6.
しかし、ファンカイアは二人の様子を気にすることもなく爆弾発言を続ける。
「ええ、そうですわ! ムーワ様は次期国王になられるお方です!」
「ほお? 第二王子のムーワが?」
「はい! ムーワ様は他の王子なんかよりも立派なお方です」
「っ!?」
国王が睨みつけているのに、ムーワが震えているのに、ファンカイアはそれに気づきもしないで堂々と振る舞っている。公爵令嬢が国王に対して馬鹿げた言動を口にする……本当の不敬だ。
(あの自信はどこから来るんだろう……悪い意味で大物だわ。っていうか、そんなに第二王子が好きなのかしら?)
ファンカイアがムーワに国王になってほしいようだが、冤罪で婚約者を陥れようと画策するような男にそんな資格はない。国王も周りの貴族も顔を顰める。
「……他の王子が立派じゃないと?」
「はい、そうです!」
「彼らが愚かだというのか? 今の王太子も?」
「当たり前です!」
「「「っ!?」」」
オルフェーノは妹の発言に顔がひきつった。
(……信じられないわ)
言ってしまった。王族に対して愚かだと、ファンカイアははっきり言ってしまった。国王に誘導されたというのもあるが、流石にこれは不味いと気付いたムーワとアデントとエルドーロがファンカイアを止めようとした。
「やめろファンカイア!」
「こ、この馬鹿が! 黙れ!」
「もう何も言わないで!」
「え? 何でよ?」
親しい三人が自分を止めようとするがファンカイアは止まるどころかたたみかける。
「王太子の兄がお高く止まってて小言ばかり言うのが気に食わない、弟が勉強ばかりで陰気臭いのが気に食わない。あんな連中よりも周りから慕われて華のある自分のほうが次期国王にふさわしいと、ムーワ様がそう申し上げておりましたわ!」
「ぷっ!」
(な、何言ってるの!? そんな馬鹿なこと考えてたの!?)
ムーワが言っていたと、ファンカイアは口にした。それを聞いたオルフェーノも周りの貴族も吹き出してしまった。それを発端として、笑い声が広がっていく。
ただ、ムーワとファンカイアとアデントとエルドーロの四人は笑えない。ムーワは顔を青ざめ、ファンカイアは何が起こっているのか分からず立ち尽くし、アデントとエルドーロはわなわなと震えていた。
そして、国王もピクリとも笑わず無表情。いや、頭の中は怒りで煮えたぎっていた。
「なるほどな……」
国王が一言呟くと同時に、オルフェーノも周りの貴族も口を閉ざす。顔が鬼のような形相へと変わり、その視線をムーワとファンカイアに向けた。




