【⑤-2/6】【19】午前は筆記試験だぜ
これから試験開始なんだが、まずは廊下にある"ゲート"で"力"の強さを測定すんだ。
"ゲート"にはびっしり札が貼ってあってな。
通過したときの札の反応具合を読み取って、ランクが通知される仕組みだ。
自分でも札の反応具合は見えるが、どう読み取んのかは、さっぱりわかんねー。
んで、その測定結果のランクごとに分かれて試験って感じだ。
俺と葛葉は、前々回の初回受験でランク"C"、前回ランク"B"と順調に上がってきてる。
ランク"B"でも総合的な判定で合格になる場合があるみてーだが、やっぱランク"A"になってからが本番なんだろな。
特に急ぐでもなく、ふつーに列並んでふつーに測定してもらった。
――で、試験官による測定の結果。
俺と葛葉はついにランク"A"判定になったぜ!
こりゃーテンション爆上がりだろ!
「やったぜ! "A"だ! 葛葉も"A"か!?
ようやく合格に手が届きそうだな!」
「私も"A"! やったね!
でも、"A"なら合格ってワケじゃないわ!
失敗しないように気を付けないとね!」
「だな! 慎重に試験こなして、絶対合格しようぜ!」
渡された"A"ランクの判定結果用紙を手に、俺と葛葉はダッシュで"A以上"判定の部屋に向かったぜ!
――で、部屋には、あっという間に着いた。
なんたって、"A以上" の部屋はゲートからすぐだからな!
ダッシュなんかしなくてよかったんだけど、気分だ気分!
部屋に入ってざっと見まわした感じ、ガッコの教室くれーの広さだ。
体育館と同じような、折り畳みの椅子と机が並んでた。
本来は会議室か何かなんだろーな。
――前回同じ"B"だった奴が何人か先に来てるみてーだ。
部屋の正面に貼り出されてる判定結果用紙を見たら……俺等と同じ"A"か。
受験番号しか書かれてねーけど、合宿でも顔合わせてる。
そいつらとは、思わずニヤリと笑い合ったぜ。お前も来たか、ってな。
俺等の判定結果用紙を渡したら、廊下側の席に座るよう指示された。
前の方に座んのは、ちっちぇー奴と、目がわり―奴!
っつーワケで、ちょい後ろの方。
前から七列目あたりに、葛葉と並んで座った。
「まだ、あんまり来てないわね」
「そうだな。俺等、そんなに順番早くなかったよな」
やっぱし、"A"になるのはそう簡単じゃねーってこった。
お? 俺等けっこーすげーんじゃねー?
それに、"A以上" の部屋なら、これから有名どころの面々が来るはずだからな。
あいつらの判定結果、じっくり見てやるぜ。
……そう思ってたら、続々来たみてーだな。
久氷はランク"S"!
うおっ! いきなり"A"超えかよ! いやまあ、妥当か。
久氷は確かにすげーもんな。喋んねーけど。
久氷が窓側に座るよう指示されたってことは、多分ランクで座る場所分けるんだな。
那覇は……ランク "S+" !?
"+"、だと……!? そんなんあんのかよ!?
じゃあ"A"にも"+"があんのか?。
それより衝撃なのは、"S"の上があるってことだ。
次に来た真除はランク "AAA+"。
??????????
ちょっと待てよ……"+"があるのはいいんだ。
でもよ、"AAA+"ってなんだよ!?
"A"の上は"S"じゃねーのか!?
"AAA" があるってことは、"A" と "S" の差は……
えーと、六段階ってことか……
――次は、合宿で一緒だった奴。
俺等一般人の中じゃ頭一つ抜けて優秀な奴だったが、こいつが"AA"だった。
つーか、あいつで"AA"なのか。
"S"ってどんだけだよ……
花鳥宮姉妹はランク "SS" か。
もう驚かねーぞ。"AAA"があんだから、"SSS"まではあんだろ。
寺馬嶺は当然ランク "SSS――S"!?
"S"三つが上限じゃねええええええええ!
ってこたぁ、皇は――
おいおい、"SSSSSS"って……
ハハッ! "S"六って、"A"と、どんくれー差があるんだろうネ!?
それからは"A+"が一人。
俺と葛葉含めて"A"が五人だった。
"AAA+"以上上の奴は試験じゃ見たことなかったが、みんな初試験でこれかよ!
まあ、あいつらと張り合いに来たんじゃねーし。
そんなん気にしてもしょうがねーな。
まずは"乙級"合格して、そのうち追いつきゃいいだけだ。
そうそう、あのチンピラ連中は誰一人この部屋に来てねーぜ。
"C"でも見たことねーんだし、来るワケねーよな。
奴等まともに修行してねーから当然だよな。
「今、受験者全員の判定が終わったと連絡がありました。
あと一人、この部屋に受験者が来たら試験の説明を始ますので、少々お待ちください」
お。ようやく終わったか。
いよいよ試験開始だな。
早く来い来いあと一人~
――って、あのオッサンきたああああ!
「こちら、お願いします」
オッサン、渋くていい声だな。
さて、オッサンのランクは―― "A"か。
貼られてる判定結果は受験番号だけだから、名前もわかんねーが……
苦労してここまで来たんだろうな。親近感。
オッサンが後ろの方の席に座ったとこで、試験問題の冊子が配布されて説明が始まった。
「では、試験の説明を始めます。
何度か受験している方はご存知の内容かと思いますが、初受験の方も多いので、お付き合いください」
"C"と"B"で試験方法は同じだったし、"A"でも基本同じだろな。
違うのは、表紙に"ランクA"って書いてることくれーか。
感慨深いぜ。
「冊子の前半は一般常識で、単なる知識問題です。
後半は適性検査となっており、"力"の詳細を分析する為のものです。
設問の指示通りに実施してください。
なお、この問題用紙は特殊な術が施されており、ペンに"力"を込めないと記入ができませんので、ご注意ください。
お手元の冊子を確認し、判定"S"以上の方は表紙に"ランクS"、それ以外の方は"ランクA"と書かれていることを確認してください。
間違った冊子が配られていた場合は交換しますので、直ちに申告してください」
説明からして、やっぱし基本は"C"や"B"と同じだな。
「なお、試験中は使い魔などが勝手に動き回らないよう指示してください。
それでは、五分後の午前十時から試験を開始しますので、準備をお願いします」
説明が終わったんで準備始めたら、後ろの方からオッサンの囁くような声と、猫の鳴き声がした。
「おとなしくしてるんだぞ?」
「にゃあ」
向こうの机でも真除が猫に指示出してるみてーだが……
アイタタタタ……
オッサンと違ってガッツリ猫と会話してる感じだぜ……
「皆さん、準備はよろしいですか?
試験時間は正午までですが、後半は検査なので、一時間経過したら退席しても結構です。
ただし、一度退席してから戻るのは禁止です。
では、始めてください」
さて、猫を気にすんのは終わりだ。
とにかくやるぜ!
前半は中学生の学力と、一般常識がありゃー大体解けるような問題だ。
高校生なら一般常識問題を勉強しときゃ問題ねー、って難易度だな。
ざっと見たとこ"B"と大して変わんねーから、ランク間で内容に差はねーっぽい。
【妖】退治に方程式はいらねーが、報告書書くのに文章力は必要だ。
化学式は知らなくてもいいが、生物の仕組みとか可燃物、通電する物質なんかは知っとく必要がある。
あとは、社会常識とか倫理、規律についてだな。
【特殊調査員】は一般社会にゃ極秘で活動すっから、一般常識もねーような奴はダメっつーこったな。
◆◆◆
筆記の前半はさらっと終了だ。
全部自信あるワケじゃねーけど、大体は行けただろ。
で、後半の適性検査だな。
後半の内容も"B"の試験とあんまし変わんねーみてーだが……
あー……かなり"力"込めねーと、術に弾かれて字が書けねー。
掛かってる術が"B"よりかなりつえーんだな。こりゃ確かにきちー。
"A"なら合格率高いって話、これを全問回答できれば"乙級"としての実力は十分っつーことか。
葛葉も、前に座ってる"A"判定の奴も結構辛そうだが……
"S"以上の連中はどんなもんだ?
……うはー……黒い方の花鳥宮なんか、頬杖突きながら、だるそうに答えてら。
あんまり見回すと注意されっから全員は見えねーけど、他の"S"以上の奴等もらくしょーなんだろな。
しかも"S"の冊子なんだから、"A"よりきついんだよな?
やっぱし、あいつらすっげーんだな。
ま、別にいーわ。
アイツらがどんなに凄くても、俺が困るわけじゃねーし。
一時間経ったら、花鳥宮姉妹が退席してった。
他の"S"以上の連中は、終わるまで座ってたな。
俺等"A"の方は、最後まで誰も退席しなかったな。
殆どの奴が"力"出しっぱなしで、みんなぐったりしてたぜ……
――これから二時間昼休憩で、その後に午後の部が始まる。
コンディション戻すために、休みは長く取られてんだと。
食堂で昼飯食って、消耗した"力"、回復させねーとな……
この試験会場、協会の会議やら合同訓練やらもあるんで、食堂はかなりの席数があってメニューも豊富だ。
食堂の壁際には、パーテーションで区切られた使い魔同伴用の席も作られてる。
猫連れてたし、真除とか、あのオッサンは多分そっちだろな。
しっかし、午前の試験でかなり"力"を消耗しちまって、体がめちゃくちゃだりー……
それでも飯食わねーと午後の試験に影響あるからな……
◆◆◆
――で、今、葛葉と食堂に来て昼飯食ってるとこだが……
「葛葉……午前の試験、疲れたな……」
「そうね……"B"と"A"であんなに変わるなんて……」
「飯食ったら、午後の部始まるまでどっかで休もうぜ……」
「そうしましょ……」
飯食った後、食堂から休憩室に移動した。
休憩室は、俺等みてーなので埋まってたな。
俺と葛葉は、なんもしねーで、窓から空見てた。
ねみー。




