北海道
「よし!」
僕は食事中なのも忘れ、作業に没頭した。
何のことはない。スマホのGPS機能を利用すればどこにいるかすぐに判る。
検索した結果・・・・、ここは北海道だった。
この風景から察するに、そうじゃないかなとは思っていたが、明確に指摘されるとやっぱりびっくりする。
僕の家がある町から、800キロメートルは離れている。
僕は自転車に乗ってどうやって来たんだろう。
から揚げを噛むのも忘れ、しばらくスマホを握りしめ、画面の「北海道」の文字を、穴の開くほど見つめていると、突然、スマホの着信音が鳴り始めた。
超びっくりしてスマホを落としそうになった。かろうじてスマホは助かったものの、ひざの上に置いておいた弁当が草むらの上に転がった。
「あぁ・・」と声を出したが、スマホの画面を見て声が止まった。
母からだった。
すかさず、通話ボタンを押した。
「もしもし!」
ちょっと間を空けて母の声が聞こえた。
「もしもし、あっくん?あなた、いまどこにいるの」
「・・・あの・・・」
僕がどう答えれば良いのか迷っていると、いつものように畳み掛けてきた。
「学校から電話があって、どうしましたか。病気ですかって、担任の高橋先生が言ってたわよ。あなた、今どこにいるの?」
「あ、、ええと・・・」
「あなた、一人なの?まさか、学校行かないで悪い友達と変なところに行ってるんじゃないの?」
完全に母は、僕が不良になって遊び歩いていると思っているらしい。
それにしても、本当に変なところへ行っているのならば、場所を言うはずがないと思うのだが。
もっとも、ここだって十分変な場所ではある。
「ここは・・北海道だよ」
嘘を言っても仕方ないので、正直に答えた。
信じる信じないは別として・・
「・・えっ・・・北海道ってあの北にある北海道?」
「ああ、信じないかもしれないけど、自転車で北海道に来ちゃった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




