14話 メンバーはダメと不良と...
今話でヒールミア編は終了です。別れの時、想像してみたけどうまくかけてたかな?
「チュンチュン、チュチュン。」
小鳥が窓の外で鳴いている。
外は薄暗く時間で言うと5時位であろうか。
昨日はそんなに眠れなかった。遠足の前の楽しみとは少しだけ違うが、期待と不安で眠れなかったのは違いない。
横を見るとアルファが背を向けて眠っている。
「んじゃな、アルファ。お前と過ごしたのは短かったが、いろんなこと教えてもらって本当に助かったよ。でもここからはもっと危険になると思う。アルファはこの町に残るべきだ。ありがとう。」
俺自身もアルファと過ごした毎日は本当に楽しかった。
協力して討伐したり、飯食ったり、商人と交渉したり。
地球では考えられないくらい新鮮で...考えるのはもうやめよう。アルファと別れるのがもっと辛くなる。
アルファの背中が震えていたことに気づくことはなかった。
布団がある部屋を出ると、ヨシオが待っていた。
「アルファちゃんにちゃんと話したのか?」
「一方的にいってきたつもりだぜ。それよりも他の人たちにも挨拶してくる。」
「おう。俺はこの町の門で先に待ってるぜ。」
「わかったよ。1時間は掛かりそうだから勘弁な。」
「ほーい。」
ヨシオとギルドのメインフロアに来た俺たち。
ヨシオはそのまま扉に向かいながらサーベルガーを討伐に行くときと同じ後ろ向きに手を振りながらギルドを出ていく。
まずはギルド内にいるリーアさんとギルド長だな。
そう思っていると、リーアさんがこっちに向かってきた。
「これは昨日預かったギルドカードよ。それからこの石をもう一度持ってみなさい。」
俺はカードを受け取った後、ランク測定石[俺命名]を持った。
今度は間違いなく石に1と出る。
やっぱりな。俺はダメダメだからな。測定石をリーアさんに返す。
「ありがとう。これで貴方は正真正銘のランク1の冒険者よ。」
リーアさんがやたらと、冒険者を強調して言う。
「そう。冒険者は自由気ままの金儲けの人たちだからしょうがないのよね。」
俺に抱きつく。
胸があたる感触はなんとも言えない...がとてもそんな雰囲気ではなかったようだ。
「まるで、弟のように想っていたわ。アルファちゃんが妹でタクトくんが弟。..また帰ってきてもいいんだからね。2人とも。」
「ありがとう。リーアさん。俺、他の人にも挨拶してくるよ。」
リーアの言った、2人とも。
の部分は完全に聞いてないようだ。
次は、武器屋、よろず屋に向かった。
近くに行くとおじさんとおばさんが店の外で待っていた。
「少しの間、世話になったな。」
「はん!お前みたいなのがいなくなってせいぜいするわ。...これは包丁がわりのナイフだ。持ってきな。」
「服だよ。あんたに会うサイズを選んどいたよ。」
ナイフと服をもらう。本当に温かい人たちが多い町だな。
「ありがとう。また帰ってくるよ。」
これ以上の挨拶はいらないな。
ヨシオが待っている。次を急がないと。
次に向かったのはこの町に来て一番助かったところ、アルファのおばあちゃんだ。
「......」
黙って扉を開けた俺。
机の上を見ると昨日食べるはずだった夕飯が3人分おいてある。
「こら。ただいまも言わないで帰ってくる息子がどこにおる?」
椅子に座っていたおばあちゃん。気づかなかった。
何から話したらいいんだろう。
「取り敢えず、ただいま。」
「お帰り。スープを温めなおしておいたからお飲み。」
「うん。」
流れに流されるまま、俺は夕飯とは別に用意された朝食を食べる。
そういえば空腹だったんだ。保存用携帯食を食べて以来、何も口にしてない。
とにかくおいしかった。
「わたしのことなら心配ないよ。おじいさんが残してくれた財産もあるんしね。」
「おばあぢゃん。あ,ありがどう。」
涙が溢れだす。涙で料理の味がしょっぱくなっていく。
俺ってホントにダメダメだな。
ずっとここにいたい。
ここにいたら想いか強くなってしまうだろう。
遠くに出掛けるくらい、さらって行きたかったのに。食べ終えた俺はおばあちゃんにハグされる。
「これからも自分に負けず頑張るんだよう。」
「うん。行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
まとめるほどの荷物もない。
おばあちゃんと別れると約束の時間まで屋台をうろついた。
まだ早い時間だというのに賑やかなメインロードがある。
「おらよ。タクト。うちの新メニュー食ってくか?旅の景気づけだぞ!」
「ありがとう。おじさん。300マネー分ちょうだい。」
約束の時間が近づいている。
んじゃ行くとするか。町の門が見えてきた。
ヨシオに手を振る。手を振り返してきた。
すると後ろから小さな衝撃がきた。
「タクト。どこいっちゃうの?わたしを置いていくの?」
アルファだ。
そうだよな、話はちゃんとつけないとダメだよな。
「俺はもう、アルファを危険な目に...」
「あーもう。黙れ!ヘタクト!わたしの言うことをきいて!」
こんな強引なアルファは、初めて見た。
俺は気迫に推されて何も言えない。
「わたしね。同じくらいの年齢で冒険者やるのタクトが初めてだったんだ。依頼に行くとホントに楽しかったんだ。これからも一緒にいたい。確かに今の生活も大切だと思うわ。でもわたしはタクトと一緒がいいの!」
俺もアルファとほとんど同じ気持ちだったんだ。
だがまたさらに悩む。
危険な目に遭わせたくないから、一緒に行かないのか。
それとも一緒にいたいからただ、それだけの理由でついてくるのか。
「爆炎剣の言うことが正しかったらわたしがタクトの暴走を止めたらしいじゃない。わたしもタクトの手伝いが出来るのよ。それに、もうこの事は決定事項だから!」
「決定事項?なんだそれ。」
「パーティーも登録しちゃったんだもん!それにおばあちゃんともお別れしてきたから。」
ヨシオに助け船を求める。
頑張って。みたいなジェスチャーをして逃げていった。
顔がニコニコしてるぞ、ちくしょー。
「どうしたらわたしを連れてってくれるの?」
泣きながらアルファは俺にすがってくる。
はぁ。ホントに大丈夫かな。
「わかったよ。その代わり少しでも危ないと思ったら逃げてくれよ。けして俺を助けようと思うな。それが条件だぜ?」
「わかった。ありがとう。...もう少しこのままでいるわ。」
泣き顔を見られたくないのかな?
10分ぐらい固まる2人。
「もう大丈夫か?」
「うん。これからもよろしくね。」
満面の笑みを俺に向けてくる。
本当にアルファを守れてよかったぜ。
「お2人さん。もう終わったか?早く行こうじゃねーか。」
「爆炎剣。改めましてわたしはアルファ。16よ。」
「おう!アルファちゃん。ヨシオだ。22なんだ。」
俺より5歳上?!マジかよ。ビックリだぜ。
「あっ、俺は...」
「「あっ、タクトはもう知ってるからいいや(ぜ)!」」
アルファとヨシオにハモられた。
ショックなんだけど。
「パーティー、アースファミリーを門から通します。いってらっしゃい。」
「ジエンおじさん。行ってきます。ヒールミアをよろしくね。」
「若いっていうのはいいねぇ。ではいってらっしゃい!」
俺とアルファとヨシオはヒールミアを出た。
やっと、最初の町を出ることが出来た、ですね。
次回は旅の行き先を決める話にしようと思います。これからもお付き合いください。




