隠し事はハンバーガーでは隠せない
翌日、近場でキャンピングカーで泊まったりょうたちは朝食を取りゆったりと過ごしてからノトスに入った。
今日は冒険者ギルドでレッサーウルフの納品だ。ブラックホーンブル50匹を除いて150匹だ。
りょうは少し考えた。この安く美味しいがウルフと比べると味がかなり落ちるレッサーウルフを美味しくするレシピを。
「ハンバーーグ!」
りょうが叫んだ。そうだ!最近ハンバーグ食べてないぞ!
りょうは冒険者ギルドの解体場を借りて10匹ほど解体をした。そこで
「ニーニャ、ファルカ!俺と一緒にこの肉をひたすら包丁で叩いて欲しいんだ」
「わかったわ、りょう」
「かしこまりましたわ、りょう様」
三人でひたすら両手に包丁を持って叩く。
「「「トントントントントン」」」
「「「トントントントントン」」」
黙々と
「「「トントントントントン」」」
「ママとパパ!これは何をしておるのじゃ?」
「「「トントントントントン」」」
「ひき肉を作っているんだよ」
「「「トントントントントン」」」
「ひき肉とは美味いのか?」
「「「トントントントントン」」」
「美味しいよ!よし!こんなものだな!みんなありがとう」
「わたしもお手伝いできたわ」
「私も出来ましたわ」
やりきった感の二人は笑顔で称賛しあっている
「まだ続きが有るんだな」
大きなボールを3つ用意してひき肉を入れ、塩コショウ、オレガノ、ナツメグ、パン粉にヤギミルク
「これをこねて手のひらサイズに丸めて叩きつけて空気を抜く、真ん中に少しくぼみを加えてバットに入れる次はそれをお願い」
「手間がかかる料理なのね、わかったわりょう」
「やってみますわりょう様」
「「「こねこね、こねこね、もみもみパンパン」」」
「難しいことをしておるのじゃな!すごいのじゃ」
「「「こねこね、こねこね、もみもみパンパン」」」
「きっとみんなが好きな味だと思うよ」
「「「こねこね、こねこね、もみもみパンパン」」」
…………
出来た。
「みんなありがとう!」
「凄まじい数が出来たわね」
「売ってもしばらく食べ放題だぞ!」
「嬉しいですわ」
「早く焼くのじゃ!パパ!」
「まずは残りの140匹を卸さないとね!」
解体場から出て受付に移動する。
「レッサーウルフを卸しに来ました、解体場ありがとうございました」
「いえいえ、いつもありがとうございます。今日は何匹卸せますか?」
「140匹です。後10匹分の素材と」
「えっ?」
急に後ろから声がかかった。
「あの、今何匹と仰られました?」
リディア王女であった。
「あちゃー!今日は冒険者ギルドの視察ですか…」
「えっと………140匹です」
「………あの、いったい何処から仕入れて………」
「失礼いたしますが企業秘密です。先に卸しても?」
「どうぞ…」
倉庫に移動して140匹と10匹分の素材を収納から出す。
「………どれだけ大きな収納をお持ちなのでしょう…」
リディア王女がついてきた…マズいな…朝早くだから居ないと思っていたりょうはバツの悪い顔をしながらお金を受け取り広場に移動する。
まだついてくる王女御一行。後ろの方でひたすらメモをする女性…なんなんだ?
広場で鉄板とバーベキューコンロを出して炭をおこす。
「ファルカ!お願いが有るんだけど」
「何でしょうか?」
「パン屋さんで丸いパンを有るだけ買って来て欲しいんだ」
「良いですよ」
お金をファルカに持たせて野菜を切るオニオンスライスとトマトをスライス。
ニーニャと二人でスライスし続けていると、ファルカがパンが入った袋を沢山抱えて帰って来た。
ファルカにパンを半分に切って貰う。
ニーニャにレタスを渡してむしって貰う。
「よし!まずは試食だ!」
「やっとなのじゃ!早く焼くのじゃ!」
嬉しそうに騒ぐルシェと少し離れた所からずっと見てくる王女殿下………
鉄板にアブラを馴染ませとりあえず10個ほど焼き出す。
じゅー
辺りには肉の焼ける香ばしい匂いとスパイスの香りが充満する。
よし!パンにハンバーグとオニオンスライストマトレタス、ケチャップとマスタードをかけて皆に配る。
「王女殿下も食べてみますか?少し下品な食べ方ですが」
見られてるよりは良いかなと声をかけると
「宜しいのですか?その前にお名前を伺っても?」
「私は商人のりょうと申します。ご贔屓に」
とりあえず商人っぽく挨拶をしてハンバーガーを王女殿下と臣下の方々にも渡す。すごく喜ばれた。
「ではいただきます!」
「「「いただきます!」」」
うちの皆はちゃんといただきますを言える。
偉い!
みんなはかぶりつく………良いじゃん!美味しいじゃん!レッサーウルフハンバーガー!
「「「美味しいーー!」」」
みんな大絶賛だ。
それを見ていた王女殿下も小さな口でパクリとかじりついた。臣下の方々もかぶりつく。側仕えもかぶりつく。
「美味しいですわ」
「「「「「美味しい」」」」」
よし!成功だ!
りょうたちに王女殿下が接触していると冒険者ギルドから連絡がグレオール男爵に入り、あわてて男爵もやって来た。
「りょう殿!」
「あっ!男爵も食べますか?試食なのでサービスですよ」
呑気に声をかけるりょうと何とかしないとと慌てていたグレオール男爵。しばらく目があって………
「いただきます…」
「ウルフハンバーガー小銅貨7枚!」
そこからは戦争だった。予想以上に買いに来る住人たちに戦々恐々である。パンがなくなったので売り切れとなった。
収納には焼いていないハンバーグがまだまだたくさん有る。
レッサーウルフ一匹から20キロの肉が取れるので単純計算で200キロをトントン、こねこねしたのである。なくなるはずがない。
店じまいして後ろを振り返るとまだ王女殿下が居た………
ヤバい…料理しに行けるのか?
グレオール男爵に耳打ちをした。
「男爵。今日は料理しに行けないですよねこれ」
「大丈夫です…材料は有りますし………頼んだボンズ」
その時タイミング悪く
「あー!旦那様!ノトスに居られたのですねセバスが探しておられましたよー!」
少し遠くから大声でコランドが声を掛け近づいてきた。
「やあコランド!今日は納品の日だったのか…」
「はい!野菜とたまごと魚の干物、あとは赤き剣が取ってくれたレッサーウルフが30匹です。私の収納だとレッサーウルフは荷台に積んで馬車で来ました。グリーンゲートの野菜は真冬でもちゃんと収穫できています」
「「わーわーわー!」」
グレオール男爵と二人で言葉を隠そうと騒いでいたら
「何を隠そうと騒いでおられるのかしら?グリーンゲートとは?ご説明頂けますか?グレオール男爵、りょう様」
リディア王女がとうとう割り込んで来た。
どうしよう…




