グリーンゲートへ
話し合いが終わってすぐにリディアは側仕えに護衛騎士団の団長を呼ぶように申し付ける。
「お呼びで御座いますか?」
執務室の入り口を警護していたらしく直ぐに入って来た。リディアは経緯を話し説得する。
「姫様、あまりにも危険で御座います」
当然の反応だった。
彼の名はクラウス、ナイスミドルな45歳。
護衛騎士団長である彼や第三王女専属部隊である団員、側仕えはリディア王女が幼い頃からの忠臣たちである。
王家への専属になるものは最初に強い契約魔法で、主に忠誠を捧げると共に強い制約を受ける。
命令や守秘に関する様々な制約。
彼らが裏切ることはほぼ無い。
「決まりなのです、クラウス!貴方が私を守れば良いのです」
「…しかし」
「決定です」
「はい…」
リディアのゴリ押しで納得?したようだ…
「それでは先ずは門まで向かいましょう」
「よろしくお願いします」
門まで歩いて行くさなかに、連れて行く者たちへの守秘は徹底できるのかをリディアに聞くと、自分の私兵と側仕えは皆、契約魔法で制約をすでに受けている事を教えてもらった。
「リディア王女殿下。お荷物は?」
「我々は皆、収納持ちで御座います。大きくは御座いませんが」
ふむ!予定では王女殿下たちの荷物を考えての人数設定だったのだけど、であれば…
「荷物が無いのでしたら後3名良いですよ」
「そうですか?では、クラウス騎士から二人と毒味役の側仕えも連れて行きましょう。」
「どうやらこちらに来てから毒味が楽しみのようなので」
「キャー♪」
側仕えはペロっと舌を出して微笑む、いたずら好きな妖精のようだ。
騎士からは副団長の女性騎士と若い女性騎士が呼ばれた。やはり同室で護るには同性の方が何かと都合が良いようだ。
我々、10名は残る騎士団や側仕え、文官たちに見送られ門に着いた。
収納からハ○エースを出した。
ガチャ、
ドアを開けて
「乗って下さい」
ニーニャやファルカたちに案内してもらった。
「…こっ、これは何ですか?」
「私の移動用魔道具だと思っておいて下さい」
王女殿下たちは恐る恐る乗り込んだ。
「スピードが出ますので、安全の為にシートベルトをお閉め下さい」
「こうするのじゃ!」
ガチャッ!
ルシェも教えている。
うちの子は良い子だ。
りょうはハンドルを握り
「では、出発ー!」
スムーズにスピードを上げて動きだす。
「「「キャー!動いた!速いわ!怖いわ!」」」
悲鳴交じりで叫ぶ王女殿下たちに
「どうじゃ?まだ怖いか?全然揺れぬであろう?」
心配そうにルシェが話しかけている。
「騎士団長はさすがで御座いますな」
動じていない姿にファルカが嬉しそうに声を掛ける。
「………」
返事がない…隣の副団長が
「はっ!………目を開けたまま気絶しています…」
「「「………」」」
返事はないただの屍のようだ。
ニーニャは助手席で楽しそうに後ろを見たり、りょうを見つめたりしている。
走っていると前に魔物の大きな群れが居て邪魔だ。
「あれ?あれは!」
そこには、巨大な角を持つ黒い牛型の魔物が群れを成していた。
「皆さん、100匹ほどの、ブラックホーンブルの群れです。」
「王女殿下」
「はい」
「先ほど、どの様にしてあれだけの魔物たちを?と聞かれてましたね」
「ファルカ!至近距離はたのむ!」
「はい♪りょう様!」
「王女殿下良く見ておいて下さいね」
「…はっ、はい!」
りょうとファルカは飛び出てりょうは近くの岩の上に登りライフル銃を構える。
集中…
岩と車の周りは鬼神ファルカが掃討する。
射撃…撃つ…装填…撃つ…装填…撃つ
鳴り響く銃声。
凄まじいスピードでの早撃ちからの装填、エイム、ショットを繰り返す事約10分…
「しゅーりょー!」
今回りょうは全てを狩りとった訳ではなく数匹の子連れの親子は番で生かしていた。狩り過ぎも良くない!牛たちよ逃げるが良い!
そして、収納し終えて車に戻る。
「いやー!大猟!大猟!ウッシッシー♪」
「あっ王女殿下、ご覧になられました?答えはこんな感じです!」
「「「え?」」」
「「「……………」」」
バスの中の時間が止まった?
それからみんなはスピードに馴れ、飲み物やお菓子を食べてワイワイガヤガヤと賑やかだ。良く考えたら10人中で男はりょうとクラウスだけだった。女子高の担任ってこんな感じかな?なんて考えながら運転をする。
「りょう、いつも運転してくれてありがとう」
ニーニャがふとお礼を言ってくれた。
くぅー!こういう一言に男は弱いんだよな。
「音楽でもかけよう」
こっちの世界の人でも聴けそうなカントリーソングをBluetoothで繋げて流した。
「「「!!!!」」」
「りょう様何ですか?いきなり演奏が聴こえて来ました。何処かで演奏会でもしているのでしょうか?素晴らしい演奏ですわね」
「ふふふ」
ニーニャは、以前に自分もテレビに驚いて同じような反応してたんだろうなと、思いだし笑いをした。
「王女殿下、これはりょうの音を記憶する魔道具なのですよ」
ニーニャはふふふと説明した。
「まあ!素晴らしい魔道具をお持ちですのね、そしてニーニャさんは小さいのに博識ですのね」
「あら王女殿下、わたしは後少しで17に成りますのよ」
「そっ、それは失礼しました。おほほ」
「りょうの事ならわたしに聞いて下さいませ。何せ第一夫人ですから。うふふ」
「だっ、第一夫人…りょう様婚姻されていたのですか?」
「殿下、因み私は第二夫人です」
「まあ!なんて事でしょう」
目をパチクリさせている第三王女殿下。
『自称ですからね』
りょうにはガールズトークに入って行く勇気はなかった。自称ですからなんて言ってしまえば…後が怖いわ...
「あっ、もうすぐ着きます」
眼前には最近立派に成ってきているグリーンゲートの城壁が見えてきた。
「まあ!立派な城壁ですわね」
リディア王女はまるで遠足や修学旅行の学生のようにテンションが高くなっている。
いや、王女だけではなく、気を失い続けている護衛騎士団の団長!以外はキャッキャと同じようなテンションで護衛?している。
護衛とは?…
「そろそろ着きますのでそこの護衛を忘れて来た団長さんを起こして上げて下さいね~」
「「「あははは!」」」
受けた♪
そして、守衛騎士に声を掛けてグリーンゲートの城門をくぐり抜け、代官屋敷に到着した。
『しばらく視察してなかったけど…すごく栄えているのは気のせいかな』
地面は石張りで平坦に整備され、家も屋敷も木材と石とレンガで作られていて、正直ノトスよりも立派に成っていた…
え?ここは何処?!




