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何か変!?

 今度の空気は、ほんの気持ちひやりとした感じがした。

 川が近づいたせいか、本当に気持ち温度が低い気がする。それに、風と一緒に運ばれてくる香りが、今まで経験したことがないような甘さを含んでいた。


 僕は、その甘い風の正体を確かめたいのと、あまり目をつぶっていて、道を踏み外しても危ないので、ほんの数秒後には目を開け、進行方向を見定めた。


 「あれ?」なにかに気が付いた。

 いや、何かではない。

 これに気が付かないほうがおかしい。


 僕が走っている道路は、大草原の真ん中の一本道だった。

 左側にあるはずの河川敷にテニスコートやグランドがある大きな川はなくなっていた。


 その代わり青々とした草原が広がり、そのところどころに赤や黄色の花が咲いていた。

 「え?」5月の妖精に拉致され怠けていた僕の脳みそもさすがに再起動したらしい。

 僕の両手をブレーキレバーにひっかけさせ、ゆっくり握らせた。

 自転車は「キュュ・・」と小さな音を立ててゆっくり止まった。


 僕は、右足をペダルに残し、左足を地面につけそのまま周り360度見渡した。

 僕が通ってきたはずの住宅街が全くなくなっていた。

 左側の川もなくなっていた。

 自転車が走ってきた道路も土手の上ではなく、草原の中の一本道だった。


 どういうことだろう。

 せっかく再起動した僕の脳みそは、活動しているにもかかわらずこの状況にパニくってしまい、やはり正常な思考ができないでいる。


 その時、「くうううう」と僕の腹の虫が鳴った。

 まだ朝ごはんを食べてから、そんなに時間はたってないはずなのに、パニくっている僕の脳みそは、空腹感をキャッチしていた。


 「あれ?」なにかに気が付いた。正常な状態に戻った僕の思考回路は、とりあえず現在時間を確認しようとしていた。


 はっと思い立った。

 そうだ、鞄にスマホが入っている。あれさえあれば・・僕は両足を地面について自転車を倒れないように固定し、両手で前かごから鞄を引っ張り出した。

 スマホはいつも鞄の中の一番手前の仕切りに入れている。

 よし、あったあった。

 僕は鞄を前かごに戻しスマホのスイッチを押した。

 待ち受け画面が起動した。

 「時間は・・と・・・!」

 なんと表示されている時間は11時30分となっている。


 朝、家を出たのは7時15分過ぎで、途中住宅街で迷いかけたり、天神川の土手までちょと寄り道をした程度のはずだったのに4時間以上経過していることになる。

 そんなバカな・・。


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