでいる。すげぇ。じゃなくて、壊される前に止めなくちゃ。
「ちょっとストップ。ここに小銭を買いたいものの値段まで合うようにして入れて、買いたいものを押す。やってみてよ。」
「わかりましたの。ここですね。100円と、10円玉が2枚で120円ですわね。私はアップルティーをご馳走になりたいのでこのボタンを押せばいいのですね。」
お嬢様はピッ、とアップルティーのボタンを押す。当然のこどく取り出し口まで落ち、それを取り出す。俺も自分のを買おう。俺はオレンジジュースでいいかな。俺もお金を入れてボタンを押す。しかし中から出てきたのはアップルティーだった。
「押したボタンの物が出てくるんではありませんの?」
「俺は昔から運もダメダメなんだ。」
「そうなんですの。フフフ、面白い方ですね。そうだわ。ちょっと話をしませんか?せっかくの出会いですし、ね?」
俺としては、全く問題ないがお嬢様はこんなダメダメな庶民と話しててもいいのかな。
「俺さえよければですけど。」
「ほんとですの?!では、どこかに座りませんか。」
俺とお嬢様は近くの木陰に置いてあるベンチに移動する。
「私は淺黄 美咲と申します。あなたのお名前をお聞かせください。」
「俺は白神 タクトだ。」
「タクトさんですか。先ほどダメダメとおっしゃっていたのですが、いつもなんですか?」
「あぁ。俺は勉強で平均点以上をとったことがない。勉強するとテスト範囲が違った時もあれば風邪をひいて、テストに挑めなかった時もある。でも勉強をしなければ赤点だから大変なんだよ。」
「そうなんですか。」
「淺黄さんの悩みも聞かしてくれよ。」
俺ばっかり話すのは疲れるし、お嬢様の悩みって言うのも興味は無くはない。
「その、淺黄って呼ばれるの嫌なのでミサキって呼んでください。」
「別にいいけど、だったら俺の前でかしこまった言葉は止めてくれ。一番最初に自販機と会話してた口調にしてくれよ。」
「!あれ見てたの!はっずかしー!誰にも言わないでね。」
お嬢様、切り替え速いな。でも俺にとってはこっちの方がしゃべりやすいし別にいっか。
「なぁ、何で口調変えてて、しかも名字で呼ばれたくないんだ?」
「私は淺黄家の一員。確かにそうなんだけど、美咲でもあるの。口調はお嬢様風にっていうのはお父さんの指示なんだ。名前のことは、家族以外で下の名前で呼んでくれる人なんて誰もいなくて、せっかく友達になれそうな人に淺黄財閥だからって距離を置かれるのが嫌なんだ。」
「距離を置くってそんなやついるのか?」
「財閥の娘を怪我させたら一大事だ!とか一緒に遊んでる友達の親が、遊ばせてくれなくなっちゃってさ。友達はどんどん離れていったんだ。そのまま高校3年生になっちゃったの。」
世の中にはいろんな人がいるんだなぁ。いや、俺が少数派なのか?
「俺なら、財閥の娘なら仲良くして将来なんかあったら助けてもらおうなんて思えるんだけどな。」
「え?」
あっ変なこといっちゃったかな?もしかしてひいてる?
「そんな面白いこと言う人初めてだよ。ハハハ!それって下心丸見えじゃん!」
嫌われては、ないようだけどこの反応は予想してなかったぜ。爆笑されてるよ。ヤンキーの時もそうだったな。俺が何かいったら爆笑。笑わせようなんて微塵も思ってないんだけどなぁ。
「みんながみんな、そうやって私に近づいてきてくれたらいいのに。私1人はもう嫌なんだ。体育の時だって先生ですら見学してもいいぞっていってくるし。たくさん友達欲しいよう。」
美咲が涙を浮かばせて心から思っていることを呟いた。そんな美咲を見てなんか言わなきゃ、口から出た言葉がこれだった。
「でも、大切なのは友達っていう名前の人じゃなくて、どんなときでも一緒にいたいっていう心のことだと思う。たくさんなんて俺はいらないな。」
友達いない俺が何言ってんだろ。でも、俺にだってそんなやつが欲しいっていつも思ってるもんね。
「一緒にいたいって思える心...。私にもあるかな?」
「無いわけがねぇよ。まだ見つかってないだけだ。俺もだけどな。」
そのあと、美咲と俺は色んな雑談をした。5組の山田康緑君が自由な感じが好きだとか、ピアノでコンテストによく参加してるだとか、お嬢様の生活はめんどくさいだとか。ほとんど愚痴を聞かされた。俺の勉強タイムと引き換えにな。全校放送が突然入る。
「5時です。校内に残っている生徒は帰宅しましょう。後、15分で閉門です。」
もうそんな時間か。結構雑談も楽しかったな。
「タクト。そろそろ帰ろうか。」
「おう、美咲。帰るか。」
校門に向かいながら美咲がしゃべりかける。
「えーとさ、時々タクトの教室に遊びにいってもいい?」
「いいぜ。俺はいつでも暇してる。勉強の時以外な。」
「ありがとう♪明日にでも行くから!」
そう言って走り出した美咲。校舎の外でリムジンが止まっていた。あれ、朝と帰りに見るけど美咲のだったんだ。そのリムジンに乗り込む。あっそうだ。
「美咲ー!明日は休日だぞー!」
どうやら聞こえてないみたいだった。
どうでしたか?
次回は魔女狩りです。
感想、ダメ出し、誉め言葉。どんなことでもいいので、待ってます。




