カロリーは鬼神の元
駄目よ!このままじゃ!騎士団と訓練をしながらファルカは打ち込む。
「この程度の打ち込みに怯むな!」
「はい!」
やはりこのままでは駄目よ…!
「全員で掛かってこい!」
「ぬぁぁ!」
打ち込まれる斬撃を軽くいなし打ち込もうとする相手との間に誘導し封じ込める。そこからの打ち込みと死角を利用して次の相手にも打ち込む。
ファルカのレベルだけが違いすぎるのだ。ここにいる親衛隊はかなりの強者ばかりだ、しかし次元が違う…やはり駄目!
「もっと来い!」
一刻もの間この乱取りは続くが、もはや兵隊は足腰が立たない。その鍛錬を見つめる赤き剣達はファルカの凄まじさに驚愕している。
「おお!赤き剣の皆さんもどうだろう?」
「はっはい!是非とも御指南下さい!」
リーゼ、ロンダ、ミランダ、ターリャこの内で剣を使うのは主には3人だが、僧侶のターリャも実は戦う僧侶で剣を使う。
「では、リーゼさんから」
「よろしくぅ!!」
リーゼから放たれる斬撃は兵士の物ではなく命を奪う冒険者の剣。騎士団の剣は守るための剣。その力の本質は同じ剣でも全く違う。
「むっ!良い打ち込みですね!」
「でや!」
抜き身の一撃はファルカのいなしで弾かれる。
しかし、ファルカのいなしからのカウンターの速度は騎士の速度の外にある。
「そこ!」
「ぐあっ!」
「やはりB級冒険者はお強いですね!」
「ありがとうございました」
「次は3人まとめてお願いします」
「むっ!」
「なめるな!」
「くそー!」
とロンダとミランダとターリャはプライドを刺激され、本気になった。
しかし、まずはターリャが崩され、ミランダとロンダは連携するもファルカのいなしと打ち込みに倒れる。
なかなか良いわ!このペースよ!
そこからは復活した騎士団と交えての乱取りが始まり、最後はリーゼも加えた騎士団と赤き剣の合同チーム対ファルカとなった。
良いわ!良い!これよ!これ!
開始から今まで休みなしで動き続けているファルカの身体はやっと熱く燃焼され、疲労を覚えだしてた。
「もっと来て!立て!」
しかし動ける者はもはや誰もいなかった。
「仕方ないわね」
とファルカは一人訓練場を走り出した。
「ばっ、化け物が...」
それを薄目で見ていたリーゼが呟く。もはや限界間近であったが、死んだふりをしているリーゼ
「!!!」
気付かれたのか?ファルカが近づいて来る。うっすらと見える口もとの口角が上がっている。
倒れているリーゼの前まで来た。ガシッとつかまれ起こされる。
「あら?あらあらあら!」
「ヒッ!」
「まだ行けそうですわね」
「ひぇーーーー!」
訓練場にはリーゼの悲鳴と打ち込みの音だけが響き渡る。
そしてファルカ以外は動かなくなった。
「だらしないわね!これからしばらく毎日訓練だ!ああ!赤き剣の皆さんもね!」
素振りを続けながらファルカが叫んだ。
その日の訓練後、りょうに相談をしてグリーンゲイトからの戦力移動を提案した。
残っている第一騎士団から10名をアルカディアへ移動させる事になり、移民の中から新たな騎士団見習いを募集して補充。訓練とレッサーウルフ相手の鍛錬を提案。
食事の補充もかねての提案だ。
10名をアルカディアに連れて迷いの森へ。
もちろん馬車や車などは使わずに、戦いながらの移動だ。
危なくなるまでりょうの手出しは無く、ギリギリの戦闘を繰り返す。決して勝てる相手ではないウルフ相手の死なない戦闘や、ウォーターリザードは1体撃破。など実戦よりのパワーレベリングであった。
アルカディアの訓練場に着いたら、さっきまで倒れていた親衛隊と赤き剣がやっと立ち上がっていた。連れて来た騎士団員はもはやボロボロであったが…
「おお!ちょうど良かった、回復できたのだな。では皆でもう一本だ!」
「ひぇーーーー!」
「たーすーけーてー!」
その日の訓練場では鬼神ファルカの異名が誕生したのであった。
実は、ファルカがアルカディアに来てから、美味しい食事により少しだけ大きくなってしまっていたようだ。鎧を付けて危機感を覚え、猛訓練を開始しだしたのである。今日の食事の罪悪感を無くすため、今日の一杯を増やすために。
そしてアルカディアの戦力は日々上がって行くのであった。




