3
「遊貴、ありがとな。どう接すればいいのか判らなくてさ」
歩きながらポツリポツリと心情を零す流。
初めての恋人で距離感が掴めず、どうしていいか判らないようだ。
そういや、今日、付き合いだしたばかりなんだよな。もしかして……まだ気持ちが現実に追い付いてない?
初めての出来事ばかりで受け入れるだけで精一杯なのかもしれない。
背中をバシンと叩く。
「ってぇ!」
ニヤリと意地悪な笑みを向け、あえて突き放すような事を言う。
「何事も初めてはそんなもんさ。試行錯誤しながら、みっともなく足掻いてみるんだな」
「性格悪ぃの!」
「どうにも困ったら、西岡にぶちまければいい。アイツだって恋人に甘えられて悪い気はしないだろうよ」
惚れた相手に甘えられて喜びこそすれ厭う男なぞ居ない。もちろん、限度ってモノはある。だが、流の性格上はその点は問題ないだろう。
遠慮する必要無し。ガンガンいけ!
流は呆気に取られたような表情を見せた後、少し困ったように笑う。
「甘えるとか……簡単に言うなよ。それが一番、難しいんだ」
と言う流。
だが言葉とは裏腹に、先程までの不安げな雰囲気は無い。
その事に安心してニコニコしていると、ホント男前だよな、と言われた。
※ ※ ※ ※ ※
駅に着いた。まだ西岡は到着していないようだ。
オレ達は壁際に並んで立ち改札から流れてくる人波を見詰める。
「なあ、本当に迷惑じゃないのか?」
「まだ言ってるのか。西岡だってさっき電話口で喜んでたじゃないか」
「おばさんが、だよ。予定外の人が来たら困らないか?」
そんな事、気にしてたんだ。
流が気にするならばと、一応人数が増える事を伝えるべく携帯を取り出す。
「むしろ腕の奮い甲斐があるって喜ぶんじゃないかな」
コール音を聞きながらニッコリ笑って言った。
大丈夫だよ。
流を家に呼ぶなんて久々なんだ。母さんも楽しみにしてたから、今頃張り切って料理しているはずだ。
そして、結果はオレの予想通りの快諾。ついでに客はイケメンだと言うと、電話の向こうで狂喜乱舞するのが伝わってきた。
母さんジャニーズのファンだからなぁ。
隣に立つ流にも電話の声が聞こえていたみたいだ。母さんのはしゃぎ方がツボに入ったようで、口を抑えながら肩を震わせている。
そんな流を横目に見ながら通話を終わらせた。
「な? 大丈夫だったろう?」
オレは今だ苦しそうにしている流を見て、ニッコリ笑った。
7月の遊貴・切人の出会い編は今回で終わりです。
次話は少し時間が過ぎて8月編になります。
出会い編のはずなのに書き上がったのは何故か遊貴・流のほのぼの(説教?)幼馴染みライフ。
しかも中途半端。
何故こうなった…切人どこいったよ orz




