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クロスワールドーー48歳のサバイバル馬鹿が異世界に放り込まれた結果、まず飯を作り始めるーー  作者: こっちのあっきー


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白いモコモコ

 雪が降りだしてしばらくしてからの朝、庭では子供たちとルシェが雪だるまを作り、その周りをシリウスたち5匹が走り回っている。


「元気だな走り回る5匹…え?5匹?!」


りょうの動きが止まった。


「うちの子って5匹もいたっけ?」


何かがおかしい気がして、りょうは犬たちの名前を呼び集める


「シリウス!」


呼ばれたシリウスは嬉しそうに駆け寄ってくる


「よ~しよしよし!お前は可愛いな」


続けて、


「ルナ、ソル、レオ!」


三匹も嬉しそうに駆け寄り、りょうの足元で転がり始める


「よ~しよしよし!お前たちも元気で可愛いぞ!」


そして、りょうは顔をあげた。


そこにはーーー


名前を呼ばれていない白いモコモコが一匹


犬というより…どこか狼を思わせる姿をしている。


舌を出して、


「ハッハッハッ」


そして、りょうの顔を見ながら首をかしげる。


「クゥ~ン」


「………お前は誰だ?」


白いモコモコは嬉しそうに尻尾を振った。


何事もなかったように子供たちとルシェの元にもどり、そして子供たちの周りをぴょんぴょんと楽しそうに駆け回る。


「おーい…」


いつの間にか増えてる…まぁ良いのだが…

あまりの自然に馴染んだその犬に誰も違和感を感じていないようだ。


子供たちも


「わーい、白いモコモコ!」


「こっちこっち!」


「一緒に雪だるまつくろ」


「わんわん」


まったく警戒していない様子で打ち解けている



ルシェに至っては、


「なんじゃ?ソチは妾が好きなのか?ういやつよ」


などと言いながら全力でもふっている。


「…………」


りょうはもう一度、犬たちを数えた。


シリウス。


ルナ。


ソル。


レオ。


そして――白いモコモコ。


「……いつの間に増えたんだ?」


誰も答えない。


というより、誰も疑問に思っていない。

まるで最初から、そこにいたかのように。


その日の昼。りょうが家の中で昼食の準備をしていると、ふと窓の外に目をやった。


白い犬がルシェの隣で丸くなっている。

その身体から、ほんの僅かに白銀色の光が漏れていた。


「……?」


りょうが目を細める。


しかし次の瞬間には、その光は消えていた。

白い犬は何事もなかったように、尻尾を振っている。


その正体を知る者は、この場にはいない。


神獣――フェンリル。


その幼体だった。


本来ならば、人の住む場所に姿を現すことなど滅多にない存在。

ましてや、これほど幼い個体が人里に住み着くなど、誰も想像しない。


だが、この幼いフェンリルには理由があった。

雪の降る少し前。


森の奥で感じた、今までに嗅いだことのない気配。


それは――ルシェの放つ、圧倒的な神聖魔力だった。


幼いフェンリルにとって、それは恐怖ではなかった。


むしろ、暖かく、心地よく、安心できるものだった。


気が付けば、その気配を追っていた。

そして辿り着いたのが、この場所。

神聖な魔力を放つ小さな少女。

たくさんの子供たち。

そして、何故か自分を追い払おうともしない人間。


フェンリルは思った。


『ここ、いい。』


だから住み着いた。ただ、それだけだった。


そして今日も――


「おーい、ご飯だぞーー!」


りょうに呼ばれると、


「クゥ~ン!」


白いモコモコは嬉しそうに駆けて来て他の犬たちと一緒にウォーターリザードの肉の低温調理肉をガツガツと食べている。


りょうは頭を撫でながら、困ったように呟いた。


「……まぁ、いいか」


その日から、アルカディアの犬は一匹増えた。


その後、夕食の時間に家族会議をかねて新しい犬の名前を決めようと持ちかけた。


今日の献立はイノシシと豚肉のサムギョプサル。

わかめスープである。


部屋には香ばしい香りが充満している。


じゅうじゅうと焼ける肉を前に


「あの紛れ込んだモコモコの名前を考えたいんだけど…」


家族みんなは焼ける肉に夢中で


「あっ!その肉はわたしが育てていたやつよ!」


ニーニャが叫ぶ


「ふむ、そうでありましたか早い者勝ち!私の勝ちですわね」


ふふん、とおどけるファルカ


「もっとじゃ!もっと肉を焼くのじゃ!ピーマンはそんなに要らないのじゃ」


ルシェはニーニャに入れられた皿を見つめ涙目で訴えかけている


「身体に良いからお野菜も食べなさい」


「嫌なのじゃ!」


「食べなさい!!」


「ママー!もっと肉が食べたいのじゃ!」


「そのピーマンを食べたらあげます」


「……食べるのじゃ」


「お、おーい…」


置いて行かれているりょうは切なそうに言う。


「名前なんだけど!」


「「「モコモコ!」」」


肉を頬張る家族一同が同時に言った。


「………」


リビングには犬たちも入ってきている。

白いモコモコは嬉しそうに見上げている。


「クゥ~ン」


「本当にモコモコでお前はいいのか?」


嬉しそうに尻尾を振った。


「……そうか」


こうして、


命名ーーーーモコモコ。


香ばしい香りの中で、いつの間にかうちに住み着いた神獣フェンリルの名前は安易に決まったのであった。



同時刻ーーー


ノトスに近づく一団の姿があった。


あと1つだけエピソードを入れたいのですが、いよいよ物語が動き出します。

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