表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/96

41時間目:バッジと実の見え方

遠足が終わり、授業は通常の物に戻る。1年3組の教室では、子供議員バッジをつけて登校する者もいた。


(バッジ、学校でつけたくなる人いるんだ。私も、明日はつけてこようかな?)


 ちらとハワードの方を見ると、しっかり子供議員バッジをつけていた。


(やっぱり、ハワードくんはつけてる。副委員長の私も明日からつけてこよう。なんとなくだけど)


 それから、モニカが教室へと入って来た。


「おはようございます。あら、子供議員バッジをつけてきた人がいるんですね?いい思い出になったようで、私も嬉しいです」


 ティルは、モニカの微笑みを見た。


 その後の3時間目の授業は、算数であった。黒板に、ブルーベリーが9個あり、3個食べたら、何個残るかを問う問題が書いてあった。モニカは言った。


「さて、実物を使って考えてみましょう」


 そして、モニカは1人1人の児童の机の上に、薄手の白い紙を乗せて行った。それが終わると、モニカの呪文が教室に響いた。


「チイ、ビオ。ブルーベリー!」


 すると、全員の紙の上に9個ずつブルーベリーが出現。


「さあ、皆さん、ブルーベリーを3個食べてください。はじめは3個だけですよ?食べ過ぎないように!」


 それに促され、児童達は、ブルーベリーを3個頬張った。一方、ティルはブルーベリーに手を伸ばす事はなかった。


(さすがに、食べたくない。美味しくない実を食べてから、正直、果物全部苦手になっちゃったから)


 そんなティルの様子に気づく事なくモニカは言った。


「紙に残ったブルーベリーを数えましょう!」


(数えなくても、6だよ)


 その声に促され、ティルはじめ児童達は、「いーち、にー」とブルーベリーを数えはじめ、最後に「ろーく」と言った。


「はい!この問題の答えはわかりましたね?」


 再び教室に児童全員の「6個!!」という声が揃う。


「はい、正解!6個でした!!このような問題は、7月の試験にも出ますので、よく復習してくださいね。さ!残りのブルーベリーも食べてください!!」


(前の苺と葡萄、前の前のさくらんぼとかずっと頑張って食べたから、今日のは食べないよ。美味しいのはわかってるけどね。ごめんね、ブルーベリーさん)


 ティルは、薄手の白い紙で9個のブルーベリーを包み、机上のはじに置いた。その後も授業は続く。授業が終わるころ、ティルは再びブルーベリーを包んだ紙を見る。


(けど、残ったのどうしよう?)


 それから間もなく、授業が終わる。


(そうだ!皆に食べてもらおう!!)


 モニカが瞬間移動にて職員室に戻ったことを確認すると、ティルはクラスの全員にこう声をかける。


「ブルーベリー食べたい人!私、苦手だから食べたい人にあげるよ!!」


 数人の児童が手を挙げ、休み時間にティルに宛がわれたブルーベリーを分け合って食べた。食べ終わった女子児童1人がティルに声をかけた。


「私、ブルーベリー好き。学級副委員長、ありがとう!美味しかったよ!!」

「美味しかった?わー!ありがとう!私、嬉しい!!」


 その様子を、ハワードが見てティルを廊下に連れ出した。


「何をやっている?授業で先生の指示に従わなかったのか?」

「うん」

「それに、あんな事したら、多く食べられる人と、自分の分しか食べられない人が出てしまうじゃないか。不公平だ」

「あ」

「『あ』じゃない。あともうひとつ言うけどな、手を挙げる人が多くて争奪戦になったらどうする?」

「そ、そうだね」

「学級副委員長は、考えが足りないな」

「ごめん」

「まぁ、今回は何事もなかったらよしとするか」

「あ、ありがとう」


 ハワードは、その言葉を受け教室に戻っていった。


(ハワードくん、頭固い!変わらないなぁ)


 翌日、登校したティルの胸には、子供議員バッジ。ラインハルトがそれを見て言った。


「君、バッジ、昨日はつけてなかったのに、今日はつけて来たんだ」

「え、うん」


(え、見てたの?)


「そういうマラブルくんは、つけないんだね」

「貴重なものだとわかっているけれど、僕の憧れじゃないからね、議員は」

「そ、そうなんだ」

「人を支配する議員ではなくて、人を守る騎士こそ僕の理想だよ」

「そんな考えもあるんだ」


 その会話は、ハワードに聞こえていたようで、話に割って入ってきた。


「議員は、支配などしない。支配をしているというのなら、その議員を選んだ人々にも責任がある」

「そうかい、学級委員長」


(う、喧嘩になりそう。この2人、凄く大人っぽいのに、なんでいつもこうなんだろう)


 ティルは、ハワードとラインハルトの間に立つ。


「2人って凄く大人っぽくて凄い!友達になればいいのに!!」

「友達?学級委員長と?上から目線の態度を改めれば友達になってやってもいいかもね」

「お父上が騎士団にいるんだったか。君も、いざとなったら武力に頼る乱暴者かもしれない。手を取るのはやめておく」

「偏見だよ。乱暴者とは聞き捨てならない言葉だね。それに、学級委員長としてあるまじき発言だと思わないかい?」


(あ、駄目。喧嘩止まらない。もー、難しい言葉で喧嘩しないで!)


 その時、モニカが教室に瞬間移動にて入ってくる。そして、鐘が鳴った。児童達は、一斉に席についた。


(はー、鐘のおかげで無理矢理だけど、喧嘩止まった)


 そこから、朝の会が始まる。モニカは、印刷物を渡した。


「運動会で皆さんが行う種目がそれぞれ決まりました。見てください」


(何だろう。え、私は、魔法玉入れ?久しぶり!4回連続箒リレーだったから、飽きてたんだよね!!って、ハワードくんと籠を持って飛ぶの?どうしよう?)


 右斜め前のハワードの頭がわずかに左へと動くが、すぐに正面へと戻った。そんな様子をティルは見つめた。


(う、ハワードくん嫌かな?私と籠係やるの。でも、頑張ったら少しは認めてくれそう。うー、頑張ろう!頑張ろう!!)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ