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011 吐いた唾は飲めない

 まだ9時の鐘が鳴る大分前に俺と白黒ペットはダンジョンの入口へと向かって大通りを歩いて歩いていた。

 この世界には時計があるが、それなりの値段がする高級品なので誰でも持っていると言う訳ではない。

 庶民は普通、街の6か所に備え付けられている良く響く巨大な鐘の音や時計塔などの時間を知らせるために在る公共施設時間で時間をを確認する。

 お陰で待ち合わせなどの時間間隔はかなり曖昧になる。

 一応礼儀的には待ち合わせの時間の大分前から待機して置くのが常識ではあるが、さりとて早すぎても待ち時間が長すぎて暇を持て余す。

 この辺りの大雑把さは記憶が無いものの、時計と言う物を誰でも持っている環境が当たり前だったっぽい俺の感覚ではルーズに感じて何かモヤッとする。


 ほどなくしてダンジョンの入り口が見えて来る。

 ダンジョンの入り口と言っても本当は下層の町自体がダンジョンだからダンジョンの入り口と言うよりは正しく表現すると2層の入り口なのだが、本来は2層に該当するエリアをこの街では1層と呼び、下層はダンジョン内ダンジョン外と言う変な扱いなので間違ってはいない。


 ダンジョンへと入る前の広場ともいえる空間にいた野良パーティを募集する冒険者達でかなり賑わっている。


 「盾戦士は居ないかー!」

 「回復魔法使える者募集だ!」

 「Cランクの槍戦士だ!必要なパーティーは居ないかー!」


 ソロのパーティー希望やらパーティーの不足要員募集を叫ぶ声があちこちで起きている。

 ギルドの募集欄だけじゃなく、現地での1日限りの臨時野良パーティーとか結構あるとは知っていたが、こうして実際に生で見るとネトゲを思いだしてしまう辺りに自分の事に関する記憶が無いとは言え身元がなんとなく分かってしまう。


 そんな中、えらく目立っている者達が居る。

 白黒オッパイだ。

 周りから注目され視線が集まっているが、声を掛ける者は居ない。

 恐らくだが、全部断っているのであろう。


 「あー!やっと来た!遅い!」


 白オッパイが目ざとくこちらを発見し、大声を出す。

 声に釣られてか周りの者達がこちらを見ては白黒ペットに見とれるてはフリーズすると言う事があちこちで起きている。


 タイプは異なれど似た様な水準の美貌を持つ白黒オッパイよりこちらの方が注目されるのは新参だからと奴隷である事を示す黒くゴツイ首輪を付けた胸と絶対領域を強調するメイド姿だからだろう。

 男の目線は殆どが白黒ペットの顔から胸や脚の順に流れている。

 奴隷メイドな白猫と黒狐を見た後は俺に視線が来るが、性別を誤認しているのだろう。

 嫉妬の色は殆ど無い。


 「おまたせー」

 「女を待たせるものじゃないわよ?」

 「今後は気を付けるよー」


 かなり早く来たのだが、白黒オッパイの方が若干早かった。


 「ごめんねーアル君。マリルってば随分楽しみにしちゃってて、早く来すぎたのよ」

 「ちょっなっなに言ってんの!」

 「だろうね。余裕で察しは付いていたよ」

 「と言っても殆ど待ってないわよ?私達が来てから本当に少ししてアル君達が来たから」

 

 知ってました。


 「ま~待たせたのは事実だし、男が女を待ち合わせで待たせるのは邪悪と世界の法則で決まっているらしいよ?」

 「あら?そうなの?」

 「余計な相手に無駄に絡まれて面倒な事になるでしょ。色々な意味で」

 「一理あるわね」

 「もっとも、逆の立場でも奴隷補正でアホが絡んで来るだろうけどね」


 虎の威とか黒女狐の呪いで回避されるかもしれないが。


 「ありそうねー」

 「めちゃくちゃ目立つわよね。あんたの奴隷」

 「目立ち方ではお二方も負けてないよ?美女力的な意味で」


 実際に現在進行形で広場の注目はこちらに集まっている。

 まぁ、首輪付きのメイド姿と言う場違い感でうちのペットの方が悪目立ちしているが。


 「あらあら、お上手ね」

 「ふんっ」


 白オッパイは相変わらず分かり易い。

 見間違いではない程に顔が紅潮してる。

 肌が透き通る透明感を感じるほどの白さだからかなり目立つ。

 

 チョロイわー。


 「そう言えば、聞いたわよ。あんた昨日随分とやらかしたそうじゃない?」


 白オッパイに詰問口調で問いただされた。


 「失敗キメラの取り巻きを50人くらいフルボッコにして900万カツアゲした事かな?」

 「派手にやったわね」


 黒オッパイはやや呆れ顔だ。


 「一罰百戒ってやつだよ。俺に絡んだらどうなるのか、どんなバカでも分かる様にしてあげる事で無益な犠牲者を減らそうと言う慈悲に溢れる試み。俺に絡んだ輩はボコられてお金と金目の物をカツアゲされるのが基本だよ?」

 「やり過ぎだと思うのだけど……」

 「そんなことは無いよ。俺の様な人畜無害な相手にわざわざ絡むアホが悪い。ましてや、やる奴は一方的に搾取できるカモだと思い込んで強盗まがいの事をしてる様な品性の乏しい下種だよ?自業自得過ぎて同情の余地はないでしょ」


 因果応報と言うやつであろう。


 「それもそうね」

 「俺の事を下手をすれば一瞬で捻り潰されて挽肉にされる圧倒的に格上の強者だと認識した上で真剣に挑んで来るのなら俺もまともな対応をするんだけどねー……ところで、今日は何層から入るの?」


 このダンジョンに設置されているテレポーターは冒険者なら誰でも使えてどこからでも入れる。

 いきなり6層もありだ。

 もっとも、危険度でトップ争いをしているダンジョンと言われているので普通は1層から入るし、稀に居る最初から下の階に入ろうとするアホは大抵自殺志願者扱いされてハブられる。


 「4層で良いんじゃないかしら?」

 「おや?いきなり?」

 「ええ、もともと2人で4層は厳しそうだから3層の入り口付近でやっていたもの。貴方達が居ればかなり楽になるだろうし、大丈夫だと判断したわ」

 「あんたが足手まといにならなきゃだけどね!」


 白オッパイよ、それはフラグやで!


 「この面子だと俺は応援だけで良くね?」

 「バックパッカー兼回復役でしょうが!」

 「真面目な話、収納容量は夢いっぱいって感じだから幾らでも持てるよ。消耗の回復の方は多分、全力戦闘を丸1日続けても大丈夫なくらいかな?負傷は頭さえ無事ならなんとでもなるよ。頭だけは死んでも良いから護れって感じかな?当たり前だけど、本当に死に切ってる死体は回復しないし、身体は治っても服や防具は直らないよ。俺の回復魔法が有効なのはあくまでも、今はまだ完全には死に切ってはいないって状態の生物だけね」

 「頭はダメなのね」

 「より正確な表現をすると頭自体は死んでなきゃ治るんだけどね。頭に保存されている記憶とかが壊れるんだよ。そして1度本当に壊れてしまった記憶が治る事は無い。思いだせないではなく、無くなるから」


 パソコンのデータに近いね。

 ハードを直しても壊れたデータは治らない。


 「人格ってのは記憶の蓄積で作られてるから、精神的に死ぬ。結果として廃人になったり、赤子に近い状態になったりする可能性がある。軽症なら記憶が部分的に無くなるくらいですむ可能性もあるけど、頭をやられると死ぬまでの時間が物凄く短いから処置が間に合わす手遅れになる可能性もかなりある。手足とか内蔵系なら洒落で済む場合が多いんだけどねー。凄まじい勢いで血まみれになって服とかえらい事になるのと、死ぬほどの激痛を我慢できるならだけど」


 痛い物は痛い。

 そりゃーもう死ぬほど。


 「首ちょんぱされても超速攻で一瞬の停滞も無く処置すれば割と普通に治ったりする。首はギリギリセーフ」


 「首切られても治るんだ……」


 白オッパイが呆れた様に呟く。


 「回復の有効時間はすんごい短いから多少でも時間がたつとダメだけどね。死体になったら無理。意外と一般的に死亡判定される状態って完全には死にきってはいない場合が結構あるんだよ。通常の手段では回復させれないからって事で死にぞこないが死亡判定されるケースが多々ある」

 「普通は治らないわよね……そんなのを治せる回復魔法ってエクストラヒールってやつよね?そんな回復魔法を使える魔法使いって世界的に見ても数えれるくらいしかいないんじゃない?」


 そんなものかね?


 「そうね。回復アイテムならフルポーションくらいかしら。安くても500万くらいするらしいけど」


 黒オッパイも呆れ顔だ。

 フルポーションなら幾らでも量産できるとか言ったらどんな顔するんだろう?


 回復薬を売ればボロ儲け確実だね。

 医療系の需要が無くなるなんて事はありえないし。


 回復薬無限量産チートつえー?


 「ここでこれ以上話しててもどうかと思うし、ダンジョンに入らない?」

 「そうね。行きましょう」


 白黒オッパイと白黒ペット+俺と言う目立ちまくりの臨時パーティーは周囲の注目を集めつつも無視してダンジョン4層へと進む。

 俺以外は注目されたり凝視される事に慣れているのかスルースキルがとても高い。

 いちいち気にしていてはやってられないと言う事であろう。


 「まずはお互いのやり方を確認するべきだと思うのだけど、如何かしら?」


 ダンジョンに入り、パラパラ人の居る入り口付近から全く人が居ない森の内部と言う感じの所へと移動した後に黒オッパイが提案してくる。


 「そうだね。察しは付くけどお互い突っ込み処とかあるかもしれないし。それなりに連携するにしてもお互いの動きを確認しておかないとね~。一応自己申告しておくよ。セリアは見ての通り体術と気系の技で戦う。多分、気配の察知能力とかもかなり高いはず。ぶっちゃけブタやラプの100匹や200匹程度相手に後れを取る所が想像できない」


 巨虎と生まれて間もない子豚の喧嘩になりそう。


 「黒華は火特化の後衛だねー。まだ戦ってる所を見た事ないけど、火魔法使いとしては超一流だと思うよ」

 「見てないのに分かるものなのかしら?」


 黒オッパイは疑問を感じた様だ。

 まぁ普通はそうだろう。


 「俺のミラクル眼力に掛かればカカッとお見通しだよ。料理や裁縫も結構できてかなり女子力高いとかも分かるよ。性癖は分からないけどねー」

 「性癖は分からないのね」

 「うん。ショタの振りなのかマジなのかも分からないね。マリルお姉ちゃんとセリアが真正のガチショタなのはさすがに分かるけど」

 「マリルはともかくとして、セリアさんも?」

 「私はともかくってなによ!」

 「マリルお姉ちゃんがハードショタだと分からない人は全く汚れてない無知で純真無垢なお子様だけだと思うよ。セリアは容赦なく捕食する肉食系だったと言っておく」

 「搾り取られたのね」

 「俺が回復魔法の常識が全く通じない程の超人的達人じゃなかったら精気的な物を搾り取られ過ぎて干からびてたかもしれないね……話を戻すけど、俺は一応攻撃もできるんだけど、色々と試行錯誤して工夫した結果、一般的ではない使い方になっちゃってね。回復と空間に比べると全体的に微妙で効率悪いから必然性が無い時以外は使わない。護る必要が無いってのは身体能力的には雑魚だけど、魔力障壁とその応用で高速機動が可能だから。魔力障壁の強度と展開速度、精密さ、機動力には自信があるよ。ついでに空間魔法のクイックショートテレポートによる緊急回避とかだね。空間魔法の恩恵で察知能力も桁外れに高いよ」


 先生は生物をお腹に入れて置けないけど、一瞬なら入れれる。

 別の場所に分身を出して置き、飲み込んでペッと飲み込んだ場所と別の場所の分身が吐き出せば生物でも疑似テレポが可能なのだよ。


 「化け物ね」


 白オッパイさん、酷いっす。


 「失礼な。身体能力と運動能力は見た目相応かそれ以下だよ?本気で魔力強化して殴ったりすると大抵の相手はボンッてなるから、生き死にの話を通り越して原型の話になるけど」

 

 未分類となるが魔力運用法と言われるものがある。

 代表的な物は魔力障壁、魔力強化、魔力砲だ。

 もっとも、効果の割には燃費が悪い事でも有名なのであまり使う者はいない。

 特に魔力強化は気の身体強化に比べると効率では精々1割前後と言われており、単純な運用ならば圧倒的に気が優れ、複雑な運用では魔力が優れるとされる。


 「化け物じゃない」

 

 それは先生な。


 「こんなに可愛い俺に向かって失礼な」

 「可愛いって男として容認できるものなの?」

 「基本的に男は見栄を張ってないと死んじゃう習性を持っていて、可愛いとか言われると大抵の人はダメージを受けるね。特に女性から言われるとグザッと来て壮絶に複雑で微妙な気分になるのが一般的。思うのはしょうがないにしても大抵の相手には思いっきり失礼になるから口に出さないのが礼儀だね。女性にとっては臭いと言われるのに近いものがあるかな?」

 「それは失礼ね」

 「ちょっと盛り過ぎた気もするけど、大体そんなもん。でも俺はそんな若い時代はとっくに過ぎている。寧ろ美味しい」

 「それで良いの?」

 「開き直ってるのね」

 「素晴らしい事です」


 三者三様のリアクションだね。

 黒狐は無反応か。

 どうやらガチショタは3人だけらしい。


 「ご主人様がこの世で最も可愛らしい存在なのは当たり前なのでは?」


 黒狐はすでに別の世界へ旅立っていたらしい。

 

 「ウン。アリガトウ」

 「ねえ。その娘に何したの?」


 白オッパイは何やら疑いの目を向けながら失礼な事を言う。

 心外だね。

 

 「昨日俺が買う直前までは右腕、右脚がもげてて、左の頭皮と顔、左脚までの範囲が重度の火傷で焼け爛れて、そしてなによりも左耳が焼けて無くなってて尻尾の大半が焼けてフサフサしてない物凄い残念な事になっていてね。狐耳とフサフサの狐尻尾が半分以上無いとかあり得ないじゃん?と言うありさまの500リルで捨て売りの四日後に廃棄処分される生ゴミ扱いだっただけ。軽く手入れしたらこうなった」

 「何処に突っ込めば良いのか悩むけど納得はしたわ」

 「アルマちゃんのミラクルリサイクル術。匠の技に掛かればあっという間にフサフサの尻尾に……とか言ってる間に接敵されそうだね。ハイラプが1、ラプが9の群れ。あっち」


 近づいている方を指で指し示す。


 「小さい群れね。私達でやるわ」


 「あいよー」

 

 ほどなくして木の切れ目からラプの姿が見えると同時に幾つもの魔矢が乱れ飛ぶ。

 私達でやると言いつつ、白オッパイだけが弓を撃ち黒オッパイは見ているだけっぽい。

 華麗な白オッパイの凛々しい弓を撃つ姿を見ると同時に俺は何故、白黒オッパイが魔弓を使っているのかを悟った。


 魔弓には弦が無い。


 弓を使う女性にとって自己主張率の激しい胸部は邪魔でしかないので、専用の方乳プロテクターを付けたりする。

 しかし、魔弓は命中補正のために弓の形をしているし、少ない魔力で威力を向上させるために必要な引き絞る動作もあれば弓がしなる動きもするが、魔弓と魔矢は魔力で繋がって連動しており弦が必要ない。


 つまり、自己主張率の激しいオッパイをしていても弦でオッパイバッチンの事故が起きないって事だ!

 魔弓はOPの高さが招く不慮の事故を防止するために作られたオッパイに優しい弓だったんやぁ!


 オッパイに優しい魔弓に感動した。

 魔弓の半分はオッパイへの優しさでできています。


 「アル君。終わったわよ?」


 「早いね」


 魔弓のオッパイに対する優しさに感動していたら終わっちゃったよ。


 ラプを見れば総てのラプが喉に穴をあけてお亡くなりになっている。

 ワンショットワンキルとな?


 「少し数が少なすぎるし弱すぎたわね。もう少し私達だけで狩るわ」


 髪をかき上げながら仰る黒オッパイ。

 ふと思った。


 「アリシアお姉様は冗談とかじゃなく本気で同性にお姉様とか言われてモテそうだね」

 「……良く分かるわね」

 「なんとなく」

 「そう言った意味ではセリアもか」

 「良くお分かりですね」

 「私はどうなのでしょう?」


 黒狐はー……。


 「ボッチ」

 「ボッ……たっ確かに人付き合いは得意ではありませんし1人で居る事が多かったですけど……寧ろ1人で居た記憶以外が殆どありませんけど……ボッチですね。はい。真正のボッチで申し訳ありません」


 なんか微妙に落ち込んだね。


 「友達とか居なかった?」

 「……凄く……縁遠い響きのする言葉です……」


 結構本当に落ち込んだね。

 俯いてがっくりしている。


 「いえ!」


 おっ?


 「過去の事などどうでも良いのです!」


 ガバッと顔を上げて言い切った。


 「今はご主人様が居ます!ご主人様だけで十分です!」

 「セリアは?」

 「ご主人様と同志の奴隷が居れば十分です!」


 言い直したね。

 

 「ええ、その通りです。大事な事は昨日何を食べたかではありません。これから何を食べるかです」


 え?なんでこっち見たの?


 「はい。その通りです」


 え?なんで黒狐もこっちを見たの?

 食われるの?


 「うちのペットが肉食獣の眼になった件について」

 「アル君。私も混ざって良いかしら?」

 「どうぞ」


 今更多少捕食者が増えた所で誤差であろう。

 先生!お願いします!


 「私は?」


 白オッパイ?

 決まってるじゃん。


 「マゾアウト」

 「なんで!?」

 「んー……マリルお姉ちゃんはねー多分マゾだよね」

 「えっえーと……えっと、そっそんな事ないわよ?と言うかアリシアは良いの?」

 「明らかに責める方が好きなサドじゃん」

 「そうね。女なら誰でも美少年のホットミルクを直で飲みたいものよね」

 「そうですね。美少年の搾りたてを直飲みが正義だと女なら誰でも思います」


 誰でもではないと思います。


 「美少年に跨って思う存分腰を振ってみたいと思うのは女なら誰でも持ってる願望だと思うわ」

 「美少年の顔に跨って思いっきり腰を振ってみたいとも女なら誰でも思いますね」

 

 誰でもではないと思います。


 「美少年に足でしてみたいとも女なら誰でも思うわよね」

 「そうですね。女なら誰でも美少年のご主人様に主従逆転お仕置きメイドプレイしたいと思うものです」

 

 誰でもではないと思います。

 

 「セリアさん。貴方とは良いお友達になれそうだわ」

 「同感です」


 仲良き事は美しき事かな?


 「ねぇ。これ。本当に良いの?」

 「うーん……不思議だね。2人ともショタサドのダブルジョブな完全に弁護の余地なきド変態なのに嫌な感じはしない。開き直って分別が付くからかな?マリルお姉ちゃんは溜め込んでるムッツリだから暴発しそうで危ない感じがするのかな?」

 「ムッツリじゃないし!暴発とか無いし!」

 「私はどうなのでしょう?」


 沈黙していた黒狐までこんなアホな会話に混ざって来たね。

 ここはバッサリ一刀両断してあげるのが慈悲であろう。


 「黒華は末期の病気。死んで生まれ変わっても取り返しは付かない」

 「びょっ……病気ですか」

 「俺に治療された時に俺に嫌われたら死んじゃう病を患った末期患者だから手遅れ」

 「え?何その呪い。あんたの回復魔法ってそんな呪い掛かるの?」


 呪いと言えば呪いと言えなくもないか。


 「そんな訳ないじゃん。餓死寸前まで飢えてる時に食べた物が大好物になっちゃうのと同じ理屈だよ」


 アンパン食ったらアンパンが好きになる。

 後は心理学的な話になるけが、自分の生殺与奪を完全に握っている相手に対しては基本的に好感度が上がり易く信頼し易すくなる。

 結構生き物は知らなくても本能的にどう対処すれば良いか理解してるもので、個人差はあれど基本的に誰でも相互主義で善意には善意、好意には好意、悪意には悪意、害意には害意、信頼には信頼が返ってき易いって知識が無くとも体は理解してるらしい。

 個人差は結構激しいらしいけど。

 誰にも愛されず、信頼されず、死ぬより酷い経験をした者なら尚更だろう。それを本当に失ってしまったらどうなるのか死ぬほど体感しているから生存本能が最大まで刺激されて最大効率で成果を上げる事しか考えられなくなるし、生存本能が刺激されると種を存続させようと言う本能まで全開になって性的な部分が激しく刺激される。

 軽度の物だと吊り橋効果が有名だ。

 そんな時に好感度が一定以上高く、可愛がられている事が体感できる程度の異性が居れば選択肢が無い。

 溺れる者は藁でも掴むと言うが、沈没する事が想像できない巨大な丸太なら全力でしがみつくに決まってる。


 本当に達が悪い呪いみたいなものだね。

 実際に体感した事に比べれどうでも良い情報でしかないから極悪な悪魔みたいな奴に凶悪な詐欺を食らった様な物で、本当に殆ど呪いじゃんそれと言う理屈が分かっても、本当の意味で俺の奴隷に堕ちちゃってるからどうしょうも無くなる。

 【隷属の首輪】が付いてるとかもはや全く関係なく黒華は俺の奴隷だろう。

 だから治療する前に俺は黒華には確認したのだ。


 「そうですね。お肉と同じくらいミルクも美味しかったです」

 「え?」


 それなんか違うと思いますよ?

 白猫が何か可笑しな事を言ってる気がする。


 「確かに」


 黒狐まで?


 「なんか微妙に可笑しいような?と言うか美味しい物なの?」

 「とても美味しいです。幸いな事にご主人様より『肉体労働が主軸になるから戦力を維持するための栄養補給、食べるのも仕事と思っておいて』と拝命しておりますし、全く自重せずに毎日全力で美味しく頂こうと愚考しております」

 「なんか吐いた唾飲むなよテメーと言う幻聴が聞こえたんだけど」

 「アル君。セリアさん相手に迂闊な事を言ったわね」 


 黒オッパイに突っ込まれてしまった。


 「肉食系のガチショタに言質を取られてるね」

 「アル君って既にお尻に敷かれつつあるのかしら?」

 「既に2人掛かりで物理的に尻に敷かれてますが?」

 「奴隷として御奉仕させて頂いているだけです」

 「同じく、誠心誠意御奉仕させて頂いております。あくまでも奴隷として私の身体でお楽しみ下さいと言う事です」

 

 白黒ペットはあくまでも奉仕と言い張るが、欲望に忠実に捕食しているだけな様な気がする。


 「セリアの入れ知恵で黒華まで変な方向へ行っちゃってる気がするんだけど」

 「私もアル君の奴隷になってご奉仕したいわね」

 「……いや、でも。……ありかも」


 白黒オッパイまで奴隷になって奉仕志願?

 奴隷ってそう言うものだっけ?


 「あくまでも御奉仕です。ご主人様に気持ち良くなって頂き悦んで頂く為の御奉仕です。メス奴隷たるものありとあらゆる手段でご主人様に悦んで頂かなければなりません」

 「完全に自分の欲望に忠実なだけじゃね?これ」


 ありとあらゆる手段を用いて搾り取ると聞こえたんですけど。


 「完全にアル君を性的な意味で理想のご主人様に調教する気ね」


 同族から保証されちゃったよ。


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