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008 メロン

 白黒ペットが満足するまでデザートを食べた後、そのままその足で冒険者ギルドへと向かう事にした。

 回復しているので足腰が立たないと言う事は無い。

 精気的な物を搾り取られ過ぎて干からびると言う事も無い。

 先生、今回ほど貴方の有難さを体感した事はありません。


 と、言う事でやって参りました下層の冒険者ギルド。

 食堂や酒場といった施設が在るギルドの中は相当広い。

 ギルド内にはチラホラと人が居るが既に昼過ぎなのであまり人が居ない。

 依頼の類の受注は基本的に早い者勝ちであり、朝一で張り替えられるために依頼の張替えのタイミングで割のいい仕事を手に入れようとすると必然的に早朝に来なければならないし、ダンジョンに入る冒険者は朝から入り夕刻に帰還し、冒険者ギルドを利用するため昼にはあまり人が居ない。


 「いらっしゃいませ。用件の方は何でしょうか?」


 たまたま目に留まったのか、見た事の無い顔だったからか、猫耳や犬耳をした獣人や、エルフの女性。そして当然いる普通の人間と数名居る受付嬢の内の1人が声をかけて来る。

 冒険者ギルドの顔というべき受付を担当している受付嬢は多種多様な種族の美女で揃えられている。

 その方が色々と若い新人などをコントロールし易いかららしい。

 冒険者の男女比は7:3くらいで意外と女性も多いが、男の方が多く、男には女性に良い所を見せたいと言う本能があるのでまぁ所謂、馬の目の前に吊り下げるニンジンだ。


 俺に声を懸けてきたのは猫耳や犬耳などのオプションの付いていない人族の美女と言うよりは可愛らしさの方が目立つ、金髪をサイドポニーにした体長の割には胸部の自己主張がかなりある美少女だ。


 「冒険者登録」

 「ギャハハハ、ここはお嬢ちゃんの様な貧相なガキが来る所じゃないぞ!お嬢ちゃんが行くのはママのスカートの中だろ?」


 言い終わると同時にアホがテンプレ的に絡んできた。

 声のした方に目をやると3人のむさいおっさんが居る。


 「おいおい。そうからかうなよ。ほら、見てみなよ。ビビッちまって声も出せないじゃないか」


 いや、呆れてるんだけど。


 「嬢ちゃんがここに登録に来るには5年……いや、10年は早いんじゃないか?」

 「本当に居るんだねー……大した意味も無く絡んでくるアホって」

 「あぁ!?クソガキが!ギルド登録に来たばかりの新米如きが自分の立場ってものを教えてやろうか!?」

 

 おっと、つい声に出してしまった様だ。


 「おい!落ち着け!よく見ろ。奴隷持ちだ。それも白虎族と黒妖狐だ」

 「うっ……いっいや所詮女だろ?」

 「バッカ、知らねーのか!白虎族は女の方が強いんだよ!黒妖狐に男も女もあるか!」

 「いっいや、でも素手だぞ?鎧の類も着てないし」

 「白虎族は腕力が特に強くて気功を使うから武器を持って無い奴の方がやばいんだよ!女の方が強い理由は気の扱いは女の方が優れてるからだ!それ以前に白虎族なら素手でも指の力で鉄くらいなら粘土みたいに引きちぎるわ!」


 まぁなんでワイルドなんでしょう。


 「黒妖狐は火魔法が得意な妖狐族の中でも特に強力な黒い炎を使うんだぞ!妖狐族の使う火魔法は発動媒体を必要としない精霊魔法の一種だから素手とか関係ねぇよ!」


 このおっさん詳しいな。


「素手の白虎族の女と黒妖狐のペアとかAランクモンスターより怖いわ!しかも奴隷だ!主人を護らなきゃ自分が死ぬより酷い目にあう。下手な事したらとりあえずで殺されるわ!俺を巻き込むな!俺はまだ死にたくねーんだよ!」

 

 やたらとうちのペットに詳しいおっさんが混じっていた様だ。

 何やら必死の様子。


 「実際、白猫の方はついさっき完全武装の50人ちょいを30秒くらいで7割殺しくらいにしてたよー。猫らしく生かさず殺さずの生殺しな感じで」

 「悪かった。勘弁してくれ。こいつらも酔ってたんだ」


 詳しかったおっさんが頭を深々と下げて謝罪してくる。


 「まぁ良いよ。実害を被った訳でも無いし。今のは無かった事にしておいてあげるよ」

 「悪いな。助かる」


 テンプレ展開は虎の威を借るなんちゃらで回避された様だ!

 黒女狐も居るけど。


 一連のやり取りの影響でこっちを注目したギルド内に居た者たちから白黒ペットに視線が集まる。

 白黒ペットは全く動じず無表情のまま。

 他人に凝視されるのは慣れているんだろうね。


 「で、登録したいんだけど?」

 「え、ええ。こちらの用紙に名前、年齢、特技があったら書いて下さい、代筆はいりますか?」

 「大丈夫だよー」


 渡されたペンと用紙を受け取り名前にアルマ、年齢は12歳、特技の欄には回復魔法、魔力供給魔法、魔力付与魔法、アイテムボックス、転移魔法、念動魔法、防御魔法、強化魔法、加熱魔法、冷却魔法、電撃魔法、加速魔法、飛行魔法、索敵魔法、知覚魔法、薬物調合魔法、金属錬成魔法、宝石練成魔法、鍛冶魔法、彫金魔法、彫刻魔法、細工魔法、裁縫魔法、革細工魔法、木工魔法、調理魔法、洗濯魔法、風呂魔法、土木魔法、建築魔法、開錠魔法、諜報魔法、暗殺魔法、拘束魔法、拷問魔法、大規模災害魔法と記入して用紙を見直してみる。


 「これはひどい。パッと思いつく特技を書いたらえらい事になった。魔法って付ければ良いってものじゃないね」


 先生は恐ろしいな。

 紙を覗き見た白黒ペットも2人揃って目が泳いでいる。


 「まぁいいや。はい」


 用紙を手直しせずにそのまま受付嬢に渡す。


 「はい、ありがとうございます。……え?」

 「どうしたの?」


 テンプレ的に特技の内容を大声で言ったりするのか?

 

「いっいえ、なんでもありません。ギルドカードが出来るまで多少時間が掛かるかと思いますのでギルドの説明に移らせて貰います」


 プロだ。

 美少女だけど、受付嬢としてプロなんだね。

 ゴメン。

 顔面戦闘力と胸部の自己主張率の高さで受付嬢やってると思ってました。

 テンプレ的に『ええー!?なになになんですかぁ!?』とかあると思っていました。


 ちょっぴりガッカリでござる。


 受付嬢がプロに徹し、説明してくれているが全部知っているので聞き流している。

 ギルドカードの発行手続きを行うための時間稼ぎに付き合っているだけだ。


 「以上です。何か質問はありますか?」

 「ないよー」

 「それではこちらがギルドカードとなります」


 受付嬢から手渡された出来たばかりのギルドカードを受け取り、ローブの懐せんせいに入れ、そのままその足で壁際に設けられた幾つかの掲示板の1つ、求人募集案内の掲示板へと向かう。


 掲示板にはピン止めされた紙に人を募集する旨がつらつらと並んでいる。

 パーティーからの面子補充の募集から個人のパーティー組みたいと言う募集まで色々あるが


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:後衛 回復魔法使い 

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:自分の身を護れる者優遇


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:後衛 バックパッカー

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:アイテムボックス持ち優遇


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:後衛 魔法アタッカー

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:高位の火魔法使い優遇


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:前衛

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:複数を対象に足止めできる者優遇


 この4つの募集が目を引いた。

 同じパーティが募集してるね。

 麗しの風と言えばオッパイメロンのハイエルフ美少女とオッパイメロンなハイダークエルフ美女と言う目立ちまくったCランクのパーティーと言うかペアだったはず。

 どう言うこっちゃ?


 「ご主人様、パーティーを組まれるのですか?」


 黒狐が気になったようで声を掛けてきた。


 「考え中」

 「ご主人様にパーティーメンバーは必要なのでしょうか?」


 良い質問だね。


 「純粋に効率と合理性を優先するのであれば要らない。とは言え、一応俺も冒険者としては登録したばかりの初心者だしね。冒険者らしくパーティーの経験くらいあっても良いかと思ってね。効率だけ考えて生きてると人生がつまらなくなるらしいよ?」


 人生には潤いが必要なのだよ。

 メロン的な意味で。

 白黒ペットも合わせて8個のメロンに囲まれるとか素敵じゃない?

 素敵だね。

 俺を名指してるとしか思えない募集だし。

 ここは行かねばなるまい。

 仮に美人局だったとしてもそこにメロンが実っているのならば冒険する!それが漢と言うものだろう。


 「左様でございましたか。失礼しました」


 黒狐の声が若干冷たくなった気がするけどきっと被害妄想だ。

 とりあえず応募しとこっと。


【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:後衛 回復

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:自分の身を護れる者優遇

 応募:護って貰う必要なし・Fランク


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:バックパッカー

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:アイテムボックス持ち優遇

 応募:アイテムボックス持ち・Fランク


  【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:後衛 魔法アタッカー

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:高位の火魔法使い優遇

 募集:黒炎が使える妖狐族・奴隷


 【パーティーメンバー募集】

 ジョブ:前衛

 ランク:特になし

 募集元:麗しの風

 備考:オーク複数を対象に足止めできる者優遇

 応募:50人位を1人でシバいてた・奴隷


 これでよし。

 あとは返事待ちだね。

 んじゃ、テンプレ的に薬草の採取チートでも……する意味ないな。

 薬草採取で目立ってどうする。

 そんな事は常に先生がやっているではないか。


 「セリアーやってみたい依頼とかあるー?」


 特に思いつかないのでニャンコに聞いてみよう。


 「そうですね」


 ニャンコが常時討伐依頼欄を一瞥した。


 「オークの討伐などはいかがでしょうか?」


 「いきなりオーク?」


 この世界のオークは雑魚ではない。

 初心者殺しにして、中級者パーティーでもちょいちょい喰うからだ。

 普通は一人前と言う扱いになるCランクパーティーが複数組んで十数名で狩る。


 「ダメでしたか?日常的に1人で乱獲していたのですが」


 何故奴隷になった?

 いや、マジで。


 「ダメではないけど……」

 「私が奴隷になっている事が不思議でしょうか?」

 「かなり」

 「正直とても気になります」


 黒狐も疑問だったらしい。


 「よくある話です。母と妹が難しい病に掛かりました。治すためにはフルポーションが2人分必要だったのですが、2人分を用意するのは通常の手段では時間が足りなかったのです」


 確かに割と転がってる話ではある。


 「それで自ら身売り?」

 「はい」


 母親を取るか妹を取るかの二択を迫られて自分を売ったと。


 「お金は足りたの?」

 「売値の8割はこちらに入り、500万で売れれば足りましたので。余剰分は母に送られる手筈です」


 400万あれば足りて、余剰分の400万は仕送りか。

 400万リル=4億円。

 大層な仕送りだね。

 てか、オークションは2億も取ってんのかよ。

 

 「ご主人様に買って頂けた事に感謝しております」

 

 そりゃまぁ、俺が買って無ければ失敗キメラに買われて訳で。

 いきなりオークってのは少しでも自分の得意分野で役に立とうと言う事か。


 「世知辛い事だね。そう言え黒華は……いや、別に良いか」


 嫌な思い出を無理に話させる事はあるまい。


 「私も良くある話です」


 黒狐は話す気らしい。


 「愛人に成れとしつこく迫られ断り続けました。迫られる事が無くなり暫くしたある日、気が付いた時には身動きの取れない状態で焼ける屋敷に転がされていました。そうして身に覚えの無い放火殺人の罪状で犯罪奴隷となり、しつこく愛人に成れと迫っていた者に言われました。後悔する事になると言っただろう?と」


 愛人になる事を断られた失敗キメラが薬物でも使って罪を被せたと言う所か?


 「なんともまぁ……」


 失敗キメラよ。

 どんだけやらかしとるねん。


 「私の中では既に終わった過去の話です。元々黒髪黒目の妖狐は差別や迫害の対象になり易いので1人で居る事を好んでいましたし、身寄りも居ませんのでご主人様の奴隷になる為に必要な手順だったと思えば何も問題はありません」

 「う~ん。黒華の気持ちに整理が付いているのなら俺が口出しする事でもないね。どちらにしろ獲物を細かく解体して捕食する事は変わらないけど」


 俺にできる事と言えば黒狐を可愛がって幸せにする事くらいか。

 うむ。

 自分の女の幸せの為に生きる。

 なんと言う男ぶり。

 べっべつにプルンプルンのオッパイやフッサフサの尻尾にたぶらかされた訳じゃないんだからねっ。


 カランコロンッ


 「はーやっぱり2人じゃもう無理がるね」


 オッパイメロンの金髪碧眼美少女エロフが現れた!


 「そうね。だからと言って頭数を増やせば良いと言う者でもないわよ?」

 

 オッパイメロンの赤髪紅眼美女ダークエロフが現れた!



 オッパイオッパイ!



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