17.
馬鹿四人は惨めな姿を晒し続けながら連れて行かれた。その様子に多くの貴族が笑っていた。今後しばらく、彼ら四人の話は貴族達の笑い話になることだろう。
「皆様、私も元関係者たちが見苦しい姿をお見せしました。申し訳ありません」
彼ら四人のことで頭を下げるオルフェーノ。顔を上げると真剣な顔で言葉を続けた。
「これから公爵代理という身ですので何かと至らぬこともあるかと思いますが、皆様、どうかよろしくお願いします」
「オルフェーノ嬢、そなたには期待している。我らは喜んでそなたを受け入れようぞ」
国王が称えるとともに貴族たちから盛大な拍手がオルフェーノに送られる。小気味の良い音が響き続ける中で、オルフェーノは心の中で感激していた。
(これで苦しみの日々は終わったんだわ。これから私の本当の人生が始まる……!)
思い返せば地獄だった毎日、それが終わったという実感がオルフェーノの心を満たす。ただの終わりではなく、新たな始まりでもあるということも。
◇
オルフェーノが公爵代理となってから三ヶ月が過ぎた。元から父親に代わって公爵の仕事をしていたこともあって、父親以上に公爵らしい仕事ぶりと成果をオルフェーノはこなしていた。
そんなある日、第三王子マカモウスがオルフェーノのもとに訪ねてきた。
「流石だね、オルフェーノ嬢。前公爵とは比べ物にならないほどの仕事ぶりだよ」
「マカモウス殿下、ありがとうございます。殿下が私に助力してくださったお陰です」
「助力と言ってもたいしたことしてないさ。録音機を貸したことくらいじゃないか?」
「それだけではありません。ムーワ殿下の数々の暴挙の証拠と証言をまとめてくださったのはマカモウス殿下の手腕あってこそのことです。今の私があるのは貴方のお陰だと言っても過言ではありません」
「あれくらい大したものじゃないよ。兄上も単純だったからね……」
マカモウスはあのパーティーが始まる以前からオルフェーノの味方だった。趣味が読書で図書館にいることが多いという共通点をきっかけによく会話するようになってから互いの相談をしていた。そして、ムーワの素行の悪さと公爵家の問題を一度にまとめて片付けようとパーティーで断罪する計画を実行したわけだ。
「僕の方も同じことを思っているよ。ムーワ兄の暴挙に父上が極めて厳しい処分を下してくれたのは君のお陰だってね」
「それもそうですね。あのようなお方が私と婚約だなんて恐ろしくて仕方ありませんわ」
オルフェーノもマカモウスも互いに笑いあった。あの断罪劇は二人のいい思い出のようになっているようだった。
「……ところで、あれから新しい婚約の話とかはあるかい?」
「いえ、私は公爵代理という特殊な立場もあって中々そういう時間が取れないのです。だから今は」
「そうか」
「?」




