誰が竿頭?
「るんたった♪るんたった♪でーん!でーん!」
上機嫌で散歩中のルシエラ、美味しい朝ごはんを食べてるんるんと楽しそうに歩く。
「少し遠出でもしようかの?」
と山を降りて海までのおでかけだ。海はキラキラと日の光を反射して煌めいている。
「るんたった♪るんたった♪でーん!でーん!」
港に近づくと釣りを楽しむ漁師たち?もといメイドたちが釣りをしている。
「あっ竜の穣ちゃん!こんにちは」
「こんにちはなのじゃ♪るんたった♪でーん!でーん!」
釣りを見ているとメイドたちがイスとテーブルを用意してくれて、ジュースとお菓子を出してくれた。
「苦しゅうないのじゃ!」
次々に魚を釣り上げるメイドたち、嬉しそうだ。
「ソチらは大きな魚が釣れると嬉しそうじゃの」
「はい、お嬢様。大変嬉しゅうございます」
「大きな魚があれば、ママとパパは喜ぶかの?」
「それは大変喜ばれるかと」
「ふむ!そうか、ではちと釣りでもして待つが良い」
ルシェは背中から翼を生やすとふわりと浮かび、ビュンッ!と姿を消した。外海に出て海面を見つめるルシェはザブンと海中に飛び込み大きな魚を尻尾を持ち空中に上がって来た。
ビチビチと暴れる大きな魚。
「暴れるでない!」
ペチンッと頭を叩くと静かになった。
「冬の海はちと寒いな!『ウォーム』」
あっと言うまに乾くルシェはまた
「るんたった♪るんたった♪でーん!でーん!」
と歌いながら踵を返すのだった。
その頃港では一台の車が到着していた。
「みんなー!うちのルシェ来てない?」
「お帰りなさいませ旦那様、お嬢様方。はい、先ほど歌いながら来られて釣りを見ていたのですが…大きな魚があれば、奥様と旦那様は喜ぶかと聞かれまして…大変喜ばれるかと思うと伝えたら、しばし待てと飛んで行かれました」
「ルシェったら、嬉しいこと言うじゃない。ねぇ?りょう」
「そうだな、けど何処まで行ったんだろうな?」
そんな会話をしていると上空から
「るんたった♪るんたった♪でーん!でーん!」
とルシェの歌声が聴こえて来た。なんだ!でかい魚を歌いながら飛んで持って来た。
「ママーー!とパパ、来たのじゃなこれをとってきたのじゃ♪どうじゃ?嬉しいか?」
「ルシェありがとう」
ニーニャはルシェをぎゅうっと抱き締めている。
というか、これって…
「クロマグロ!ルシェ凄いな!ありがとう」
「ふむ!パパも大喜びじゃな!妾も嬉しいのじゃ」
その時、磯からるんるんで帰って来たセバスが
「おお!旦那様!今日は大変でございましたよ。なんと60センチオーバーの真鯛が…」
クロマグロをみてクーラボックスを落とすセバス。かなりの衝撃を受けたようだ。きっと今日の竿頭は自分だと戻って来たところに2メートルオーバーのクロマグロがいるのだからね…
「せっ、セバス!これは釣ったというかルシェがつかまえたというか…今日の竿頭はセバスだよ。きっと!」
潮風が波の音とセバスの悲しみを引き飛ばしてくれる…はず…
この後皆で絞めて血抜きをしたのだけど凄い大仕事だった。この大きさのクロマグロっていったいいくらに成るんだろうか?今日は寿司三昧だな。
港までシュローと赤き剣を呼んで解体したのだけど、凄い量だった。収納しつつトロの部分を刺し身で味見。凄まじく美味しい。アルカディアの住人はもはや現代社会の日本人より美味しい物を食べてます。多分。骨と兜も収納しつつ、骨2本分だけ皆で身をスプーンですきながらネギトロにして食べたんだけど、ビックリするくらい美味しかった。
やはりキハダマグロとクロマグロは全然違うんだなって思ってしまった。
ルシェもスプーンを片手に満足そうだ。本当にありがとう。流石に今のところ遠洋までは出れないもんな。大切に食べよう。
「セバスの真鯛の刺し身も楽しみだな!俺は真鯛が一番好きな魚だから嬉しいよ!ありがとうセバス」
「だっ、旦那様ー!」
半泣きセバスに抱きつかれた。本当に鯛が一番好きなんだよな。
帰宅後は皆で寿司三昧をした。別に両手は広げていない。
「あー美味しかった」




