バーベキューは油断大敵
みんなで宴を楽しみ、酔いもまわって来た頃。
突然の出来事が起こった。巨大な魔力が凄まじいスピードでアルカディアに訪れた。
迂闊だった。アルカディアには魔物は今のところ入ってこれていない。そういう先入観を一気に砕いた巨大な魔力…
その巨大な魔力の正体が黙視できた。宴で幸せな空気を纏っていた。我々を一気に恐怖の空気に引きずり込む姿を…
ドラゴンだ…
震える…恐怖で動け無い…駄目だ!
何とか収納から銃を出して構える事が出来た。しかし…これは駄目だ…このドラゴンには銃が効かない……感じるのだ。絶対的強者の存在を。
「みんな逃げてくれ…」
「りょう!」
泣きながら叫ぶニーニャ…
「りょう!私もお供いたします!死ぬ時はお側で…」
今にも泣きそうで震えるファルカ。
「わたしもりょうから最後まで離れないわ…」
ニーニャ…君は生きろ…生きてくれ!
俺はとっさにニーニャとファルカを抱きしめ庇うように踞る。ああ、俺にも出来たんだ…
脳裏にニーニャを庇うように亡くなったアベルが浮かんだ。自分が出来る事…何かスキルは無いのか………そうだ…
「ステータスオープン!」
種別 人族 性別 男 年齢 24
職業 引きこもり賢者(笑)
レベル45 HP89(+24) MP89(+24)
狩猟 レベル10
解体 レベル10
狙撃 レベル10
罠 レベル10
料理 レベル10
農業 レベル3
酪農 レベル2
調合 レベル1
スキル
現代ネット 異世界検索3 魔物図鑑3 言語6 錬金術1 収納8 感知 完全防護結界
魔法
生活魔法 エンチャント
なんだよ!引きこもり賢者(笑)って…本当に腹が立つ、違う早く、何かスキルか何か…使えるヤツは無いのか…パニックで頭が正常に働かない…ドラゴンの放つ何かオーラの様な何かが思考の邪魔をする…
「………ん?なんだ?このスキル!」
とにかく使おう。
「完全防護結界!」
バーベキュー会場を包む事が出来た。
その刹那…
『ドゴーーーーン!!!』
何かが当たった…が衝撃もない…凄まじい轟音だけが響き渡る。そして何かが落ちた…
ドラゴンである。
「何が起こったの?」
「どうしてドラゴンが…」
ニーニャとファルカはキョトンとしている。
俺自身もだ。メイドたちもセバスも全員がキョトンとしている。
遠くから赤き剣が走ってきてドラゴンをみて恐怖に驚き固まっている。
すぐさまドラゴンが眼を覚まし、俺たちを前足やしっぽで使い、火を吐いて攻撃してくる。
しかし…衝撃も何も無くただドラゴンの攻撃音だけが響き渡る。
「完全防護結界…スゲー!」
みんな未だにキョトンとしている。試しに赤き剣にも完全防護結界をエンチャントしてみた。
出来た。そして合流した。
「じゅーっ、じゅーっ」
穴子の焼ける匂いが充満して来た。はっと後ろを振り返ると、シュローが調理を再開しだしたのである、住人達も完全に出来上がっているのか宴を再開しだした…
「おーい!」
ドラゴンの攻撃は止まらず、攻撃音と飛ぶほどの良い匂いだけが辺りを物語る…カオスだ…
ドラゴンの方を良く見れば美しい白銀のドラゴンだった。なんだか気の毒に成ってきた…
ドラゴンも何故か泣いているようにも見える…
もはや結界に張り付きヨダレと涙を垂らしている…
『ナゼダ…』
ドラゴンの声?え?喋れるの?
俺は恐る恐るたずねた。
「あの…喋れるのですか?」
『フンッ!人間よ!なぜ妾をのけ者にするのだ』
「のけ者?」
『この近くを飛んでおったら凄まじく良い匂いがしての!全速力で友好的に来たのだ!途中変なゆがみのがあったのだがの!何とか越えてまっすぐに飛んで来たのだ、でも近付いたら何か見えない攻撃をされたのだ』
つまりは、蒲焼きの匂いでドラゴンが釣れたって事?それで見えない様な勢いで俺の結界に衝突…良く死ななかったな…流石はドラゴン
友好的に来たのに攻撃されたと勘違いしたドラゴンはかんしゃくを興してあばれたと…
そしてまた匂いと楽しそうな宴を前に何をしても近づけないと…
その結果が、この残念なギャン泣きヨダレドラゴンになってしまったようだ。
「その…しかしドラゴンさん…我々弱い人間はドラゴンさんのその「大きく美しい白銀の姿」とその「素晴らしい力」が恐ろしく結界を解く事は出来ないのです。」
素晴らしい力に反応したのか
『そうか!妾の素晴らしい力が大きく体躯が恐ろしいと言うことじゃな!あい、わかった!』
ドラゴンはその白銀の体躯を更に眩く光らせて、小さくなった………いや、ロリババーが来た。
「うむ、どうじゃ!これで良いか!妾もそのうまそーーな食い物を食べて良いか?宴の仲間に入れてくれるか?」
残念ヨダレロリが聞いて来たので仕方なく…こんな姿でも絶対的に勝てないので…仕方なくである。
「解除」
「おおお!お邪魔するのじゃ!」
バーベキュー会場に加わり酒を呑み、シュローに
「そのうまそーーな食い物を所望するのじゃ」
と穴子丼を受け取りがっつき始めた。
「うーまーいーぞぉーーーーーーーーー!!」
どこかの「味の王」みたいな感想をし、涙を流しながらがっついていた。
「お口に合いましたか?」
俺が聞くと
「こんなに美味いものは初めてなのじゃ!うむ!妾は満足じゃぞ!気に入った!」
そうか満足か!良し早く帰れ!あっ!おかわりしてる…アラ煮と赤だしに感動してるみたいだ…
酒を呑み出した…刺し身をツマミに…何か馴染んでないか?…
早く帰れ!!!!恐いから!
そしてまた笑い声は波の音と混じり合い、素敵な音色を奏でていくのであった。




