19話 今日のメニューは日替わりでした
仕事に追われる日々が続いております。
台風が僕に休めって言ってくれているみたいですね。
読者様も台風にはお気をつけください。
「お腹が減りましたの。お食べ物を下さる?」
上品な口振りで食べ物を要求する美咲に似た女の子。
しかし、口調はお嬢様そのものであり、聞いたときつい耳を疑ってしまった。
「おい。雷速娘。工業貴族だったんじゃねーのか?何があったんだ。」
「あらぁ。爆炎剣さんではありませんか。お元気でしたか?私は元気でしてよ。」
「元気じゃねーだろ!かなり痩せたんじゃねーか!なにがあったんだ?」
そういえば、美咲と比べてもかなり痩せてるなぁ。
頬骨なんかもしっかり見れば浮き出てるのが見えるくらいだ。
「爆炎剣さん。私の話よりお食事にしませんかぁ?」
「あぁ。わかったぜ。俺の奢りだ!しっかり食え。その代わり食ったらちゃんと教えろよ。」
「わかりましたわ。ご迷惑をかけます。」
ヨシオが雷速娘に肩をかして立ち上がらせる。
どうやら食堂に向かって歩き出したのだろう。
俺も、アルファもお腹すいてたし食べに行くか。
ヨシオが紹介した店はどこにでもあるような定食屋だった。
工業都市という町には似合わず、全てが木造。
ガラスの引戸、屋根は瓦。
うーん。田舎のじいちゃんの家を思い出すな。
ヨシオがガラッと引戸を開ける。
中はほぼ満席に、なりかけてるほど賑わっていた。
「おう。親父さん。また飯食いに来たぜ。今日は俺の仲間も紹介してやるよ。」
「ヨシオかね?久しぶりだのう。何食べるだぁ?」
「日替わりとポテポークを4人前。ここ座るぜ。」
「あいよ。それにしてもヨシオが仲間ってのも珍しい。」
「あぁ。紹介するよ。俺のいるパーティーのリーダー。タクトだ。」
俺のことがさらっと紹介される。
「どうも。タクトです。」
「次に、そのタクトの嫁さん。アルファだ。」
「だ、だだ、誰が嫁よ!何いってるのよ!」
「ハハハ。冗談だ。最後にタクトの頭の上にいるネコ。タマだ。」
「ニャ~!」
タマが元気よく挨拶?をする。やっぱ知能高いな。
アルファとヨシオがさっきの冗談について言い合いしてた。
「タクト君。ヨシオはいつも一人だったんだ。これからも一緒にいてくれないか?」
この親父さん。ヨシオのことが心配だったんだな。
俺の方がお世話になってるしここはビシッとかっこよく決めるかな。
「親父さん。俺の方がヨシオに助けられています。ヨシオが1人がいいと言っても...」「だから冗談だって言ってるだろう!」「周りの人に言ってはダメな冗談があるじゃない!」
おい。俺の決まったセリフ。
最後まで言わせろよ。
「ほらよ。日替わりとポテポーク4人前だ。」
「おー!久しぶりだぜ!」
「こっちのネコちゃんにはポテポークだけでいいかい。」
親父さんがテーブルに持ってきた定食を置く。
タマも匂いにつららて俺の頭からテーブルへと移る。
さっきから思ってたんだけど、ポテポークってなんだろ?
持ってきたものを見て一目でわかる。
肉じゃがだった。お袋の味っていうのか?
ホカホカでほんと、うまいぜ。
俺とアルファ、ヨシオと美咲に似たような人が食べ始める。
日替わりはなんかの魚の味噌煮込みがメイン。
雷速娘が骨を取るのに苦労していた。
確か向こうの美咲も魚食べるのめんどくさいって言ってたっけ。なんか面白いな。
「やってやるよ。美咲。」
「?!あなた、私の本名を?!」
しまった。またやっちまった。
しかもお前もミサキかよ。
「こ、こんなおいしい料理は岬で食べたいよな♪ん?どうしたの雷速娘さん?」
誤魔化してみたつもり。
さて、結果はいかに?
「私の気のせいでしたの。それにしても美味しいですわね。初めて食べた味なんです。こんな場所があったなんて。もっと早く来ればよかったですわ。」
料理の味のほうが興味深かったようだな。よかったぜ。
「んで、雷速娘。何があったんだ。1~10まで説明してみろ。」
「わかりました。私は工業貴族。この、工業都市で権力者の娘でしたわ。同時に冒険者でも活躍していましたの。ある日、他の工業貴族と会談があると言うことで私も参加していましたのよ。ですが、その会談で雷で攻撃された。という商人さんがいらっしゃったの。皆が私を見ましたわ。親でさえ、疑いましたの。やって無いと、訴え続ける私。でもこの付近で雷を使うモンスターなんていない。私は貴族の名前を剥奪され、今まで貯めてきたお金も全部没収されたわ。」
ミサキの話だけを聞くと完全に嵌められたように聞こえるな。
「しばらく俺たちと組むか?雷速娘さん。」
「え?いいんですの?私といると何があるのかわかりませんよ。」
「いいよな?ヨシオ、アルファ。」
俺の判断だけで決めちゃダメだけど、こいつらも人がいいし一応確認で聞いてみる。
「いいよー♪女の子ともパーティー組みたかったし。」
「心強い助っ人だしな。大歓迎だぜ!」
「皆がこういってるんだし別にいいんじゃね。」
「ふふ。ありがとうございます。爆炎剣さんも本名をいっているみたいだし。私はミサキといいます。よろしくお願いします。」
アースファミリーとミサキは臨時パーティーを組む。
「親父さん。ごちそうさまでした。1200マネー。置いてくからな。」
「また食べに来てなぁ。待っとるぞー!」
「ごちそうさまでした。おいしかったです。また来ますね。」
日本の定食屋より旨かった。
この量と味で1人300マネーは良い値段だと思うな。
魚のみそ煮込みも俺好みの味噌を使ってあったし。
「うーん!今から何するの?タクト?」
アルファが背伸びしながら聞いてくる。
「ヨシオ。早めに休みたいんだ。宿の場所を教えてくれ。」
「そうだな。見回って決めようと思ったけどミサキもいるし宿に入るかぁ。」
「私!お金持ってませんの!宿なんて入れませんわ。」
「明日から働いてもらうから、心配しなくても良いぜ♪」
ヨシオ。その言葉はちょっと危ないぜ。
俺たちは宿に向かう。歩いて10分。大きなホテルについた。
「こんな良いところで休むの?!」
「ハハ。ただでかいだけだ。中は普通の冒険者用ホテルだぜ。」
中に入り、手続きをとる。
2人部屋を2つ用意しそれぞれの部屋に向かった。
男女で分けたがアルファとミサキ、一緒の部屋で大丈夫だったかな?
「荷物置いてきたら、明日からやることを話しましょう?」
「了解。俺たちの部屋は207だ。後で部屋に来いよ。」
「一応私たちの部屋は329よ。」
お互い、別々の部屋に向かった。
日替わりの中身、詳しくしようか迷いましたが味噌煮込み以外はご想像でお願いします。
次回は依頼を受けにいく話です。




