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クロスワールドーー48歳のサバイバル馬鹿が異世界に放り込まれた結果、まず飯を作り始めるーー  作者: こっちのあっきー


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渚のうにょうにょ

川沿いを楽しく会話しながら歩いて散策していた、その時、ニーニャが何か見つけたようで駆け出した。


「りょーう!、ファルカー!こっちに来て!」


ニーニャが呼んでいる。ファルカとふたりで走って向かうとそこには…


「みてみて!なんか川沿いにくるくる回る輪っかを付けた大きなお家があったの!なにこれ?」


「おお!これは水車だよ!その隣に有る建物は水車小屋だよ」


「ははっ!なになに?水車って!へんなのー!」


「…凄い迫力ですね!」


興奮するニーニャと驚愕するファルカ。回る水車を見ながら不思議そうな面持ちで眺めていた。川の流れの音と水車小屋から聞こえてくる断続的な水の音、なんかすごく癒される。


「これはね、川の流れの力を使って製粉や精米をできる水車って物なんだよ。大変な力仕事を川の流れの力を…って…あった!エネルギーを生み出す方法!」


ニーニャとファルカに説明している時に思い出した。そう水力発電だ。


アルカディアでは今、水問題を抱えて居る、対処法で川の水を用水路で引き込む事で対応しているが、水車を使って何とか発電をする事で浄水場を復活出来ないか?


この町の川は俺の知っている限り、20年の間水量が減った記憶が無い。水力を活用すれば二十四時間年中無休でエネルギーを得る事ができる。


「ねーりょう!りょうってば!聞いてるの?」


考え事に集中しすぎてニーニャに呼ばれていることに気が付かなかった。


「ああ、ごめん考え事していた。えーとなんだっけ?」


「えー!もう!しょうがないなー、色々みてまわったし、お腹がすいてきたね!って言ってたの!」


「りょう様、私も動いてお腹が…」


危ない、うちの小さくてかわいい食欲魔神がご機嫌斜めになってしまうな、ファルカも恥ずかしがりながらもモジモジと訴え掛けてきている。


「そうだね、お手伝いしたり働いてお腹が空いてきたね、そろそろ戻ってお昼にしよう」


水車は気になるが、今はかわいい食欲魔神が優先だ。


「ご飯前だから少しだけな!ふたりで分けて食べて」


とりあえずふたりに100均で拝借したお菓子を渡した。


「この細い棒がたくさん入ったお菓子!すっごく美味しいわ」


「ですよね、私もびっくりしました。甘くて、香ばしくてポリポリが止まりません」


箱を開けて中の小袋ふたつを分け合って食べている。感動しながら嬉しそうにポリポリ食べるふたりであった。


俺は川に入って何ヵ所かに仕掛けを作ってから移動した。そろそろヤツが食べたいからで有る。ふたりを車に乗せて港まで来た。防波堤には笑顔で釣り座を垂らす人影が並んで見えた。


「おーい!ヒルダー!」


こちらに気付いたメイドたちがこちらに集まってきた。


「そろそろお昼ごはんにしないか?」


「そうでございますね!本日も大漁でございました」


「そうか、それは良かったな!ここで浜焼バーベキューはどうだ?」


「それは良いですね!そうしましょう。みんな!」


バーベキューコンロを出しながら俺が言うと、ヒルダの一声でメイドたちが素早く動きだした。テーブルと椅子も収納から出した途端にアナとシャルロットが受け取りメイドたちに指示を出して、あっと言うまにバーベキュー会場が整った。流石はプロである。


気が付けば炭もいこっている。シュローが手際よく魚をさばいてテーブルには刺し身の盛り合わせが並んでいる。俺は土鍋で米を炊いてシュローから魚のアラを受け取り、アラ煮とアラで出汁を取った赤だしを作った。


「あの、旦那様よろしいでしょうか?」


赤だし(赤味噌を使ったお味噌汁)を作っていると、ヒルダがクーラーボックスを持って来た。


「どうした?」


「今日はこのような魚がたくさん釣れまして…食べれるのでしょか?」


クーラーボックスの中には、うにょうにょと蠢く魚がいた。穴子である。


「ああ、これはね穴子って魚でヌメヌメして調理は難しいけど最高に美味しい魚だよ」


「まあ!嬉しゅうございます」


俺はシュローと穴子を目打ちして捌きまくった。

串打ちをして炭火で、遠火でじっくりと焼き、穴子の骨を焼いて鍋で煮出し、醤油、酒、味醂、砂糖で味を整える。タレである。


ジュウジュウと香ばしくて芳醇な匂いと煙りが辺りを満たす。タレに穴子を浸けてまたじっくりと焼く。ニーニャとファルカはもう限界って顔でヨダレを垂らしている。シュローとふたりで焼いていると…


「遅れて申し訳ございません」


といつの間にかセバスも来ていた。結構離れた磯で大物を狙って漁?(釣り)をしていたのに、もしかして匂いで釣られたのかな?


メイドたちは炊けたお米を丼によそって並べている。焼き上がった穴子を丼に入れていき。出来上がりだ!


お品書きは、穴子丼とアラ煮、刺し身の盛り合わせと赤だしだ。


「さあ、食べよう!」


「頂きまーす!」


「きゃー!この穴子丼と言うお料理とても美味しいですわ」


「そうよね!表面はパリッと香ばしくて中はふわっふわです。美味しいです」


「この刺し身の盛り合わせ…海の宝石箱よー!」


ニーニャとファルカ、そしてメイドたちも各自で食べながら感動し、笑いながら食べている。


アラ煮も赤だしも大絶賛だ。


「ご飯がすすみすぎですわね」


そんな中


「穴子丼、アラ煮、赤だし…」


今日のレシピを食べながらメモに書き込んでいるシュロー。彼の料理への探求心は本物だな。今後は、今日作った物が食卓に並ぶのだろう。


遠くから人がずらずらと集まって来た。水路の工事をしていたもの達も住人たちも集まって来た。


「旦那様ー!なんて匂いを…現場のみんなが目の色を変えてここまで来てしまいました」


「え?みんなの嗅覚スゴくないか?あはは!大丈夫だ、皆の分も材料はあるから」


「旦那様ー!ばんざーい!」


「旦那様ー!最高ー!」


「りょうは最高なのよ!」


「ああ、りょう様ぁ♡」


そこからはシュローと俺は料理に徹した。

捌いて焼いて煮て炊いて作りまくった。バーベキュー会場は宴に変わっていた。


今日も、アルカディアは平和な一日を送った。

笑顔と笑い声は波の音と混じり合い、素敵な音色を奏でていた。

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