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コスプレカフェを始めたら学園の三大美女が性癖を曝け出してやって来たんだけども  作者: すずと


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第53話 鈍感主人公には恋の鉄槌を

 突如としてクラスメイトの陽キャ男子達から中庭に呼び出しをくらってしまった。


 よりにもよって陽キャ様業用達の中庭に呼び出すだなんてな。自分達のホームでぼっちをいじめようって魂胆かよ。きっちぃ。とか若干の有紗を出す余裕なんて俺にはないよな。


 彼等がどうして呼び出しをくらったかってのは──。


「お前。学園の三大美女と絡んで調子乗ってんなよ」


 呼び出しの件はわかっておりました。


 ぼっちの俺が学園の三大美女様と白昼堂々と絡んでいたらそりゃ目立つわけで。クラスの男子達からしたら面白くもないわな。


「お前は陰キャぼっちなんだから身の程をわきまえろよ」


「陰キャぼっちがはしゃいでるの見てるのさ、こっちが恥ずかしくなるんだわ」


 うわー。辛辣ー。めっちゃ言ってくんじゃん。体育祭の時もめちゃくちゃ言われたけど、今回も棘が刺さりまくりの言葉のボールをドッヂボールよろしく、容赦なく投げてくるね。


 小学生の頃から色葉の件で、他の男子からいちゃもんつけられるのは慣れているつもりだ。色葉は昔からモテていた。中身は美少女だからな。そんもんだから幼馴染の俺にやたらと喧嘩を売ってくる男子がいた。そのくせ、キッズ特有の好きな子にはちょっかいを出すスタイルを発動するもんだから、俺が止めてたけど、それで目を付けられたっけか。別に色葉と仲良かったから、他の男子共と仲良くする気なんてなかったけどさ。


 だからなんとなくわかるけど、こういうのは言い返すと長引くから黙秘権を発動しよう。こりゃ体育祭の時の佳純との二人三脚を変わってくれの案件と似ているが中身が全然違う。嫉妬の念に包まれた男子共のネチネチのネバネバ案件だわ。


「黙ってんなよ」


「なんとか言ったらどうだ」


 黙秘権を発動したらこうだ。


 しかし、こういう場合、なんと返したら正解なのか。


 すみません。調子乗ってました。もう絡みません。とか? いやいや、あいつらはウチの店の従業員で稼ぎ頭なんだ。これからも絡んでいかないと。ここで吐いたその場しのぎのウソは後にややこしくなるから却下だ。


 だったら黙り続けるのが正解なのではないだろうか。ここは耐えるしかない。ふっ、俺はしがないサンドバッグさ。


「ちっ。きっしょ。なんで黙ってんだよ」


「つうか。あいつらも見る目なくない? なんでよりにもよって陰キャぼっちと絡んでんだよ」


「学園の三大美女とか言われて調子乗り過ぎて頭がイカれてんじゃね?」


 ……なんで唐突にこいつらはあいつらの陰口を言い出したんだ。ターゲットは俺のはずなのに……。俺がだんまりを決め込んだばかりにあいつらの悪口を引き出してしまったのか。


 自分のことを言われるのはまだ良い。だけど、あいつらを悪く言うこいつらが許せなかった。


「そういうところだろ。お前らがモテないの」


「あ?」


「こうやって寄ってたかって一人をいじめて。そんな奴等をあいつらが見るはずないだろ。それにあいつらの……俺の大切な人達の悪口を言いやがって……そんなんだからお前らはモテねーんだよ。ぼけ」


「あ? ぶつぶつとなにを言ってんだよ」


「あいつらは俺の大切な人達って言ってんだよ!! くそぼけがっ!!」


 こっちの声量がバグった言葉に、相手は少しばかり怯んでしまった。俺も思った以上に出た声に自分でビビッてしまったよ。でも、怯まずに言葉を続ける。


「自分のモテなさを俺のせいにすんなよ。つうか、寄ってたかって俺のこと気にしすぎじゃね? 俺のファンかよ。ごめんな。俺、男に興味ないんだわ」


「ぶっ殺すぞ、この腐れ陰キャがっ!!」


 陽キャ様が叫びながら、ガシっと俺の胸ぐらを掴んでくる。


 ひぃぃ。こえー。煽り過ぎたー。


 でも後悔はしていない。これであいつらの悪口を聞かなくて済むのなら、ここで二、三発殴られた方がマシだ。


 あー、殴られるのだろうなぁ。俺、接客業なのに顔を腫らしたら店に出れなくなる。しばらくは裏方かなぁ。


「ちょっと!! なにしてんのよ!!」


 今にも陽キャパンチが炸裂しそうな時に救世主の声が聞こえてくる。


 その声に陽キャの動きも止まり、全員で声のする方を注目すると、サッとピンチに現れたヒーローのように俺と陽キャ様の間に立った。


「自由くんに手を出したら許さないから」


 どうやらヒーローではなくスーパーギャルヒロインのようだ。


 有紗が俺の前に立って陽キャ様達を睨みつける。


「有紗……」


 彼女の登場に酷く動揺する陽キャ様方だったが、すぐに反撃ののろしを上げた。


「なんで有紗がこんな陰キャぼっちと仲良くしてんだよ!! おかしいだろ!!」


「おかしいのはお前らの頭だろうがっ!! こんな複数で一人をいじめて、殴りかかろうとかなに考えてんだよ!!」


「それは、こいつが……」


「自由くんがなにしたってのさ。言ってみろよ」


「ええっと……」


 口ごもる陽キャ達に容赦なく睨みをきかせる有紗。なにを言っても言い返されると思っているのか、相手方はなにも言えないでいる。


「なにが陰キャぼっちだ。お前らの方が陰湿で姑息じゃないか。高校デビューがちょっと成功したからって陽キャぶって人を馬鹿にすんのも良い加減にしろ!!」


 すぅと息を吸い込んでから有紗が中庭に、学校全体に響きわたるような咆哮をかました。


「わたしの好きな人をいじめるな!!」


「……ッ!?」


 その言葉に相手の一人がキッと有紗を睨むが、その程度で怯む有紗ではなかった。


「ちっ。仲良いと思ってたのに、こんな奴を好きとかドン引きだわ」


「ドン引きはこっちじゃ。勘違い根暗野郎共。二度と絡んでくんな!!」


「殺す」


 主犯格っぽい陽キャ(?)が有紗に殴りかかろうとした。もう完全にブチ切れている様子だ。そのまま有紗の顔面にパンチが炸裂しそうなのをなんとか前に出て止めた。


 ──って、もの凄いブチ切れてパンチをかまそうとしていたが、この陽キャ(?)のパンチはなんとも弱かった。


「おい。女の顔面に手を出すのは違うだろ」


「くっ……離せ!!」


 そこまで力を入れているわけではないが、相手さんは力が乙女なのか、弱すぎてびっくり。


「もう俺等に絡んでくんな。だったら離してやる」


「調子乗んなよ、くそ陰キャがっ──がぁぁぁ!!」


 少しだけ力を入れると相手は痛がっている。そんなに力を入れたつもりはないんだけどな。俺だって人が痛がる姿を見たいわけでないから、握った力を弱めると相手は腕を振り回して俺の手を振りほどいた。


「くそがっ。覚えてろよ!!」


 そう言い残して主犯格の乙女陽キャ様が去って行く。それを見て、他の陽キャ様達も去って行った。


「……はぁ」


 一難去って目の前の有紗がため息が聞こえてきた。


「ありがと。自由くん」


「それはこっちのセリフ。有紗が来てくれなかったら俺が殴られてたよ」


 まぁ結果論だが、あんなへなちょこパンチの二、三発受けても痛くも痒くもなさそうだけど。


「ごめんね。本当はもっと早くから気が付いていたんだけど、自由くんがわたし達を大切な人って言ってくれたのが嬉しくて」


 有紗に言われて急激に恥ずかしくなる。


「そりゃ、まぁ、ええっと……」


「んー? もしかしてあーし達のこと好きなのでちゅかー?」


 完全におちょくられているな。このままは悔しいため、さっきの有紗と陽キャ(?)のやりとりをいじっておく。


「有紗だって俺のこと好きだって言ったじゃんか」


「!? ええっと、あ、あれは言葉のあやというか……か、勘違いしなでよ!!」


「あはは!! わーってるっての」


 カウンターをくらってめんくらっている有紗を見てこちらとしてはご満悦。あんな言葉を本気だなんて思わない。それこそ身の程はわきまえているさ。


「わかってるのなら良い」


 そう言い残して先に去っていく有紗。恥ずかしくなったのかな。でもそれはおあいこだ。


 そう思っている矢先に、くるりを綺麗な半回転を披露すると俺の目の前にやってくる。


「やっぱり勘違いして良いよ」


「え?」


「わたしは自由くんのこと好きだから」


「!?」


 この子は、今、俺のことを好き……って?


「や、本当はね、自由くんがわたしに告ってくれたら即オッケーくらいだったんだけど。なんか心臓が熱くなっちゃった。どーせ将来的には思いを伝えるんだから今伝えても同じだよね」


 そう言いながら有紗はウィンク一つ。


「急だったし返事とか求めてないから。でもわたしのことは意識しとけ☆」


 そう言い残して今度こそ去って行った。


 まるで台風一過のような出来事に俺は身動き一つ取れなかった。

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