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ベッドに腹ばいに寝転がり、その体勢でゼリー飲料を飲む。
行儀が悪いとわかっているが、この体勢が1番楽だから仕方がない。
そうしていると玄関のドアが開く音が聞こえた。
流だ! ご飯ご飯〜!
「お帰り〜。おなか空いた! ご飯!」
ベッドに膝立ちになり流を出迎えた。
体はまだまだ痛むがこのくらい我慢出来る。伊達に普段から鍛えてない。
もちろん食欲にも問題無し。
「ただいま。元気な出迎えだな」
流は手に持つ買物袋をローテーブルに置いた。
まだ濡れてるオレの髪をタオルでわしゃわしゃ拭きながら言う。
「飯の前に、薬、塗り直そうか? シャワー浴びたんだろ?」
「自分でやれる。ご飯!」
「はいはい。……まだ熱高いな。アレも額に貼っとけよ」
流は袋を指差すとキッチンに立った。
袋を手に取り中を見ると、塗り薬と発熱時に額に貼る冷却シートが入っていた。
オレはシートを一つ取り出し額に貼りながらちょっと考える。
そういやスウェット借りた時、新品の下着が添えられてたっけ。
着替えを借りようとチェストを開けた時、お気に入りのコレを迷わず手にした。その時に間に挟むようにして未開封の下着があったのだ。
だからそのままスウェットごと下着も拝借したんだけど。
……よくオレに『母親か』って言うけど、流の方が母親みたいだよね……。
たった今買ってきたばかりの、一人で出来るタイプの塗り薬を手にオレはトイレに向かう。先回りして準備を整える流に、改めてそう思った。
※ ※ ※ ※ ※
薬を塗り終えたオレはベッドに寝転がりながら食事が出来るのを待っていた。
食欲をそそる匂いがしていて、よりいっそう腹が空く。
――グルグルグググゥ〜――
「盛大に、大きく響く、腹の音。なんてな」
鍋を掻き混ぜながら茶化す流。
「お腹が自己主張始めたのー。はやくー美味しいのちょうだいー」
いよいよ空腹がキツクなってきた。
昨日の昼からゼリー以外、何も口にして無い。つらすぎる。
「はい、お待たせ」
鍋掴みを装着し土鍋を運ぶ流。
オレはベッドから降りて床に正座した。クッションを膝裏に挟んで尻を少し浮かせている。
オレが座ろうと悪戦苦闘してる間にローテーブルに並んだのは卵粥とオニオンスープ。
ゴクリと唾を飲み込むオレに、流は粥をよそった器とレンゲを差し出してきた。
「いただきます!」
オレは受け取るなり、言うが早いかハフハフと食べだした。
「たんとお食べ」
がっつく様子がウケたのか流はくっくと笑いながら言った。
さすがババコン。言い方が年寄りくさい。




