【⑤-4/6】【21】面接もあんだよな
その後ちょっとしたら全員の測定が終わったんで、また隣の部屋に戻れって指示があった。
残るは個別面接だ。
その後すぐ合格発表して、希望者はアドバイス兼ねた面談だな。
ま、今回は手ごたえありだ。合格しただろこれ!
俺は……合格してても面談は受けてくか。
一般人、だしな。
――隣の部屋に戻ってから、すぐに面接が始まった。
何人かずつ呼ばれてくが、部屋は別らしーぜ。
"C"の頃は、人数が多いんで集団面接だったな。
このクラスは人数が少ねーから、個別面接でも結構早く終わんじゃねーか?
なんて考えてぼんやりしてたら、俺の番号呼ばれたぜ。さっさと行ってくっか。
面接は過去の成績とかも見て、なんとなーく、それっぽーい話して、終わったぜ。
そういや、"力"のランク付けについて説明があったな。
試験の"A"とか"S"とかのランクは"乙級"基準での判定結果で、"力"だけなら"B"でも"乙級"の最低ラインはあるんだと。
だから、その基準で測定した場合、"甲級"レベルに達してたら最低でも"S"が四つとか五つとかになるらしい。
おいおい! じゃあ寺馬嶺と皇はもう"甲級"レベルってことかい!
――ああ、でも、まだまだ上があんのか。
"最低でも"、だからな。
……合宿の教官とか、一体何個くれー"S"付くんだろなー?
席に戻って葛葉に話聞いたら、葛葉の面接も似たり寄ったりの内容だったみてーだ。
あと、ふつーに治癒技能伸ばすように言われたらしい。
赤神さんは俺等と同時に呼ばれてたが、まだ帰ってこねーぞ。
なんか、ちょっとなげーな。
雰囲気からして初受験だろうし、年齢やら猫やら感知能力やら、色んな意味で特殊な人だからな。色々聞かれてんだろ。
結局赤神さんは、俺等の次に呼ばれた奴らと一緒に戻ってきた。
席が離れてるんで、今は話せねー。
一応まだ試験中だし、席立って話に行くのもな。
後で、ちょっと話聞いてみっかねー。
◆◆◆
面接が終わった。
この部屋で、すぐ合格発表だ。
多分、面接しながら人間性含めて成績見て合否決めてんだろうな。
発表の前に、試験官の責任者っぽい人が来て一言述べてった。
まだスタートラインだから、驕らずがんばれ。
不合格だった奴は次こそ合格してほしい。って感じだった。
確か"C"とか"B"でもこういうこと言われたな。
内容は違うけどよ。
で、けっかはっぴょ~
落ちたのはギリギリ"A"って感じの一人だけだった。
しっかし、さすが"A以上"だな。合格率九割以上か。
俺のダチは今回来なかったんで、後で合格したって煽ってやるか。
今回受かった俺と大差ねーんだから、どうせ次にゃー受かるだろーし、アイツなら逆に燃えんだろ。
もう六時過ぎてっから、発表後の面談受けねー奴はさっさと帰ってく。
俺は面談受けっから部屋に残ったけど、赤神さんも残ってんな。
もう試験は終わってんだし、話でも……と思ったら、呼ばれてった。
今のうち声掛けとかねーと。
「赤神さん、終わったらちょっと話して―から、先に終わってたら待っててくんねーか?」
「ああ。いいよ。元々待ってるつもりだったしね」
「さんきゅー。じゃ、また後でな」
これでよし、と。
赤神さんが出てってすぐ、俺等も呼ばれた。
今後は葛葉と組んでやってくつもりなんで、面談では今後の方針とか相談した。
あれだ。その、"組んでく"ってのは、仕事の話な!
他には、修行の方針とかだな。
試験の結果から、重点的に鍛えた方がいいとことか聞いた。
師匠も万能じゃねーから、ちゃんと聞いて来いって言われてんだ。
ま、学校あるうちは本格的に仕事もできねーし、いきなり独り立ちもできねー。
細かい内容は師匠と相談だな。
面談終わって部屋に戻ったが、赤神さんも、葛葉も、まだ終わってねーな。
俺は全部終わったし、二人待つ間に着替えとくかね。
こういう時、男は便利だよな。わざわざ更衣室行かなくてもいいしよ。
あー。七時過ぎかー。
もう外はくれーなー。十月だもんなー。
駅までのバス、丁度いいのあっかねー。
◆◆◆
――着替えてからぼんやりスマホ見てたら、赤神さんが部屋に戻ってきた。
「お。お疲れ。赤神さん、結構時間かかったみてーだな?」
「ああ。俺は基本的な知識が全然ないから、色々聞いてたんだよ」
「へえ? 赤神さんも勉強嫌いなんだな。俺も同じだけどよ。
必要な知識だし、少しずつ覚えるしかねーよな」
「ただの言い訳になるけど…… 仕事と家事もあるから、"乙級"の合格に向けた"力"の修行以外に時間が取れなくてね……」
「家事? 彼女とかに頼めなかったのか? 赤神さんモテそうじゃん」
「ああ……妻は居るんだけどね。家事は修業中なんだ」
「赤神さん結婚してんのか!? ……って、驚くことでもねーか。
指輪もしてねーし、気付かなかったぜ。
家事修業中って、どっかのお嬢様とでも結婚したのか?」
「まあ……そんな感じかな。
でも、頑張って役に立とうとしてくれるだけでも、嬉しいものだよ」
赤神さん、笑いながら雪乃ちゃん撫でてんな。
雪乃ちゃんも顔擦り付けて、仲いいなー。
奥さん嫉妬しねーのかな。
……まあ雪乃ちゃんは猫だし、だいじょぶか。
――赤神さんと雑談してたら、いつの間にか俺達だけになってた。
お、他の奴と一緒に葛葉が戻ってきたぜ。
「色々聞いてたら遅くなっちゃった! ごめーん!
あー、駅に行くバスは―― しばらく無いわね……」
「まー別にいいだろ。気にすんな。
前のバスに乗れても、精々一時間違うくれーじゃん?」
「そうだけど、ありがと。
そういうとこがゴニョゴニョ――」
葛葉が今なんか言ったみてーだが、ぼそぼそ言っててわかんねー。
いつもはハキハキしてんのに、時々こーなんだよなー。
聞き返すと怒りそうだし、スルースルーっと。
「君達電車で? 家は埼玉って言ってたけど、遠いのかい?」
「あ、はい。地理的には、北側に山を越えたところなんですけど。
交通機関的にはバスを乗り継ぐか、電車で東京駅まで行ってからそちら方面に行く電車に乗り換える必要があるので、どうやっても三時間くらいかかります……」
「それは遠いね……俺は車で来てるから、家の近くまで送ろうか?
ただ、君達を送る場合は食堂で夕飯を食べてからになるけどね」
「本当ですか!? マキ、お願いしちゃお?」
「マジか! 神! 当然乗せてもらうだろ! おねがいしまーっす!」
「もう七時半だし、私達も夕飯食べていきましょ?
ていうか、かなりお腹空いたわ……」
「おう! 帰るとなったら、めっちゃ腹減ってきたな!」
「じゃあ、早速食堂に行こうか。
……ああ、雪乃もテーブルの上で一緒に食べるけど、いいかな?」
「はい! むしろ、雪乃ちゃんと一緒にごはん食べられて嬉しいです!」
葛葉、舞い上がってんなー。確かに、今日はいいことばっかりだもんな。
試験も合格した。
知り合った皆で一緒に飯。
しかも車で送ってもらえんだぜ?
こりゃVIP待遇だな。
「そうだ。夕食に付き合ってもらうんだし、俺が奢るよ。俺は社会人だしね」
「相手に気を使わせないように付き合ってもらうというのを口実にさらりと奢り提案してくれる……オジサマ、スマート! 素敵!」
また葛葉がなんかぼそぼそ言ってんな。
まあいっか。
「おーっと待った! 赤神さん。俺等は同期だぜ? 借りは作らねー」
「車に乗せてもらったら、借り作っちゃうわよ? マキは乗せてもらわないの?」
た、確かに!
なら……!
「この、俺が何でも一つ、言うこときく券を――」
「なによ、その小学生がお母さんに渡すような券は!
やめなさいよもー! 没収没収!」
葛葉に取られた……
「じゃあ、高尾君が俺に声を掛けてくれて知り合いになった記念、ってことでどうかな?」
「記念か……ならいいぜ! ごちそうさまでーす!
ほら葛葉も言っとけよ。ついでに、俺に感謝しろ?
俺が最初に声掛けたおかげで、知り合いになれたんだからな!」
「うん。すっっっごい感謝してる! オジサマ、ごちそうになります!」
ふつーに感謝されちまった。
肩透かしだぜ。
ほんとは、自己紹介しとこうって言い出したの、葛葉なんだけどな。
つーか、赤神さん、オジサマって呼ばれてもあんま反応ねーな。
俺も最初はオッサンって呼んでたけど、大人はそういうの、あんまし気にしねーんだな。
「じゃあ、私は着替えてくるから、先に行ってて! 私は麻婆豆腐定食大盛で!」
「おーう。昼に迷ってたやつなー。急げよー」
俺と赤神さんは、葛葉と別れて食堂に向かった。




