クロニクル
夢をみた、ニーニャと初めて会った日の夢、倒されたオーク、ニーニャを木の洞に逃がし庇う男の姿を、息を引き取ってもなお守るように亡くなった、勇敢な父親の姿が、俺には出来ない姿の夢をみた。目を覚ますとニーニャが寝惚けて首にしがみついていた。起こさないようにそっと手を離して、顔を洗いに起きた。
今日は早く起きすぎた。
少し山に狩りに出た。
最近は、魔物ばかり狩っていたので鹿とイノシシが増えて居るようだ。
気配を殺して、狙いを定める。
集中……撃つ、装填、撃つ、装填、撃つ、装填、撃つ………。
見える範囲の鹿とイノシシを狩った。
イノシシが5匹、鹿が10匹。
収納して川に移動。血抜きをして内臓の処理をし、さっと解体した。
あっという間に終わる。川が流石に血で赤く染まっている。
穴を掘り、食べない部位の内臓などを埋める。
家に戻ると、みんな朝の日課を始めていたので、参加する。
朝ごはんを食べている時に、今日の予定を皆に伝えた。
「今日はノトスに行って、食糧を納品多めにしようと思う。一緒に来たい人ー!」
「久しぶりにお店の様子が見たいので付いて行きたいです」
ニーニャは当たり前として、今日はミリーとマリー、アルトが付いてくるようだ。
「レッサーウルフが在庫切らしてるから、グリーンゲート付近のレッサーウルフを間引きながら行こうと思う。何時になるか分からないから、晩ごはんは済ませてね」
今日は早めに出発した。グリーンゲート付近は魔物が多く、めっちゃ狩れました。
「大きな群れを3つ潰したから200匹くらい狩れたな」
食糧過多かなと思ったが、近隣の村も充たされるかな?と今日は張り切りました。
ノトスの冒険者ギルドで、200匹を一度に全部納品しても構わないかと相談したら、男爵と商人ギルド長が飛んできた。
「これでノトスの町以外の、領地の村にも送る事ができる…」
男爵が泣きだした。迷惑かと思って一度に卸さなかったけど、欲しかったんだね。気付かずにごめん。
「あと、これはここらでは取れない動物なんだけど、鹿肉要ります?油ぶんはないけど美味しい肉ですよ。あとお店で出してるイノシシ肉も…」
言い切る前に「要ります!!!」だそうだ。
鹿肉を2匹分とイノシシ肉も1匹分卸してあげた。
100グラム銀貨1.5枚で買い取って貰えた。
中央広場に行く、とうちの店が凄いことになっていた。前までタープテント1つのお店だったのに、間口が3倍に広がっていた。難民が多くなってきたので拡張したらしい。渡す肉の量が増えていたのはこのせいか…
「旦那様、お肉の追加お願い致します」
ミリーとマリーが指示をしながらお願いしてきたのでウルフ肉とイノシシ、今回は鹿肉のローストのレシピを添えて鹿肉も渡しておいた。
「お客さん多くね?何人いるんだ?」
広場は鮨詰め状態だった。周りでは
「美味い!これをこの値段で食べれるって、ここは楽園か?」
「町に戻ったら宣伝しとくぜ!串もう2本追加だ!」
「いや!俺はもう戻りたくねえよ!」
お客さんの評価は最高だな。
繁盛し過ぎのような気がする。これが嬉しい悲鳴ってやつか。
帰りに迷いの森でウルフを狩って帰ろう。
男爵に現状を聞いておこうと、男爵の家に向かった。
「男爵、広場が凄いことになってますけど、大丈夫そうですか?」
「領内から人がノトスに食糧を求めて集結しているようですが、本日の納入分で他の村へレッサーウルフ肉を売りに出れそうなので大丈夫かと」
「そうですか、あとアルカディアの特産品として魚の干物を作りだしたのですが、これはお土産です。」
アジの干物とメザシを男爵分と商人ギルド長の分を渡しておいた。
「気にいって貰えたらまた卸しますので」
凄く喜ばれた。
「コランドから聞いていると思いますが、グリーンゲートへの移民の件も宜しくお願い致します」
アルカディアとグリーンゲートの有用性を美味しいもので宣伝しておいた。
その頃、隣のクラート領では
「飯も食わずに警備なんてやってられっか!」
「隣のノトスでは食糧が潤沢に出回りだしたみたいだぜ!俺は家族でノトスに行こうと思うんだ」
「マジか、俺も行こうとしていた所だ。貴族だけ良いもん食いやがって…」
「町の住人はもう出て行き出してるみたいだぜ!」
ノトスに向かい大勢が旅立った。
食糧を求めて
生きる為に
それは飢えた民たちにとって…命懸けの旅だった。




