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第40話 取得可能条件

 とりあえず、僕が無職じゃないことがわかったのはありがたい。いや、無職は無職だけど。


「由良」


 雲水が言う。


「まだ確認出来てない項目があるぞ。スキルの下を見ろ」


 千里眼を使って、多分僕のステータスを見ているのだろう。


「下?」


 雲水に言われた通り、僕はもう一度ステータスへ視線を落とした。


 そして。


「ん?」


 スキルの更に下に文字があった。


 取得可能スキル


 ・青天ノ霹靂


 ・千里眼


 ・建築


 ・裁縫


 ・農業


「……」


 固まった。


「取得可能スキル多くね?」


「多いでヤンスな」


 湊も覗き込む。


「なんで吾輩のスキルがあるでヤンス?」


「いや僕に聞くなよ」


 その時。


 雲水が口を開いた。


「取得条件だろう」


「取得条件?」


「器用貧乏の説明を読め」


 言われて見直す。


 そこには確かに書かれていた。


 取得条件


 ・スキルを視認する


 ・スキルの説明を受ける


 ・理解する


「あ」


 思わず声が漏れた。


 青天ノ霹靂。


 昨日見た。


 説明も聞いた。


 理解もした。


「だから表示されたのか」


「そういうことだろう」


 雲水が頷く。


 なるほど。


 理屈は分かる。


 だけど。


 建築と農業と裁縫なんていつの間に?


 僕は首を傾げた。


 その瞬間。


 思い出す。


 学校だ。


 学校組。


 防壁作り。


 畑の整備。


 服の修繕。


 雑務班として散々手伝っていた。


「ああ」


 ようやく納得した。


「学校か」


「そうでヤンスな」


 湊も頷く。


「学校でこのスキルを使っている所を見ていた」


 雲水が言う。


「説明も聞いていたんだな」


「そうだね」


 手伝う時に本人達から説明を受けていた。


「理解もしている」


 職業スキルは内容が単純なものが多い。理解するのも簡単だった。だから、今すでに表示されているのか。


 取得可能スキルとして、いつの間にか全て条件を満たしていた。


 なるほど。


 そういう仕組みか。


 そこで。


「ほう」


 雲水が珍しく声を漏らした。


「なんだよ」


「千里眼も取れるのか」


 少しだけ。


 本当に少しだけだが。


 雲水が興味深そうな顔をしていた。


「どうした?」


「はっはっはっ……いや、面白いと思っただけだ」


「何が?」


「気をつけろよ」


「何に?」


 雲水が笑う。


「使い方だ」


 相変わらずよく分からない。


「だけど千里眼使えたら、器用貧乏と相性いいでヤンスね」


 そこで僕も気付いた。


 確かに。


 スキル取得の条件は三つ。


 スキル使用を見る。


 スキルの説明を聞く。


 そして、理解する。


 それが条件。


 だが千里眼があれば。


 相手のステータスを直接見て、何を持っているかわかる。そして、スキル説明を読んで"スキル理解を早める"ことが出来るかもしれない。


「もっとも」


 雲水が言った。


「器用貧乏で得たスキルは本来のスキルより劣る」


「そうだね」


「ならば千里眼もだろうな」


「7割か。千里眼の場合どうなるんだろ」


「見える情報が減る」


 千里眼は見るスキル。それの7割だとすると、確かにあり得そう。


「よく分かるね」


「なんとなくな。はっはっはっ」


 完全な千里眼ではない劣化版。


 それが器用貧乏のスキル。


「まあ試してみなければ実際分からん」


「やってみるでヤンス」


 湊の言葉にうなづくと、僕はもう一度取得可能スキルへと視線を向けた。

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