15.
「そんな……!」
「ひたすら贅沢をするだけの生活か。それならオルフェーノ嬢なら務まるだろうな。馬鹿な父親よりも」
「「「……!」」」
国王が嫌味を込めて皮肉を言うと、クロンギ公爵家の三人は悔しげに顔を背ける。更に、ムーワにも皮肉を口にした。
「良かったではないかムーワよ。お前はファンカイア嬢とその両親とともに貴族の世界から追放されることが確定した。一人でさみしい思いはしなくて済むようだぞ」
「そ、そんなのって……!」
ムーワはわなわなと震え始めた。クロンギ公爵家の当主が代理とは言えオルフェーノになるということは、これで後ろ盾になってくれる者はいなくなったも同然だからだ。心の底で、王子じゃなくなっても公爵家を頼ればいいと考えていただけに、当主がオルフェーノに変わるとなると……。
(流石の元王子も私が助けてくれないことくらい分かるのね。当然助けないけど)
「ちょ、ちょっと待ってください! わ、私も同じなんですか!?」
今になってファンカイアが目を丸くして声を上げた。まるで自分だけはお咎めなしだったと思っていたかのように。国王はそんなファンカイアを相手にするのも面倒に感じ始めたようで疲れた調子で言った。
「……この茶番の首謀者なんだ。当然だろう?」
「でも、それはお父様とお母様とムーワ様が――」
「そなたの姉が証拠を提示したではないか。意気揚々と姉を陥れようとした罪は償うべきだ」
「それならお姉様も同罪でしょう!? お姉様だって家族なんだから一緒に罪を償うべきでしょう!?」
「「「「「「―――――はぁっ!?」」」」」」
(……え? あの子、そこまで馬鹿だったの?)
ファンカイアの言っている意味が分からない。被害者のオルフェーノも一緒に罪を償うなどという戯言が理屈に合うはずがないのだ。
国王がオルフェーノに視線を向ける。なにやら縋るような視線を感じたため、オルフェーノは悟った。自分がファンカイアに言ってやらなければと。
「ファンカイア、先程の話を聞いていなかったのね? 私は貴方達の尻拭いをしなければならなくなったの。公爵代理としてね。だから一緒にはいられないわ」
「そんなの――!」
「でも良かったじゃない。前から私のことが大嫌いだって言ってたでしょ?」
「いや、だけど――」
「これで、貴女は大好きな人達だけで生活することになったのよ。お幸せにねファンカイア、私は私で幸せになるから」
「……――っ!」
ファンカイアは気づいた。今まで馬鹿にしてきたオルフェーノに嫌味を言われていること、この状況がオルフェーノによって仕組まれたことに。




