表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピ・エ・ロ ~流の場合~  作者: 岩石
遊貴の場合
6/33


 通話を終わらせ流に向き直ると、彼は口を尖らせていた。


「ほら、いいってさ。早く迎えに行こ? 待たせたら彼に悪いし」


 拗ねた様子の流にニコッと笑い携帯を返した。彼の手を取り駅へと今来た道を歩きだす。

 普段は手を繋いで歩いたりしないけど、こんな時は別だ。

 流は大人しくついて来るが顔を明後日の方向に向けている。今だに拗ねているようだ。


「……流? 何、怒ってんだ?」


 オレが問うと、はっとしたようにこちらを向いた。


「いきなりで面白くなかっただけ。怒ってるように見えたなら謝る。……悪かった」


 緩く首を振ってから、謝る流。

 流にとっては急展開過ぎてついて来れなかったみたいだ。


「あのさ、好きならちょっと強引にいかないと、好意は示せないよ?」


「別に。……西岡はそんな事、気にしてないし」


「気にしてないフリだったらどうする? 素直になれよ。気持ちが離れてからじゃ遅いんだぞ。恋愛には駆け引きも大事だけど、恋愛初心者の流じゃ無理だろ。ストレートにいくのが一番だ」


 好きな人に関する事では誰しも些細な事で不安になったりする。相手からの好意が感じられなければ、なおの事。

 平気そうに見えていても、本当は違うかもしれないんだ。


「駆け引きって……そんなんじゃない。西岡にだって付き合いがあるんだ。束縛するような真似、出来ないだろ」


 流の言ってる事は解る。

 だがしかし! 淡泊過ぎだろ!? 付き合い始めの今が一番楽しい時期なのに!


「流、西岡と一緒に居るのは嫌?」


「だったら付き合ってない」


 流はオレの質問に即答した。でも、と続ける。


「ベタベタしたら周りに変に思われるだろ? 迷惑かけるのは嫌なんだ。……嫌われたくない」


 好きになったから。と、続ける流。

 不安なんだろう。どこか迷子の子供のように心細そうだ。

 怖いよな、好きな人に嫌われるのは。でもな? それは相手だって一緒なんだ。流だけじゃない。


「それは西岡も同じじゃないかな」


 驚いたような流を見てさらに続ける。


「気遣うのと距離をとるのは一緒じゃないよ? 相手を不安にさせるだけだ。今の流みたいに」


 馬鹿だなあ流は。その不安は隠しちゃダメだ。ちゃんと西岡にぶつけて、二人で乗り越えなきゃ。

 我ながら説教臭くて嫌になる。

 だけど仕方ない。流が泣くような事態になるよりましだ。


「わかった、わかりましたよ。てか、お前は俺の母親か!!」


 笑いながらズビシと突っ込む流。

 ちょっと痛い。強めにしているのは照れ隠しだろう。ホント、素直じゃないんだから。

 流のどこか吹っ切れたような顔をみてそう思った。


「行こう」


 いつの間にか止まっていた足を動かしオレ達は歩きだす。

 繋いだままだった手を引かれ、再び駅へ向かった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ