12.
「この記録は兄上とファンカイア嬢の普段のご様子を学園の生徒たちが嘘偽りなく証言して得たものです! それに追加して王家の『陰』が記録したものでもあります! 決してデタラメなのではない!」
「「そ、そんな!」」
(学園の生徒と王家の『陰』、変な例えだけど量と質で証明されたわね)
王家の『陰』とは秘密裏に王族を守ったり行動を記録したりすることを仕事にしている隠密部隊のようなものだ。彼らの証言なら確実に信頼される。ただ、オルフェーノとしてはこれだけでは足りない。
(茶番の時、ファンカイアは私が虐めをしたと言っていた。それも嘘だという証明はまだされていない)
「陛下、私からも証拠を提示させていただきたく存じます」
「許可しよう」
オルフェーノは一歩前に出ると後ろに控えている侍女に目配せする。そして、侍女はオルフェーノの側に来てあるものを渡した。
「皆さん、これは録音機というもので音や声を記録する道具です。今からこれを拡声器と繋げて皆さんにも聞いていただきます」
「「「「??」」」」
録音機というものを初めて知った貴族は多かったらしく、無論、ムーワとファンカイアとアデントとエルドーロの四人も知らないから訝しげな顔になる。しかし、録音機がもたらす効果は絶大だった。
(この録音機、マカモウス殿下が貸してくれたから運が良かったわ。後で感謝を込めて返さないと)
録音機が拡声器に取り付けられる。その直後、周りの貴族たちにも聞こえる音声で録音された声が拡散された。
『オルフェーノ、お前は留守番をしていろ』
『それと屋敷の掃除をしていなさい』
『私達はこれから旅行に行くの! 私とお父様とお母様とムーワ様の家族四人でね! お姉様、お土産は期待しないでね!』
「「「「っっ!!??」」」」
貴族達の多くが驚いた。それもそのはず、これはクロンギ公爵家の屋敷で録音した会話の内容なのだから。
勿論、オルフェーノ以外のクロンギ公爵家の関係者は度肝を抜くほどの驚きようだった。
「おい!」
「ちょっと!」
「何よこれ!?」
「ま、まさか……!」
録音内容はまだある。
『お姉様ったらダッサ~い! こんな物置小屋で粗末な服装……あ、ごめ~ん。お父様とお母様が決めたんだもんね! 愛される私と違って地味で目立たないもんね~!』
「「「「…………っ!」」」」
この内容だけで虐待されていたのはファンカイアではなくオルフェーノだったと分かる。しかも、妹が姉を虐めていたことも。つまり、茶番とは逆だったことも。
この後も、ファンカイアがオルフェーノの物を壊したり、服を破ったり、髪を切ったりするなどの嫌がらせを繰り返す発言が再生された。
最後には、茶番の計画の話が再生された。




