至高への対抗
すごく短いです。しかも食事ネタが続きます。ごめんなさい。
訂正しました。
楽しい宴会を終え、全員が屋敷に泊まった。その翌朝。今日の朝ごはんは、アジの塩焼きと甘い卵焼きとだし巻き玉子。野菜たっぷりの豚汁、そして小松菜のごま和えを料理長と作った。レシピと見本を作れば直ぐに再現してくれる。
料理長の名前はシュローだ。元々は王都の人気店で料理長まで勤めた凄腕らしい。がライバルで有り父であるユージャンとの争いに疲れてノトス領まで移り住んで来た。
「シュローは凄いな、教えたレシピを直ぐに上回った料理を作ってくれる」
「ありがとうございます、旦那様のお料理は私にとって新しい発見ばかりでございます。」
シュローは嬉しそうに料理を見つめている。
「いつか旦那様の為に、私だけの究極の献立を作ってみせます」
「おお!それは楽しみだな」
嬉しい事を言ってくれる。シュローはこのアルカディアでも大切に守るべき家族だと密かに誓った。
うちの食卓には使用人たちもついて一緒に食べる。来賓が来た場合以外は徹底している。
そして宴会場にテーブルと席を設けている。
大人数の「いただきます!」が毎日響くのだ。みんな箸も使えるようになっていた。
シュローと俺の朝の献立を前にみんな大喜びだ。
美味しい朝食をみんなで食べながらセバスにパワーショベルで掘削の手伝いをすると伝えた。もちろん全てやるわけでなく、運転操作を教えて任せるつもりだ。
そんな会話の中、隣ではニーニャは目をトロンとさせながら卵を頬張っている。
「はぁこの卵焼き、中はとろとろで甘くて幸せの味がします。そしてこのだし巻き玉子もこの大根おろしと食べるとまた、絶品ですわ」
ニーニャの卵への感動が始まった。ほっぺたに手を当てながらほっぺたが落ちないようにほわんと喋る。
「そんなに美味しいか?」
「はい、美味しいです。」
「ニーニャ、落ち着いて食べろよ」
「無理です!美味しいんですもの」
幸せそうに食べるニーニャを見ていたファルカたちも料理を見る。
「…これは卵…こんなに不断に使うなんて…」
「…まるで皇族の食事…」
みんなのお膳を見ながらファルカたちはキョロキョロと他の人の料理を見て驚いていた。
「ファルカさんもはやく食べてみて」
ニーニャは卵の感動をどうやらファルカに伝えたいようだ、ほっぺたに手を添えながらずいずいと近づいていく。
満を持してファルカたちは恐る恐る卵焼きを口に運ぶ。
「…!!!」
「!!!!!!」
「………これは」
ファルカは口に手を当てながら驚き表情がとろける。騎士団員も全員それぞれの反応をしている。
それを見てもニーニャも満足そうだ。
「とろとろで甘くて幸せ…」
「ふわふわ…」
「じゅわー」
「りょう様!ここではこのようなご馳走を朝から食べているのですか?」
真剣な眼差しでファルカが聞いてくる。
「そうだね、これが朝のメニューでは多いかな、新しく来た住人たちはここの食生活に驚くんだ」
それを聞いたファルカたちは呆然と「あはは…」と笑っている。これもまた、お約束の光景になってきた。
「りょう様!わたくしはここに来れて幸せに思います」
ファルカも幸せそうな顔でほっぺに手を添えている。
朝から感動が絶えない食事となった。いつかはシャケを並べたいものだが…こればかりは無理かな?
それぞれが幸せな朝食を終えその光景をいちばん離れた席で満足気に見つめる男がいた。
料理でみんなを幸せにする。
それは自分が目指してきたものだった。
だが。
脳裏に浮かぶ男がいる。
料理人として、自分より遥かな高みにいる男。
そして、自分が何度挑んでも越えられなかった男。
「………父上」
小さく呟く。
「何かあった?」
「いえ、何でもございません」
そう言って、再び笑顔をつくる。
だがその胸の奥では…
熱いものが燃え始めていた。
いつか、
いつの日か。
この人を自分の料理で唸らせてみたい。
そして…
『今に見ていろユージャン!お前の至高の献立を俺の究極の献立で越えてやるからな!』
心の中で父ユージャンへの熱く強い思いを燃やしている。そう、料理長のシュローであった。
俺の横では、
「りょう、卵もう一個下さい」
「はいはい」
「二個です」
「増えてるぞ」
今日もうちの天使の食欲は満点だ。




