そういえば俺は賢者だった
食事と挨拶を終えた後、難民の割り振りをすべくグレオール男爵は名簿の作成を行った。その際に難民より感謝の言葉をかなり受け取った様子、
どうやら難民の中にはに貴族はファルカしかおらず、クラート領での貴族は、この飢饉の最中でも領民から僅かな食料までを徴税として奪い、分け与えるでもなく、豪遊を行っていると怒りながら進言されたのである。日々行われる夜会、飢えた領民たちをみてあざけ笑いと…それを聞いてグレオール男爵は
「貴族とは名ばかりの行い…許せん…我々貴族は民を護るために力と身分を預かる者…それを」
拳を痛いほど握り締めるグレオール男爵。
「グレオール様あのボン・フォン・クラート男爵は勘違いしておるのです。同じ下級貴族として情けないと常々進言しておりましたが…」
申し訳なさそうに喋るファルカ。
「それで、そのボンクラ男爵だっけ?そいつらと貴族以外の使用人、それを良しとする貴族よりの人間以外が全て町を出たと?アハハ!そいつ本当にボンクラだよな」
りょうは腹を抱えて笑いだした。ニーニャも釣られて笑っている。自然と部屋の雰囲気は明るくなった。りょうは続けて
「今頃、まだ自分たちの食料が有っても、どう調理したら良いのかも分からず泣いてんじゃないか?使用人は何処だ!どうなっておる!とか叫んでいたりして。ぷっ!自ら動き出した頃にはもぬけの殻ってところだろうな」
「ぷっ!ぷはははは!」
「あはははは!」
全員が吹き出した。名簿の使用人の数を見ると確実に全員が出て来たのだとわかる。
「我々、貴族は居なくても民は死なぬ。が民が居らねば貴族は生きて行けない。よって知識を持って民と国の為に尽くし栄えさせよ。と国王より常々言われていたであろうに…愚かよの…」
「この国の国王様は良い王様みたいですね。男爵はクラート領からの援助要請があったらどうするのです?」
「むろん断る」
「ですね、行いの良い貴族であれば周りから声も掛かりましょう」
「住居の割り振りと、各町への割り振りが終わるまで移民団のみんなには休息を。俺は何回かに分けて第一騎士団から順にグリーンゲートに送り出しときます」
「わかりました」
「りょう様、宜しくお願いします」
ーーーーー
その頃、クラート領ボン男爵邸宅では
「誰か!居らぬのか!」
「本当にどんくさいグズどもね!誰か!はよ!」
「父上、使用人ども下民たちはバカなのでしょうか?呼ばれても来ません」
妻や子供達一同で料理をするでもなく、ただ叫ぶばかり、フルーツなど生で食べれる物だけを食べ。この10日の間、使用人を呼び続けていただけであった。
救い様のないバカであった。
この後の話はまた別の話しである。
ーーーーー
戻ってノトスでは、ファルカを筆頭とした第一騎士団50名の内30名を連れて町を出た。大型キャンピングカーを出したら「いったい何処から」と驚いていた。
「さあ!みんなの新しい町に異動するからね!乗った!乗った!」
「これに乗るのですか?え…?なんて煌びやかでゴージャスな…王宮のようですわ」
「隊長!これはいったい…」
皆は思い思い感想を喋るので、車内は小学生の遠足のバスの中のような賑わいになった。
「それじゃ出発するよー!」
車内マイクで放送すると、一瞬静かになったが動き出すとスピードと飛んで行く景色にキャーキャー、わーわーと騒ぎ出した。第一騎士団よもう少し肝を据えて構えて欲しいぞ!これからは君たちは我らアルカディアの守護警備を担うのだから。
因みに騎馬と馬車は、残りの20名が商隊とキャラバンで連れて来てくれるようだ。到着は3日後だろう。
グリーンゲートに到着するとまた家が増え町らしい造りに成っていた。来る度に変わっている。喜ばしい事だ。グリーンゲートの代官屋敷に入り、代官に後は任せた。アルカディアへは、ファルカと直轄の精鋭部隊5名のみ移ってもらう事らしい。
お任せなのでそうらしい。
アルカディアへの車内で、ファルカから幾つか質問を受けた。
「りょう様はお子がいるようですが奥様はどちらに?」
「わたしはりょうの子供ではないぞ!奥様はわたしよ!」
「えーーーー!?」
ファルカと部下たちは驚きの声をあげた。ファルカはかなり動揺している。
「りっ、りっ、りょう様は少女趣味が…」
「誤解だー!」
「わたしはもう16歳よ!成人しているわ」
「ニーニャ殿、りょう様は誤解だと仰ってますわ」
「毎日一緒に寝ているのよ!ふふっ!屋敷に着いたら直ぐにわかるわ!」
余裕の表情で話すニーニャと「ぐぬぬっ!」と動揺の隠せないファルカ
「私より4歳も年下ですのね」
と自分は20歳だとりょうにアピールは忘れない。
反論したくても、女の子同士の会話に口を挟めるほど俺は器用ではないのだ。何せ賢者(笑)なのだから...そういえばステータスの確認かなりしていないな…でも以前に思ったけど、あれ見てもスキルと魔法の確認くらいしか役に立たないんだよな…魔物は遠くから頭をぶち抜いたら終いだし…まあ、暇なときに見よう。
色々諦めながらも車内はニーニャとファルカの声だけが響くのであった。




