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第10話 アルヴァニア王国第三騎士団

「や、やめろー!」


 抵抗する。


 抵抗するが、無駄だった。


 雲水が右腕。


 湊が左腕。


 男子高校生二人に挟まれた僕に逃げ場はない。


「誘拐でヤンス」


「被害者が言う台詞だろそれ!」


「安心しろ由良」


 雲水が言う。


「我々は友達だ」


「友達なら離せ!」


「嫌だ」


「即答するな!」


 ずるずると廊下を引きずられる。


 周囲の生徒達が何事かと見ていた。


 助けてくれる人はいない。


 薄情な世の中である。


 やがて。


 僕達は校舎裏へと辿り着いた。


「こっちでヤンス」


 湊が妙に慣れた様子で進んでいく。


「なんでそんな慣れてるんだよ」


「あんなところやこんなところに潜入するオタクを舐めるなでヤンス」


「なんの経験値だよ」


 校舎の角からそっと顔を出す。


 そして。


「……いた」


 思わず呟いた。


 二十人ほど。


 全員が金属の鎧を身に着けている。


 腰には剣。


 背中には槍。


 そして。


 馬だ。


 本物の馬がいる。


「……かっこいい」


 思わず声が漏れた。


 コスプレとは違う。見てわかる。もっと本格的だった。少し動くだけで、重そうな音がする。


「本当に騎士でヤンス……」


 珍しく湊も真面目な声を出した。


 その時。


 騎士達の中から一人の男が前へ出る。


 年齢は三十代くらいだろうか。


 他の者より立派な鎧を着ていた。


 その男の前に。


 天道先輩達が立つ。


「私はこの学校の生徒会長、天道美月です」


 天道先輩が名乗る。


 落ち着いている。


 緊張しているようには見えない。


 すごいな。僕なら絶対噛む。


 騎士の男も一歩前へ出た。


「我々はアルヴァニア王国第三騎士団である」


 聞いたことない国。


 そして、西洋風な顔してるのに、その顔と似合わない流暢な日本語。


 凄くおかしな状況だ。


「まず確認したい」


 騎士隊長は学校を見上げる。


「お前達は、先日天より現れた光の正体で間違いないか?」




 


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