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クロスワールドーー48歳のサバイバル馬鹿が異世界に放り込まれた結果、まず飯を作り始めるーー  作者: こっちのあっきー


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羽の無いドラゴン

食後、パワーショベルの運転技術を教えながら生活用水路を掘り進める。セバスたち屋敷組は漁に行くらしい…もはや釣りとは言わないんだ…あはは…騎士たちも漁に参加するらしい。防波堤に執事とメイドと鎧姿の騎士にコックたちが竿を垂らす…

非常にシュールな光景が脳裏に浮かぶ。


パワーショベルを運転しながら


「ぶっ!」


「どうかしましたか?」


「いや、漁をしているセバスたちを思い浮かべたら…かなりシュールだなと…」


「ぷぷぷっ!」


「あはは!」


「わっははは!」


笑いが現場に伝染した。

やはり作業は楽しく無いとね。


この世界の土木工事は、重機など無い変わりに魔法がある。パワーショベルで掘削していった後は、土魔法で固めながら形成していく。非常に効率が良い。大きな範囲には魔力の問題で掛けれず、今までは手で掘り魔法で形成というのがやり方で、やはりパワーショベルを使うと効率が上がる。


しかし、パワーショベルを持ってきた時は皆にモンスターだ!とか驚かれて大変だった。

落ち着くまで時間が掛かった。

やはりこれだけ大きなものが動いて振動と共に現れたら恐いよな。羽の無いドラゴンに見えたらしい。

ファルカが悲愴な表情で、住人たちを守ろうと一人出てきて、感動した。立派な騎士だよ、君は。


因みに今回の工事の目的はこうだ。


前提として俺たちの中には利水の知識がキチンと無い。それでも水源は住居の近くまでは必要。


なので、まずは川から水路を引き、途中に大きな溜め池を作ることにした。

そこから町の近くまで水路を延ばし、最終的には再び川へ戻す。

利水について専門的な知識があるわけじゃない。

だからこそ、今回は無理をしない。


「いいか! この水は生活用水だ!」


工事を手伝う住人たちに説明する。


「洗濯や風呂、トイレ、畑や家畜への水やりに使ってほしい。ただし、この水を飲むのは絶対に駄目だ」


「飲み水はどうするのですか?」


「井戸を掘る!」


即答すると、何人かが顔を見合わせた。


「今ある井戸から、取りあえず飲み水を確保してくれ。新しい井戸については、場所を調べてから掘る」


「川の水は駄目なのですか?」


「綺麗に見えても駄目だ。目に見えない病気の原因がいるかもしれない」


俺の言葉に、皆が真剣な顔になる。


「どうしても飲む必要があるなら、必ず浄水するか煮沸すること。それと……」


俺は一人の住人を見る。


「魔法で浄化――『クリーン』が使えるなら、それでもいい」


「なるほど……」


皆が頷く。

これなら、とりあえず最低限の水環境は確保できる。

本格的な水道設備や浄水場を作るのは、その後だ。

俺たちには利水の専門家がいない。

だからこそ、知識のある人間が来るまでは、できることを確実にやっていくしかない。


「よし、それじゃあ掘るぞ!」


パワーショベルを動かし始める。

少し操作方法を教えただけなのに、住人たちはすぐに覚えてしまった。


「りょう様! 次は私が!」


「いや、俺もやりたい!」


「俺にも触らせてくれ!」


……なんだこれ。


パワーショベルの運転体験会になっている。


「お前ら……そんなに重機が好きなのか?」


思わず苦笑する。


まあ、気持ちは分かる。

俺だって子供のころにこんなのを見たら絶対に乗りたがっていただろう。


「わかるぞ!男はロボット大好きだもんな!」


俺は小さく呟く。



ある程度ようすをみた後、ファルカと工事現場を後にし、町や施設を案内することにした。


収納から出してニーニャとファルカを乗せ車を走らせた。二人は窓から顔を出したりしながら楽しそうに会話をしている。


しばらく走らせた後に目的地に着く。


「ここが養豚場だよ」


「わー!たくさん居ますね」


「匂いはなかなかだけど可愛いですね」


「この動物が豚だよ」


ブヒブヒと元気に動いている。しかし多いな…これは出荷しないとどんどん増えてしまうな。


「お疲れ様!豚たちの様子はどうですか?」


養豚場を任せている住人たちに挨拶と飲み物の差し入れをした。


「いやぁりょう様、豚たちは元気で出産もどんどんしておりまして豚舎が足らなくなっております」


嬉しい悲鳴ですと伝えられた。

肉として出荷するだけではいつまでもノトスはアルカディア頼みになるな。しかし今は食欲が優先か。


「先ずはここの豚舎から20匹グリーンゲートへ分けよう後はどう運搬するかだな」


担当者にその旨を伝え、セバスとの打ち合わせをお願いした。


「これだけの豚がいたら飢える事は無いですね」


嬉しそうにファルカが言って来た。


「そうだね、でもここだけで育てているのは危険でもあるんだ」


「それはどうしてなの?」


ニーニャも不思議そうに聞いてきた。


「病気だよ!ここの豚舎を見て貰えたらわかるぞ!豚舎が別れて幾つもあるだろ?これは病気の対策でも有るんだよ」


「へー!凄いね!良く考えてあるね」


「この豚たちの種を守る為には他でも飼う必要が有るんだよ」


続きは車で移動しながら説明をした。

次に着いたのは…


「着いたよ!ここが養鶏場だよ!」


到着した後は養鶏場に入って、担当者に挨拶をした。


「凄い鳴き声ですね」


「りょう様!ようこそ」


養鶏場の従業員はかなりの人数が忙しなく動いている。忙しそうだ。


「ニワトリたちは元気ですか?」


「元気過ぎて困っているのです。ここの養鶏場からの、卵と肉の出荷と供給が間に合って居らずこちらに来た時にはヒヨコだらけでして…今、離れた所に鶏舎を建て増しております」


悲痛な面持ちで訴えられた。早く住人を増やさないとだが、グリーンゲートで様子を見ないと危険だ。すまないもうしばらく耐えてくれ。


とりあえず今ある卵は全て収納しておいた。ニーニャと俺で300匹ほど解体しながらファルカにも教え三人でひたすら解体した。


軽く1万羽は超えてるよな…後、鶏糞の掃除を手伝いその際に収納できないかと鶏糞だけを意識したら収納が出来てしまった。畑に移動して鶏糞を肥溜めに出して入れた。これを手作業でやっているのだから感謝しかないです。ありがとうございます。


川で手を洗って三人で川沿いを歩いて散策した。


「りょう様お魚がたくさんいますわ」


「川沿いに食べれるハーブや野草もたくさんあるよー!食べるものが無い時にお父さんと取りに行ったのを思い出すわ」


二人は楽しそうに、また飢餓で無くなった家族や知人や友人の顔を思い出したのだろうか、嬉しそうに、悲しそうに、楽しそうに笑う。


こんな野草ですら彼女たちの周りには無くなって居たのだから...

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