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37時間目:10回目の入学式

(私、ティル!ティル・ラーナー!!ってさすがにしつこいよね?でも、言わせて!今日から10回目のメビラ学園初等部1年生になったんだ!よろしくね!!)


 ティルは、学校の講堂内で自らの入学式を待っていた。いつものようにグレゴリオとノエルを探し、2人と手を振り合う。ニッと笑い、間もなく入学式が開式になるのを講堂の前を向きながら感じた。


(ハワードくん)


 右隣をほんの少し見るティル。その目的のハワードはティルの視線が向けられている事に気づかない。


(ねぇ、いつかイテラリピティの事訊くから、私の仲間だって言ってね?)


 入学式は開式。ティルは国歌を完璧に歌い上げる。その後の学園長挨拶を待った。学園長のイヴァンは、紺色のスーツという出で立ちで舞台から拡声魔法を用いて挨拶を始める。


「春の花が咲き誇り始めたこの良き日に、メビラ学園に入学の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから初等部、中等部、高等部と12年間、魔法をはじめ、この学校で世の中の事を学んでください」


(う、駄目、やっぱりあくびが出ちゃう。ハワードくんがまた私を不真面目って言う!)


「ふ、ふあぁ」


 出てしまったティルのあくびに気づいたハワードが眉をひそめる。


(あー、やっちゃった)

 

 それから、ティルは来賓の紹介、挨拶等を聞き、モニカの新入生の点呼を受けた後、イヴァンから魔法の杖を受け取った。


(多分、と言うか、絶対、1年後にはまたお別れだけど)


「これから、よろしくね?」


 入学式の閉式後、移動した教室では、保護者と共にモニカの挨拶を受けた。


「今日から皆さんの担任になります、モニカ・オリーンです。よろしくお願いします!」


 それから、教科書が入る魔法の杖の説明を経て、クラスメイトとの写真、家族との写真をそれぞれ校門で撮影した後、ティルはノエルと共にグレゴリオの箒に乗り、帰宅した。


 帰宅すると、ティルは制服をきちんと壁にかけ、ラフな服装に着替えた。魔法の杖を持ちながら両親の元へと行くと、出勤のために制服に着替えたグレゴリオにこう言われた。


「パーカーの帽子、裏返ってるよ、ティル」

「あ」


 ノエルは微笑んでティルの帽子を直してくれた。


「もう、おっちょこちょいね。でも、そんな所、かわいいわよ、ティル」

「えへへ」


 グレゴリオは、そんなやり取りに微笑み、制服の懐から女性用の首輪を取り出した。グレゴリオはそれを両手で大事そうに持ち、話しかけた。


「ああ、母さん、今日ティルは魔法学校に無事に入学したよ。天国から見てくれていたかな?」

「おばあちゃん!杖!!」


 ティルは魔法の杖を首輪に見せるように高く挙げた。グレゴリオは、首輪にその杖を見せた。


「ほら、ね?母さん」


 その後の昼食を終えたグレゴリオは出勤して行った。


 翌朝、ティルは制服に着替えた後、クラスメイトの立体映像の写真を少しだけ見つめた。ハワードを重点的に見た後、立体映像を消し、朝食へと向かった。


「わ!パン!!エリンちゃんの所の?」

「ティル、好きでしょ?」

「うん!」


(エリンちゃん、もしかしたら今のイテラリピティではあんまり仲良く出来ないかも。でも、ハワードくんが仲間になったら、また仲良くしたいな)


 カリッとして香ばしいパンを味わった後、ティルは登校して行った。ノエルは、自らのお腹を撫でつつ初登校のティルをいつまでも見送った。


 そして、授業初日が始まる。そんな日のモニカの第一声が教室に響く。


「はい!皆さんおはようございます!!」

「おはようございます!!」


 ティル他児童達は、元気に挨拶を返す。朝の会を経て、この日の1時間目が始まる。


「はい、1時間目は学級活動です。まずは、皆さんの自己紹介の時間にしましょう」


 その一言から登録番号順に簡単な自己紹介が始まり、ティルの番が来た。


(10回目だから、ちゃんと言おう!)


「私は、ティル・ラーナーです。よろしくお願いします!」


 そんな自己紹介の時間が終わると、モニカは言った。


「次に、学級委員を決めます。学級委員長になりたい人、手を挙げてください」


(ハワードくん、今度は、絶対手を挙げて!)


 ティルの右斜め前に座るハワードが手を挙げた。


(よかった!)


 それを受け、モニカは言った。


「ハワード・フリーダーさんが学級委員長でいいですか?」


 児童の拍手がそれを承認する。それが収まるのを確認した後、モニカが言った。


「次に、学級副委員長になりたい人、手を挙げてください」


 ティルの右手が、挙がった。


「ティル・ラーナーさんが学級副委員長でいいですか?」


 児童の拍手がそれを承認する。


(ありがとう!皆!!)


 ハワードは、左斜め後ろを信じられないといった表情で振り返る。学級副委員長に選ばれたティルは、そんな右斜め前から浴びせられる視線に、ニッと笑い応えた。その後、モニカがこう促す。


「さあ、改めて学級委員の皆さん、自己紹介をしてください」

「学級委員長になった、ハワード・フリーダーです。よろしくお願いします」

「学級副委員長になった、ティル・ラーナーです。よろしくお願いします!」


 やがて、1時間目が終わった。ハワードはティルを振り返る。そのハワードの眉間には、皺。


「確か、入学式にあくびしてたよな?そんな不真面目な人が、僕の右腕なんて、皆が認めても僕が認めないからな!」

「えっ。ごめん!」


(わかってたけど、やっぱりこうなっちゃった!あー、ハワードくんにイテラリピティの事訊くの、結構後になっちゃいそう。うー、入学式であくびなんかするんじゃなかった!!)




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