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転生したら三国乱世だった件  作者: レモンティー


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第九十二章:孔明は三つの城を、三日で降伏させた

三つの城は、同じ敵ではなかった。

南の城は守将が強硬で、東の城は倉が空になりかけ、西の城は商人が門の鍵を握っていた。

孔明は三通の降伏勧告を並べ、「同じ文章では一城も開きません」と言った。

龐統は東へ医師と粥の材料を送り、西には市を再開する保証状を持たせた。

南にだけ関羽の旗を見せた。

俺は「武力を使う城が一つあるんですね」と聞いた。

「使わぬために見せるのです」と孔明は答えた。

東の城の井戸は濁っていた。

城門の隙間から来た少年が「妹が腹を下している」と訴える。

俺は城外に炊事場を設け、沸かした水と塩を少し加えた薄い粥を配った。

城兵は毒を疑って受け取らなかったので、俺が先に同じ鍋から食べた。

夕方、城壁の上から一人の兵が降りてきた。

「子供の分だけ、もう少し」

彼が戻るとき、孔明は降伏を急かす言葉を一つもかけなかった。

西の城では商人が「劉備軍が入れば曹操軍の借金まで取り立てられる」と恐れていた。

龐統は商人たちの取引記録を一枚ずつ確認し、軍が勝手に徴発した分は民の負債とみなさないと宣言した。

商人はすぐには信じなかった。

そこで俺は荷車に載せた麦を市価で買い、代金をその場で渡した。

夜が明けると、店の戸が三つ開いた。

商人たちは剣ではなく秤を持って門へ集まった。

三日目、南の城から使者が来た。

関羽の兵は包囲していたが、畑を踏み荒らさず、夜も井戸を塞がなかったという。

守将は「なぜ攻めぬ」と問うた。

関羽は「城が欲しいのではない。戦を終わらせたい」とだけ答えた。

三つの城門が開いた日、孔明は作戦用の板に丸を三つ描いた。

俺にはその丸が、守られた炊事場の鍋の形に見えた。

俺たちが向かったのは荊州南部の三城だった。

三城の守将が互いの援軍を頼み、降伏を拒んでいる。

赤壁で曹操の大艦隊を破ったとはいえ、荊州の城や街道がすべて味方になったわけではない。

戦が長引けば、せっかく救った民がまた飢える。

俺は地図の端に、兵糧の残りと一日の消費を小さく書き込んだ。

ところが東の城では、炊事場へ水を運んでいた少年が城内の強硬派に捕らえられた。

こちらの粥に毒があると証言させるつもりだったのだ。

俺は城壁の下で叫んだ。

「あの子は何も知らない。責めるなら、鍋を作った俺を責めてくれ」

返事の代わりに矢が一本落ちた。

孔明は攻城の準備を止め、城内の医師に同じ材料を調べてもらうよう申し入れた。

疑いが晴れたのは翌日の夕方だった。

三日で三城を開く策は、危うく一人の子供を犠牲にするところだった。

俺の仕事は兵糧倉に湿気対策の床板を敷き、穀物の腐敗を減らすことだった。

職人を呼び、炊事係と荷運びの兵を集める。

机の上の図では簡単でも、現場で使える形にするには手間がかかる。

最初の試みでは思うように進まず、年配の職人が「手を動かす前に現物を見ろ」と叱ってくれた。

やがて、三城が順に門を開き、略奪のない入城が実現した。

報告を受けた劉備は、勝利を祝う前に「民に被害はないか」と尋ねた。

俺は負傷者の名簿を持って前へ出た。

完璧な戦などない。

だから、少しでも被害が小さく済んだことを確かめるまでは喜べなかった。

三つの城の鍵が届いたとき、俺はそれを机に並べなかった。

鍵を返す相手がまだいるからだ。

東の城の井戸番、西の城の市場番、南の城の門番。

彼らが自分の仕事に戻れたとき、初めてこの戦は終わる。

孔明も頷き、鍵を一つずつ別の袋に収めた。

東の城が開いたのは、子供への粥だけが理由ではなかった。

守兵の隊長が門前に出て、「降伏すれば我々の家族は守られるのか」と問うたのだ。

孔明は口約束で済ませず、劉備の名で保護の布告を書いた。

俺はその文書を城の掲示板に貼るだけでは足りないと思った。

字を読めない人々に、誰が何を約束したか伝わらない。

そこで広場で読み上げ、質問を受けることにした。

最初に上がった手は、敵兵の妻だった。

「夫が武器を置いても、私たちはここに住めますか」

劉備は使者を通じて「住める」と答えた。

西の城では別の問題が生じた。

龐統の保証状を信じて店を開けた商人が、旧守将の部下に脅されていた。

彼らは敗北後も徴税権を手放すまいとし、商人の帳面おうとした。

魏延が兵を率いて駆けつけたが、龐統は「剣を抜く前に帳面を守れ」と命じた。

魏延は店の戸を盾にして通りを塞ぎ、逃げる商人のために道を開けた。

俺は新しい記録帳を作り、旧軍の徴発と民間の借金を別の欄に分けた。

数字を分けるだけで争いがなくなるわけではない。

それでも、どこから解きほぐすかが見えた。

南の城の守将は、降伏の席で関羽に問うた。

「貴公の名を聞けば誰もが恐れる。なぜ門を壊さなかった」

関羽は城壁に残る矢傷を見上げた。

「門は壊せる。だが門の向こうで暮らす者の信頼は、壊せば戻らぬ」

俺はその言葉を聞きながら、城内の井戸の位置を記録した。

降伏した翌日から水が必要で、明後日には食料が必要だ。

孔明の三通の書状は、三つの城を落とすためだけでなく、三つの城が翌日も生きるためのものだった。

三城の倉を調べ終えた夜、孔明は降伏した守将たちを同じ席に呼んだ。

互いに援軍を頼んでいた三人は、最初は顔も合わせなかった。

龐統が温かい汁を配ると、一人が「この汁は東の城の豆か」と尋ねた。

俺が頷くと、別の守将が「ならば西の城の塩も使え」と言った。

小さな会話だったが、三つの城が初めて同じ明日を話し始めた瞬間だった。

南の城の門番は、劉備軍の旗を見上げても表情を変えなかった。

俺は彼の足元の古い靴に気づき、補給係に革を渡した。

門番は礼を言わず、ただ次の日も同じ場所に立っていた。

東の城では、病人に配る粥を薄くしすぎたと医師に注意された。

俺は量を増やす前に、食べられる人と食べられない人を分けて記録した。

善意だけでは人は救えない。

西の城の商人は、徴発された荷の一覧を持参した。

龐統は一枚ずつ受け取り、返せるものと返せないものを明確にした。

商人たちはその率直さにようやく頷いた。

劉備は軍議の席で皆の顔を見渡した。

「勝つことだけを考えるな。城の中にも、我らと同じように暮らす民がいる」

関羽が頷き、張飛は腕を組んだ。

孔明は扇で地図の一角を示し、龐統は城門と市場を結ぶ道に指を置いた。

「また面倒なことを考えるな」と張飛が言う。

「単純に突っ込めば早いだろう」

孔明は笑わず、「早く終わる戦と、後に禍根を残さない戦は同じではありません」と答えた。

張飛はしばらく黙り、最後に「なら、俺はその早い方を引き受ける」と笑った。

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