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ダークナイト・アナザーライフ  作者: 代谷 シユキ
第1章 魂を喰らう悪魔
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第6話 因縁の再会

流れで書いたので文字が読み難いです……。

 

 レクスは因縁の相手と再会していた。

 特徴的な長い顎髭。

 髪は長いので首筋の後ろで束ねている。

 容姿は格好のいい老人だ。

 皺が出来ているが、比較的にツヤもあり若々しさを少しだけ感じさせている。


「お前はなんでここにいる?」

「その台詞はワシのじゃ!」


 どうやらお互いにレクスとロンドールがいる事の意味が分からないようだった。

 ロンドールはレクスを睨みつける。

 殺気立った視線。

 一般の冒険者だったら、既に殺気を向けられた時点で気を失っているだろう。

 なんせ相手は閃光の英雄だ。

 50年前に起きた魔族と人間の戦争の際に、上級魔族を何体も屠っている……実力の持ち主。

 レクスの隣にいたフィアナも始めてみるロンドールの目つきに怯えていた。

 フィアナの様子を見たレクスは、


「ロンドール……ここでは何だろ」

「……そうじゃな」


 ロンドールは周りを見た後に静かに答える。


「レクス。一先ずワシについて来い」

「あぁ……分かった」


 レクスは怯えていたフィアナの頭を撫でる。

 フィアナの頭をレクスが撫でた途端に、フィアナの震えが徐々に止まって行った。

 多分、心の奥底でレクスに撫でられ安心したのだろう。

 レクスはフィアナに「待っててくれ」と伝えた後、ロンドールの後を追った。


「お前さん……フィアナの何なのじゃ?」

「単なる知り合いだよ」

「嘘つけ……ワシの目は誤魔化せんぞ」


 レクスとロンドールはギルドの隠し通路を通りながら、互いに会話を交わしていた。先程のように警戒している様子はなかった。

 二人とも血の気が早いわけじゃない。

 冷静に考えて今の行動を取っているのだ。


「フィアナは俺が助けた」

「……お主が?」

「あぁ……オークに殺されかけているフィアナに俺が【リザレクション】を使って、フィアナの傷を戻し、代わりにオークを殺した」


 レクスの答えにロンドールは口を開いた。

 愕然としている様子だ。

 唸り声のような頓狂も上げていた。


「その話……本当なんじゃな」

「後からフィアナに聞いてみろ」

 

 レクスがロンドールに言葉を返すと、前から強烈な光が差し込んできた。二人はお互いに両手で影を作り、目から光を遮ろうとする。

 光のさす方へ歩きレクスは目を開けた。

 すると、先ほど居たはずのギルドから景色は一変してだだっ広い草原に辿り着いていた。


「どうじゃ? 驚いたじゃろ?」

「お前は相変わらずバカだな」

「バカとはなんじゃ! 頭が良いと褒めろ!」


 ロンドールは呆れたようにレクスに叫ぶ。


「それより……やるのかロンドール」

「当たり前じゃ。お主がフィアナを助けた事は感謝を言おう。あの子は私の娘が残してくれた宝物じゃ……ありがとうレクス」


 そう言ってロンドールは頭を下げる。

 レクスもロンドールのお礼を無下にはせず、お礼を心に受け止めた。そして、レクスはすかさずロンドールから距離を離した。

 ロンドールは目の前に手を突き出す。

 すると、そこから剣らしき物が現れた。


「来るのじゃ! わしの聖剣!」


 空間を切り裂いたように、ロンドールの目の前が不自然に切れ目が入り、切れ目の中から光輝く白い剣が神々しく姿を現した。

 ロンドールはその剣を手に取る。

 そして力強く振り払った。

 ロンドールの目の前の切れ目が姿を消す。


「相変わらず便利な能力だな」

「……お前に言われたくないわい」


 レクスの方を見てみると、レクスの手の中には既に黒い剣が握られていた。漆黒のように、夜空のように煌めく黒い剣だった。

 レクスはその剣を軽々しく手に馴染ませる。


「魔剣レーヴァテインじゃな……」

「そう言うロンドールは聖剣エクスリージュだろ? その目障りなほど光ってる剣は」

「かっこいいじゃろ?」


 レクスは苦笑を浮かべて二度頷いた。

 二人は互いに深呼吸をし合う。

 風が吹く音だけが二人を包み込んだ。


「レクス……エルティアはどうしている?」


 先程よりも真剣にロンドールは尋ねた。

 ロンドールの「じゃ」が消えている。


「エルティアか……」

「……元気にしてるか?」


 ロンドールの問いにレクスは微笑んだ。

 そしてロンドールに告げるように、


「エルティアは………………死んだよ」

「……なんと言った?」

「死んだと言った。エルティアは死んだ。無残に殺されてこの世を去っていったよ……」


 ロンドールはレクスを睨みつける。

 本気で相手を殺すと誓った時の殺気だった。

 だが、ロンドールは見えていなかった。

 レクスが告げた言葉ばかりに耳を傾けていた為、ロンドールは見逃していた。

 レクスが涙を流していた事を……。

 ロンドールはレクスに剣を構える。


「お主……よくワシに顔を見せれたな」

「会いたくてお前に会ってないけどな」

「それはワシも同じだ。お前なんかにワシは会いたくなかった。エルティアの笑顔をもう一度、この目で見たかった……」


 ロンドールは後悔するように囁いた。

 その瞬間。

 凄まじい爆音が鳴り響いた。

 ロンドールが地面を蹴り、レクスに向かって剣を構えて駆け出していたのだ。


「レクスゥゥゥゥゥゥッ!」


 唸り声を上げたロンドールがレクスに容赦なく渾身を込めた政権を振り下ろした。

 鈍い金属音が鳴り響く。

 レクスはロンドールの聖剣を片手に握りしめていた魔剣で防いだのだ。しかし、衝撃により、辺りに生えていた木が吹き飛んでいた。

 ロンドールの猛攻撃は止まらない。

 右から左から剣が振り下ろされる。

 神速とも呼べる速さ。

 普通の人間であれば切られたと思う前に、身体の全てが細切れに切断されていただろう。

 だが、レクスはその剣を防いでいる。

 レクスの目が赤く煌めく。

 魔族独特の特徴だ。

 レクスが本気を出している時には、力が制御出来なくなり、魔族としての本質が表面上に現れる。本気を出させるほどに、ロンドールの攻撃はレクスの脅威となっていた。


「どうしたレクス!」

「……ッ!」


 次第に速くなっていくロンドール。

 歳の衰えなど感じさせない。

 生前の頃と変わらない速度を出していた。

 ロンドールの目は後悔に満ちている。

 実の娘だったエルティアを失ったからだ。

 ロンドールに取ってエルティアは大切な娘。

 先に天国に行ったロンドールの奥さんとの間に出来たかけがえのない命だったのだ。

 この気持ちはロンドールにしか分からない。

 家族を失った時の気持ちなど……。


「エルティアは希望だった! ワシの唯一の救いだった! それをお前ら魔族は騙し、暗躍して、エルティアを攫っていった!」


 声を荒げて剣を振るロンドール。


「そしてエルティアを殺しただと……この気持ちが、お前に分かるのかレクス!」


 突然、ロンドールの攻撃が止む。

 レクスはその瞬間に魔力を溜め込んだ。

 ロンドールが真上に剣を掲げる。


「精霊の加護よ……聖なる光よ……我の絶望となりて敵を穿て【セイクリッドデスペア】」


 ロンドールの魔力が暴発した。

 剣から無数の閃光がレクスに降り注ぐ。

 上級魔法剣【セイクリッドデスペア】

 ロンドールが戦いの最中に自分の魔法を改変して作り上げた新しい魔法剣。普通は数本程度の光を放つ魔法の筈だが、魔力の力が暴走してこの魔法剣を作り上げているのだろう。

 無数の閃光の剣がレクスを穿つ。

 爆風と爆音が辺りを埋め尽くした。

 だが、レクスは二本の足で立っていた。

 身体中が無数の剣に貫かれ、血潮が吹き出しているのにも関わらずレクスは立っていた。


「バカな……」


 ロンドールは驚愕の様子で驚きを放つ。

 徐々にレクスの傷が再生を始めた。

 神大級魔法【リザレクション】

 レクスは咄嗟にこの魔法を発動していた。

 詠唱の際に攻撃を避け切ることが出来なかったのだ。そのため、殆どのロンドールの攻撃をまともに受けてしまっていた。


「なんでお前は……」

「俺は約束をした……必ず生きると……」


 レクスは弱々しく言葉を紡いだ。

 暗黒騎士と言っても二日連続で神大級魔法を使えば、多少の負担を背負ってしまう。それに、ロンドールの攻撃は魔族の弱点である光を司る魔法を使っていたから尚更のことだった。


「エルティアに誓ったんだ」

「……エルティアに?」

「あぁ……俺はエルティアの死に際の言葉を受け取った。アイツは俺に向かって、幸せに生きて下さいと……優しく言ってきた」


 ロンドールは構えていた剣を下げる。

 そして、レクスの言葉に耳を傾けた。


「その時……エルティアは笑っていた。最後に俺の顔を見れて幸せだと言ってな……」

「エルティアがそんな事を……」

「あぁ……だから俺は死ねない」


 レクスは真っ直ぐとロンドールを見つめた。

 ロンドールは悩んだ表情を浮かべた。


「レクス。お前は……これからどうする?」

「俺は生きる。エルティアが言っていた幸せになるまで……人間として生き続ける」


 レクスの問いにロンドールはため息を吐く。

 見てられないと言った表情だ。

 それもそうだ。

 暗黒騎士だった人物が人間の言った言葉を真剣に考えて、人間として生きると言っている。普通に考えたらあり得ない事なのだ。

 魔族は人間にはなれない。

 だが……魔族は人間を騙す事は出来る。

 ロンドールはレクスに両手を挙げ、


「はぁ……ワシの負けじゃよ」


 嬉しそうに微笑みながらそう囁いた。





次回更新は日曜日か月曜日を予定しています。

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