第六話 来訪者
村人たちはおもちのことを案じながらまつ子が作ってくれた煮っ転がしを食べていました。
すると、突然…
「おいっ!誰かおるかーっ!」
聞き覚えのない野太い声が門の方から、聞こえました。
「せんべい?」
「いや、違う…鬼っ?」
村人たちは全員そう思いました。
一気に緊張感が高まります。
女と子供は家の中へすぐさま入り、男たちは身構えます。
武器になりそうな物は、薪割り用の斧と畑を耕すクワ、草刈り用のカマが数本のみです。
沖田と近藤はすぐに斧を手に取ると、袖を捲り上げながら門の方へ向かいます。
「ぶっ殺してやるっ」
「気をつけろっ、何人いるか分からんぞっ」
斎藤も浅井もクワを持ち沖田と近藤の後を追います。
すると門の中へゾロゾロとガタイの良い男たちが数人入ってきました。
男たちも同じように袖を捲り上げ今にも飛びかかって来そうな勢いです。
「おいっ!お前ら誰だっ」
斎藤が大声で男たちに問いかけました。
「斎藤さんっ、聞いても意味ないだろっ、鬼ヶ島のやつらに決まってんだろっ」
沖田は振り返る事なく、男たちを睨みつけながら言います。
「お前らが鬼ヶ島のやつらじゃないんかっ、俺らは瀬戸村の者じゃっ」
門に入ってきた男の一人が言いました。
すると、双方の歩みが止まります。
「瀬戸村?証明できるのかっ」
沖田は目の前に迫った男たちに聞きましたが、油断はできず攻撃態勢のままです。
「何じゃお前、お前らこそこの島の者か証明できるんかっ」
「何だとっ!俺は波佐見村の沖田だぁっ!」
沖田が両手で斧を振り上げたその時でした。
「きゃぁーっっっ!!!」
沖田の手が止まり、全員が後ろを振り向きました。
そこには、白髪の娘が両手で頭を押さえしゃがみ込んでいます。
「えっ、あんこ?」
「目を覚ましたのかっ」
「あんこちゃんっ」
「大丈夫かっ」
皆、あんこの元へ駆け寄ります。
「どうしたの?大丈夫?」
まつ子があんこの肩を抱き寄せ聞きます。
するとあんこはスッと立ち上がり、苦しそうな顔をサッと笑顔に変えました。
「うん、大丈夫です。長い間寝てたみたいでごめんなさい」
「あんこちゃんが謝ることないよ。体は大丈夫かい?」
村人たちは急に目を覚ましたあんこの体の事が心配で仕方ありません。
「うん、大丈夫です。それより瀬戸村って聞こえたんですが、瀬戸村の人が来てるの?」
「ん?…あぁ、そうだった。本当に瀬戸村のやつらかどうかまだ分からんがな」
沖田や近藤たちは男たちに疑惑の目線を向けながら言います。
「おいおい、もしあやつらが鬼なら今の間に襲いかかってきとるじゃろ。それに金棒どころか武器らしい武器も持っとらん」
「そう言われれば…」
皆、明智のばあさんの話に納得しましたが、まだ完全に信じきれてはいません。
すると、ガタイの良い男たちの後ろから、更にガタイの良い男が現れました。




