16.
「ふ、ふざけないでよっ!」
ファンカイアは屈辱のあまり顔を醜悪に歪めてオルフェーノに掴みかかろうとしたが、控えていた兵士達によって止められる。
「は、離してよ! こんなお姉様のせいで……」
「私もこんなのが妹だったなんて恥ずかしかったわ。これからは平民と貴族、滅多に関わらなくなるから安心ね」
「いやぁぁぁぁぁ! 平民なんて嫌よぉぉぉぉぉ!」
拘束されたファンカイアは叫び続ける。ただ、暴れ出したのはファンカイアだけではなかった。
「オルフェーノ! お前がこんな目に遭わせたのか!」
「親を何だと思ってるのよ!」
「お前ごときがよくも!」
アデントとエルドーロ、それにムーワもオルフェーノに怒り狂い迫ろうとした。しかし、遊び呆けてきた公爵夫妻も剣術の鍛錬を怠っていたムーワも簡単に兵士たちに拘束されるしかなかった。
「見苦しいですねムーワ兄上」
「マカモウス!」
「こんな事になったのは全部兄上の日頃の行いのせいでしょう。せめて婚約者を大事にすることだけでもできていれば、今みたいに僕の眼の前で惨めな姿を晒すことなかったでしょうに」
「く、くそぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁッ!」
ムーワは怒りと悔しさのあまり狂ったように叫び続ける。そんなムーワを国王とマカモウスは蔑んだ目で見つめる。
アデントとエルドーロは拘束されると抵抗できないことを悟り、怒りから一転して泣き叫び始めた。
「オルフェーノ! 今までのことは謝る! 本当に申し訳がなかった! 許してくれ!」
「私達が間違っていたわ! どうか陛下に御慈悲をお願いして!」
今まで虐げてきた娘を相手に許しを請う。オルフェーノはそんな両親に向かって言った。
「お父様、お母様。これからは一人娘のファンカイアと一緒に家族水入らずで良かったですね。あの子の未来の旦那様も一緒ですもの。赤の他人の私が口出しすることではありません。四人でお幸せに」
「「ッ!」」
オルフェーノの皮肉と嫌味を混ぜた言葉にアデントとエルドーロは絶望した。もう家族じゃないと言われたも同然だったからだ。しかもそれは、二人が過去にオルフェーノに言った言葉と似たような言葉でもあった。
「あ、あ……」
「うう……」
(許すわけないじゃん。いい気味!)
アデントとエルドーロは俯いてもう何も言えなくなった。そして、そのまま兵士たちによって連行されていく。ファンカイアとムーワだけが叫び続ける。
「嫌嫌嫌ぁぁぁぁぁ! 平民になんかなりたくない!」
「くっそぉっ! お前ら絶対に許さないぞ! 覚えてろ!」
(覚えておくわ。実に愉快だからね!)




