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ハズレ勇者の気まま暮らし  作者: 桜惡夢
~Another World Life~
39/40


 「あれ? 何処に置いたっけ?」と。

 探している時には全く見付からず、一晩、一日、或いは数日が経過したら、不意に見付かる。

 そんな“あるある”話は異世界だろうと同じらしい。


 ……いや、俺達の場合は自分達が原因ではない。

 同じ様に考えるのは違うよね。うん、違う違う。


 きっと、これは女神様に感謝を伝えた御陰──御利益と言えるのかもしれない。そう思う事にしよう。


 探索が難航していた三つ目のダンジョン。決して色々と遣っていたから滞っていた訳では有りません。

 それが漸く見付かりました。


 ……まあ、ちょっと、思う事は有りましたけどね。


 二つ目のダンジョンから、略真っ直ぐに東に進んだ先にバスィアッシヴュル大山脈から分裂して出来たのだろうと思われる“シーバスヤード山”が有ります。

 そのシーバスヤード山の東側の海に面した斜面を下り、そのまま海中に潜って、辿って行った先に剣で斬り付けたみたいな横に1メートル程の亀裂が有った。

 一番広い場所で幅は15センチ程。到底入れない。

 しかし、奥が見えない位に深かった為、調査。

 身体を軟化させられるミイムがです。

 真っ直ぐに進み、突き当たりで直上。その先を戻る様に曲がり、また直上。その後、再び曲がって奥に進んだら、真下に300メートル程の縦穴を降りた先に発見。

 直径2メートル程の球形に近い空間の壁に。

 うん、見付けさせる気なんて無いと思うよね?

 ミイムの報告を聞いて、探索隊の皆も同じ様に思ったと俺は感じた。口には出してはいないけど、雰囲気でね。


 さて、普通であれば入れない場所。ミイムの様に身体を軟化させられはしないので。


 しかし、俺には手段が有ります。有るんです。まるで、こうなる事を想定していたかの様に。

 有効可能な範囲は狭いんですけど、【英雄】には自身の妻を自身の元に召喚するという能力が有ります。そして、その逆に自分を妻の元にも。

 はい、この能力でミイムの所に行って、合流。

 ダンジョンに挑みました。


 尚、ミイムからの報告は【以心伝心】で俺が受けてから俺が皆に話す形でした。




 過去──と言う程、経ってはいませんが、以前に入った二つのダンジョン。その経験から、クリーチャーの強さが増している事は判ります。

 判りますが──うん、楽勝ですね。



「……これ、絶対に可笑しいよね?」



 誰にでもなく、そう思わず呟いてしまう位には。

 だって、ダンジョンって本来は勇者を鍛える為の存在で簡単に攻略出来る仕様ではない筈なんです。

 まあ、飽く迄も皆から話を聞いて考えた限りはですが。少なくとも現状は可笑しい事だと思います。

 ──とは言え、今の自分の存在価値が、魔王を倒す為の勇者ではないのであれば、一応は頷けもします。

 いや、もしかしたら魔王も倒せるかもしれませんけど。個人的には自ら進んで遣ろうとは思いません。

 そうする必要が出てくれば、考えますけどね。


 ──話を戻して。

 正直、「こんなに簡単に攻略出来て良いの?」と。

 そうダンジョンに訊きたくなってしまいます。

 それも可笑しな話だとは思いますけどね。


 ダンジョンを攻略しないと領地を拡大出来無い。

 それは判りますけど、それなら、それらしく難易度等も上がって然るべきなのでは?

 そう思わずには居られません。

 まあ、楽な事に対して文句を言うのも変ですけど。


 ダンジョンの性質上、誰かに見られるという訳でもない

ですから、気にするのも無意味なんでしょうけど。

 ついつい、そんな事を考えてしまいます。

 だって、考えれば考える程、本当に意味不明なので。


 まあ、だからと言って気を抜いたりはしませんけどね。どんなに楽勝でもダンジョンはダンジョン。ダンジョンを侮って泣くのは自分であり、愛する家族ですからね。

 今はダンジョンの攻略に集中します。




 はい。無事、ダンジョンを攻略しました。

 ジョブは【聖農】から【天農主】に成って

、エクストラスキル【分解】を獲得。

 パフィアさんとフェリスさんが始祖回帰して長となり、全員が妻のミルキシア族とハーピア族に能力が。

 予想通り、ハーピア族の皆は翼を消せる様になった為、翼が邪魔で出来無かった体位──ゴホンッ、出来無かった事というのを色々と試しています。

 まあ、まだ不慣れな為、吃驚したり、嚔をしたりすると反射的に翼が出てしまうのは御愛嬌。

 ……いや、「え? 何で?」とは思いますけどね。

 其処は深くは追及はしません。謎は謎なので。


 さて、それはそれとしてです。

 三つ目のダンジョンを攻略した後に、もしかしたら俺も可能になるかもしれないと予想していた事が有りました。ええ、そうです! 俺にも翼が顕現させられるのでは?

 そう考えていたんです。

 そして、その予想──期待も現実のものにっ!



「嗚呼、旦那様……素晴らしいですの!」


「アイク様っ、神々しいですも!」



 頬を赤くし、うっとりとした眼差しを向けるエメ。

 真っ直ぐな尊敬と憧憬の眼差しを向けるスィン。


 ……うん、嬉しいのは嬉しいんです。

 ですが、何故、こんな形に?

 そう思わずには居られません。


 俺の背に顕現した翼。

 それはハーピア族の翼とも、リィリス──スクビア族の翼とも違う形での顕現と成りました。

 真っ白な光の翼(・・・)

 白いのは仕方が無いとしても、光の翼なのに何故、翼が透明ではないのか?

 或いは、光なのだから色が有るのはどうなのか?

 そんな風に思ってしまう。


 だって、光の翼の筈なのに触れられるんですよ?

 俺自身にも翼の先端にまで神経が通っている様な感覚が有りますからね。

 物質として、実体が存在するのに光って……ねぇ?

 ──という風に思ってしまう俺は考え過ぎなのかな?

 …………妻達に揃って頷かれる。

 でも、それって俺を神格化しようとしてない?

 ……してない? そっか。




 気を取り直して。

 翼を使って飛んでみる事にします。

 フェリスさん達も、リィリスも翼で飛んでいます。

 決して、飛行スキルや飛行魔法によるものではない、と強く言われました。「それは違います」と。

 ちょっと目が怖かったのは内緒です。


 翼を顕現させると、どうすればいいのか。それが考える必要も無く、自然と判ります。

 ええ、そういうもの(・・・・・・)なのだと。

 確かに、コレ(・・)は言葉では説明出来ませんね。



「流石ですね、アイク様。初めてだとは思えません」



 安全の為にと一緒に飛行してくれているフェリスさんが誉めてくれます。

 嬉しいんですけど、自分の技術という訳でもないので、ちょっと複雑な気持ちです。言いませんけど。

 多分、皆も考えての事ではないでしょうから。

 ──あ、勿論、空中戦といった技術等は別ですけどね。それは経験と共に研鑽されたものですから。

 はい。だから、フェリスさん達やリィリスと飛びながら鬼ごっこをしても勝てませんでした。

 くっ……地味にフェルメの回避能力が高い。




 小一時間程、試験飛行してから一休みする。

 皆から羨ましがられますけど、妊娠中の皆を連れて飛ぶ気にはなれません。

 ……それはまあ、御姫様抱っこ(抱き抱えて)なら……

 万が一の時も【領主】の力で……






「まさか、空を飛ぶという経験をする日が来るとはな」



 そう言いながら、俺の首に両腕を回して掴まりながらも眼下の景色を楽しんでいるローザさん。

 御腹が大きいし、本当に万が一が恐いから一番反対した俺だったけど、皆の圧力に押し負けました。

 まあ、俺の飛行訓練にも成り、皆の気分転換にもなると言われてしまうと……押し返せません。

 あと、こうして実際に遣っている以上はグチグチ言わず一緒に楽しみます。折角の飛行デートなので。

 そうなんです。デートなんです。

 だから、他の誰も飛んではいません。二人っきりです。安全面の考慮はしましたか?

 そうは思っても言いません。不粋ですから。



「……こうして見ると私達の生きていた世界は狭いな」


「世界は広いですからね。でも、生きる世界が狭いからと言っても悪い事や不幸だとは限りませんよ」


「ああ、勿論だ。外に興味が無い訳ではないが、私自身は今の幸せでも十分過ぎると思っている」


「もう少し欲張ってもいいと思いますけど?」


「そうか? それなら、早く次の子を成したいな」



 そう言って不意打ちでキスしてくるローザさん。

 それは狡いです。あと、危ないです。

 俺の集中力が乱れたらどうするんですか?



「フフッ、頑張って耐えてくれ」



 ……そう言えば、ローザさんってスパルタでしたね。




 妻達全員との飛行デートが無事に終わりました。

 ただ、何故、フェリスさん達やリィリスも抱き抱えての飛行デートを?

 ──なんて不粋な事は言いませんし、考えません。

 はい、喜んで。

 空気の読める男は自ら墓穴は掘りません。






「そう言えば、ハーピア族って男性も居るのなら、空での求愛の舞いみたいなのも有ったりするのかな?」



 ──と何気無く訊いてみたら、フェリスさん達が表情を一時停止させたみたいに固まらせた。

 ……え? もしかして訊いたら不味い事だった?



「い、いえ……そういう訳では有りません」


「ふむ……それでは、どういう意味じゃ?」


「アルビナス、無理に言わせようとしないの」


「御気遣い有難う御座います、アイク様。大丈夫です」



 そうフェリスさんが言うとアルビナスが「ほれ」と少し勝ち誇った様な顔をしたので擽る。

 アルビナスは敏感肌だから擽りに弱いから。



「え~とですね……求愛の舞い、と言えば聞こえはいいのかもしれませんが、はっきりと言えば……」


「はっきりと言えば?」


「その……空中での子作りの事になります……」


「「……………………」」



 俺も、アルビナスも思わず黙ってしまう。

 いや、聞いていた他の皆もですけどね。

 言ったフェリスさんは恥ずかしそうです。

 まあ、それは話を振られたら困りますよね。



「うん、まあ、アレだよね。ハーピア族の過去を考えたら子孫を残す為の工夫だよね」


「そ、そうじゃな。大事な事じゃな。うむ」



 俺がフォローし、アルビナスにもフォローさせる。

 話を振った俺と、拡げたアルビナスの連帯責任として。フェリスさんだけに恥ずかしい思いはさせません。




 尚、俺は飛べます。飛べるんです。

 そして、フェリスさん達、リィリスも興味津々。

 ええまあ、はい、そういう(・・・・)訳です。

 【領主】の権限で姿も隠せて声や音も消せますからね。いやまあ、そういう使い方もどうなんでしょうね?

 遣ってしまった以上、何を言っても言い訳ですけど。



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