第18話 ついに謁見アルヴァニア王国国王陛下
謁見当日、僕達は朝から慌ただしかった。
理由はもちろん国王陛下との謁見である。
「由良殿」
「なに?」
「緊張してるでヤンスか?」
「少しはな」
「吾輩は全くしてないでヤンス」
「お前はもう少し緊張しろ」
国王だぞ。
社長とか校長とかじゃない。
王様だ。
人生で会う機会なんて普通ない。
いや、異世界に来る機会も普通ないけどさ。
「はっはっはっ」
雲水が笑う。
「由良」
「なに?」
「大丈夫だ」
「何が?」
「王も同じ人間だ」
「当たり前だろ」
「なら問題ない」
「問題だらけなんだよなあ」
◇
しばらくして。
僕達は騎士達に案内されながら王城へ向かった。
近くで見る城はさらに巨大だった。
白い石造りの壁。
高く伸びる塔。
磨き上げられた窓。
どこを見ても豪華である。
「すご……」
ギャル子が呟く。
「これ掃除する人めっちゃ大変そう」
「感想そこなんだ」
「だって気になるじゃん」
確かに気にはなる。
やがて。
巨大な扉の前へ辿り着く。
騎士達が左右へ並ぶ。
そして。
ゆっくりと扉が開いた。
その瞬間。
生徒達から小さなどよめきが漏れる。
広い。
とにかく広い。
赤い絨毯が奥まで伸びている。
両脇には鎧を着た騎士達。
高い天井。
巨大な柱。
そして。
最奥。
一段高い場所に置かれた玉座。
そこに一人の男が座っていた。
年齢は五十代くらいだろうか。
立派な髭。
豪華な服装。
威厳に満ちた表情。
誰が見ても分かる。
あの人が王だ。
「アルヴァニア王国国王陛下」
騎士の声が響く。
次の瞬間。
全員が自然と静かになった。
王が立ち上がる。
そして。
僕達を見渡した。
「よく来てくれた」
低く落ち着いた声だった。
不思議と聞き取りやすい。
「まずは歓迎しよう」
王は続ける。
「諸君らは困惑していることだろう」
そりゃそうだ。
突然異世界だ。
困惑しない方がおかしい。
「本来ならばもっと早く説明するべきだった」
一瞬だけ。
王の表情が曇ったように見えた。
「だがまずは安全を優先した」
そして。
真っ直ぐ僕達を見る。
「安心してほしい」
その声は力強かった。
「アルヴァニア王国は諸君らを保護する」
ざわついていた生徒達が少しだけ落ち着く。
やはり。
王様の言葉には重みがある。
◇
その後。
王から簡単な説明が行われた。
この世界のこと。
王国のこと。
魔物のこと。
そして。
職業のこと。
「この世界の人間は生まれながらにして、職業を持つ」
王の声が響く。
「職業は才能であり、生き方であり、その者の力そのものでもある」
周囲がざわつく。
当然だ。
僕達には馴染みのない概念だから。
「諸君ら転移者にも素晴らしい職業が与えられるだろう」
全員が次の言葉を待っていた。
「よって」
王が告げる。
「これより職業鑑定を行う」
騒めきが広がる。
いよいよだ。
勇者。
賢者。
魔法使い。
騎士。
それとも別の何かか。
僕にも職業が与えられる。
そう考えると少しだけ胸が高鳴った。
「鑑定は学年ごとに行う」
王の隣にいた若い神官らしき人物が前へ出る。
その手には透明な水晶が握られていた。
「まずはどなたからだ?」
ざわり。
空気が揺れる。
天道先輩達だ。
そして。
「私が行きます」
静まり返った謁見の間に。
その声だけが響き渡った。




